今日の記事は「部下からアイデアが上がってこないな」とお悩みの皆さんにお役に立つ内容です。「提案して欲しいと言っているのに提案がないな」「アイデアが小粒だな」と思ったことはないでしょうか?今日の記事はそういう問題を解決する内容です。例えば、皆さんの会社では「テーマ提案制度」とか「10%ルール」という制度がないでしょうか?テーマ創出が必要な会社には、どこでも似たような制度があるものです。というのは、こういう制度は取り入れやすいからです。経営者が「そうしろ」と言えば導入できます。
ただ、こうした制度があるからと言ってテーマ提案が多い訳ではない、というのを実感している人も多いのではないかと思います。具体的には、現場のマネージャーには提案が上がってこない(部下から提案されない)、ということになります。「テーマ提案」というと少し大げさに聞こえますが、身近な感じで言えば部下から課題解決のアイデアが寄せられないということです。業務上の課題があったとします。それを解決をしなければならないのに、部下に言っても上司にはアイデアは集まらない、言ってくれない。そんな状況ありますよね。
今日はそんなお悩みをどのように解決できるのか、その緒(いとぐち)をご紹介します。今日の主人公は技術者のAさんです。Aさんの所属するにX社はテーマ提案制度や10%ルールなどのテーマ提案を促進する制度があります。Aさんは上司からテーマを提案するように言われているのですが、あまり前向きになれませんでした。今日の記事では、Aさんの心の内を手がかりにして、X社や上司の方の学びをご紹介したいと思います。
1. テーマ創出:Aさんのお悩みとは?
「いや、(上司に提案を)言っても仕方がないんですよ」と言ったのは、技術者のAさんでした。
もう何年か前のことですが、私とAさんはX社会議室で打ち合わせをしていました。内容は研修の進め方に関する個別相談です。私はX社でテーマ創出のための研修をしていたのですが、私とAさんは講師と受講生の関係。打ち合わせでは、その研修でAさんに実施していただく宿題について相談をしていたのです。
X社の経営環境について説明します。X社の研究開発スタイルは、いわゆる顧客要望対応型です。事業部が強く声が大きく、事業部が顧客から聞いてきたことを開発にさせるようになっています。研究には、開発に比べると若干の独立性はあるものの、事業部依頼のテーマをすることになっていました。
AさんはX社研究所にご所属です。研究所としての独立性を生かしてテーマを創出しなければなりません。独立性を活かすということになると「既存の事業や技術からは離れて自由に検討をする」というイメージになるのですが、そうは行かない現実があります。
Aさんもそんな現実に縛られる一人でした。前述の通り、X社には10%ルールなどのテーマ提案促進制度がある一方で、Aさんはその自由を感じていなかったのです。
X社の上層部には、おそらく「うちの会社では10%ルールも導入したんだから社員は自由にできるはず」という思いがあっただろうと思います。一般的に制度ってそういうもので、為政者が良かれと思って作るのですが、動いていなくても為政者はそれに気づかないところがあります。ハコモノ行政と似たところがありますね。X社でも同様に制度が機能していなかったのでしょう。Aさんの冒頭の発言につながるのです。
2. テーマ創出:Aさんの発言の背景は?
「どういうことですか?」と私が問いかけるとAさんは「色々と提案しても重箱の隅をつつくように色々と言われまして、、、」と言いにくそうに話されました。
ここまで聞いて私はAさんの状況が理解できました。Aさんの悩みを一言で言えば説明責任の問題なのです。説明責任とは、何かを実施しようとする時の投資対効果の説明をする責任のことです。実直なAさんは、説明責任を徹底的に果たさなければ新しい提案が通らないと思っていました。
しかし、私にはAさんとは異なるイメージが浮かびました。どういうイメージかと言えば、リスクのある投資に慣れていない上司が責任を取らされるのを恐れてしまい「本...