プラスチックは私たちの生活に欠かせない素材ですが、その便利さの裏には深刻な環境問題が潜んでいます。毎年膨大な量のプラスチックが廃棄され、海洋や土壌に蓄積されることで生態系に悪影響を及ぼしています。そこで注目されているのが、プラスチックを分解する微生物です。これらの微生物は特定の酵素を用いてプラスチックを分解し、環境への負荷を軽減する可能性を秘めています。本稿ではプラスチック分解微生物の背景やその仕組みについて詳しく解説し、持続可能な未来に向けた取り組みの重要性を考えていきます。
1. プラスチック分解微生物とは?
プラスチック分解微生物は、プラスチックを分解する能力を持つ微生物です。特にポリエチレンやポリプロピレンなどの、耐久性のあるプラスチックを分解することができる菌やバクテリアが発見されています。これらの微生物は、自然界でのプラスチックの蓄積問題を解決する可能性を秘めています。最初の発見は、2016年に日本の研究者が「Ideonella sakaiensis」というバクテリアを特定したことに始まりました。このバクテリアはPET(ポリエチレンテレフタレート)を分解する酵素を持ち、環境中のプラスチックを効果的に処理することが期待されています。プラスチック汚染の軽減に向けた新たなアプローチとして注目されています。