▼さらに深く学ぶなら!
「技術者倫理」に関するオンデマンドセミナーはこちら!
1. 「倫理」という見えないが最重要な考え方
「もし、上司から安全基準を無視するよう指示されたら、あなたはどうしますか?」この質問に、250名の新入社員が真剣な表情で向き合っています。私は20年間、製造業の技術者として勤務した経験を持ち、現在は研修インストラクターとして、若い技術者たちに、技術者としての専門知識以外に「倫理」という見えないが最重要な考え方を授けています。
2. なぜ今、技術者倫理なのか
「またメーカーの不祥事か」このフレーズを聞くたびに、私たち技術者の心は痛みます。しかし、その裏には単純な「悪意」だけでなく、複雑な現実が潜んでいるのです。そして現在では、AIやIoTの発展により、技術者は以前にも増して難しい判断を迫られています。例えば、自動運転車の事故回避アルゴリズム。「乗客の安全」と「歩行者の安全」どちらを優先すべきでしょうか?このような新しい技術がもたらす倫理的問題について、従来の倫理観では対応しきれない新たな課題が生じています。
3. 事例から学ぶ技術者倫理
(1)「正解のない」ケーススタディ
研修では、実際に起こった倫理問題を題材に、受講者自身が考え、議論する機会を設けています。具体的には次の事例を取り上げています。
① 雪印乳業集団食中毒事件(2000年)
この事件では、製品の安全性確保と迅速な情報公開の重要性が浮き彫りになりました。事故発生後の対応の遅れが被害を拡大させ、結果的に1万4,000人以上の被害者...