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1. ヒューマンエラー防止策を講じても、完全にミスは防止できない
ヒューマンエラー防止策を講じても、完全にミスは防止できないのが実情です。真因の発見がまだ表面的であったり、別な因子であったりすることは往々にしてあります。そこでヒューマンエラー防止策を最終手段として考えてしまうのではなく、一歩手前の異常のアクションのきっかけとして、捉えてもらえればと考えます。完全に封じ込めたと思った瞬間に、大抵は再発してしまうことがあるのです。これはお恥かしながら筆者の経験知です。
このアクションは、4つあります。
- ①・・・アクションがすぐにわかること。
- これは、注意式にあったアンドン、ランプ、ブザーで喚起し、すぐに作業や機械を止めて真因を追求するものです。多くの場合が、処置だけで済ませることが多く、しばらくすると再発してしまいます。これは処置だけしかできないという組織的な問題もあります。そのために、改善や対策が実行できるチームリーダー、班長などオペレータ以外の人にも加わってもらう必要があります。いつまでもモグラたたきをしていては、企業は生き残っていけません。
- ②・・・不良が造れないこと。
- 加工、組立時に不具合があれば次のステップに進めなくするものです。この実例は、車を駐車場から出庫する時にチケットと正しい料金を自販機に投入してOKになれば、遮断棒が上がり出庫できる仕組みです。
- ③・・・不良を造らないこと。
- 標準作業の徹底、設備の良品条件の整備、作業環境を整えて、不良が造れないようにすることです。これは指導、教育、訓練が伴い時間もかかります。しかし実施ができれば、不良手直しがゼロになり、仕掛削減、リードタイム短縮、生産性の...
2. 規制式は注意式より確実、念には念を入れて
1つの対策だけでなく、2つあるいは3つなど複数のゲートを設けて、間違い防止に歯止めのクサビまで埋め込めたいほどです。以前にも紹介しましたように、不良が発生し市場で発見された時の損失はとんでもない金額になるからです。まず簡単にできる注意式を実施して、不安があればさらに規制式も導入しましょう。ちょっと費用も手間をかかりますが、一度導入したら「こんなものか!」と一気にハードルは低くなります。
この規制式は、異常が発生した時に設備や機械が停止し、ワークを固定しているクランプが解除できなくなり、次の作業ができないようにしたものです。つまり、連続して不良の発生を防止するもので、注意式より強い規制効果のやり方です。
例えば、4つの部品をピッキングして組立する工程において、順番に取らなかった、抜けがあった、二重に取った場合など、連動してブザーと赤ランプが点灯します。なおかつ次工程へ進めないように、工程端にあるシャッター(ジャマ板)が下がらないようにしたものです。すべて正しい作業であれば、シャッターが下がり次工程に進めます。この時、OKだと分かるように「ピンポン♪」のチャイムと緑ランプも点灯させて動作させます。ヒューマンエラーは、潜在的なものが多く潜んでいますので、念には念を入れたいものです。いいかえれば、そこまでやるか?と言うことまでやってみましょう。
この規制式に、さらに数が正しく合っているかを確認する「員数確認」、水圧・気圧や電圧・電流、流量など正しい範囲にあるかどうか確認する「範囲確認」、重量ならば「重量確認」などを合わせて検知させます。このように1つだけでなく、規制式に複数を組込む考えを「連合動作」と呼んでいますが、一緒に組込むことで一層精度が向上します。
以前にも言及しましたが、ワンチェックよりもダブルチェックだと、ミスの発見に気づきやすくなります。指差し呼称と言う動作を加えることで、さらに喚起できるようになります。同時(デュアル)チェックだとさらに発見できることを紹介しました。注意式も規制式も複数の組合せにすることで、効果を高めます。
3. 油断大敵、大切なのは普段の日常点検
筆者の失敗談です。寸法外れのクレームがあり、ポカヨケ装置の対策を講じて顧客に説明に行きました。その後一年間はクレームがありませんでした。ところがまた同じクレームが発生したのです。原因は、ポカヨケ装置の固定していたネジが緩んでしまい、寸法のズレが検知できなかったのです。とってもお粗末なことでした。安心しきってしまったのです。その時の出張はとても恥かしく、苦しい言い訳をする羽目になりました。
気を取り直し、歯止めとなる対策の検討を行いました。ポカヨケ装置やこれらの防止策も経年変化擦るのだと前提条件を変えて、始業前、昼休憩後、終業時にも点検をすることにしました。始業時と終業時は、オペレータではなく、第三者である管理監督者が点検するようにしました。昼休憩後は、オペレータ自らに点検してもらいます。さらにネジの緩み防止として「合いマーク」、ダブルナット、場合によっては溶接、一体物にするなど様々な方法を盛り込むようにしました。
人にはミスが付き物であり、注意だけの意識だけは限界があります。何らかの防止策を講じ、なおかつ複数の打ち手を組み合わせることで、より確実にヒューマンエラー防止策を取りましょう。
次回に続きます。
【出典】株式会社 SMC HPより、筆者のご承諾により編集して掲載
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