潜在ニーズをとらえる仮説検証の3ステップ、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その99)

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この連載の前回、継続的に保有技術の用途探索をする理由とポイント、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その98)へのリンク

【目次】

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    事業・商品の企画を担当すると必ずといっていいほど、ターゲットの潜在ニーズをとらえることが求められます。

     

    背景には、ターゲットを取り巻く環境に生死や事業継続といった、喫緊の大きな課題がなくなってきつつあることが挙げられます。ゆえにターゲットにヒアリングをすると「もっと安くしてほしい」や「安全かつリスクが低ければよい」といった、しごく全うな当たり前ともいえる要望を聞くことになります。

     

    企画者は、当然ながら低コストや信頼性が高く安全な商品を企画しているはずですが、果たしてこれらが市場成長を促すような本当のニーズと言えるのかというと疑問が残ります。理由として、ターゲットは何も意地悪をして本当のニーズを出さないのではなく、まだ気づいていないことが往々にして起こりえるためです。この気づいていな...

    い本当のニーズが、潜在ニーズです。

     

    ターゲットが現時点で気づいていないニーズのため、課題や悩みをヒアリングをするだけでは明らかになりません。では、何をすれば潜在ニーズを引き出すことができるのかというと、観察です。観察はデザイン思考で用いられる考え方で、顧客の活動を観察することで不明確な課題を明らかにします。今回は、観察による潜在ニーズ発掘の3つのステップを紹介します。

     

    【観察による潜在ニーズ発掘の3つのステップ】

    (1)観察

    顧客の活動を観察します。観察対象は、ターゲットの顧客とする必要があります。想像ではなく、実際の行動や思考をとらえることに留意します。ターゲットへのアプローチができないという理由で想像のみで仮説するケースを目にすることがありますが、これでは思い込みや偏重が発生するため、観察とはいえません。

     

    実際のターゲットに対して、五感を使って観察することが必要です。観察することで得られる効果ですが、ターゲットが日常当たり前として捉えている、つまり今さら不満や不快・不便と感じていない事象は、当たり前バイアスが掛かっていない第三者だからこそ気付く可能性が高いです。観察の中で見聞きしたり、感じた、ちょっとした違和感をすべて記録することが重要です。

     

    (2)仮説

    記録した違和感を課題として仮説します。仮説した課題をターゲットに問いかけ、反応を確認します。この時「あなたの課題は〇〇〇ですか?」という確認をすると、そんなに大きな課題ではないという反応があったりと、話が膨らまなくなることが多いです。

     

    このように直接的に課題に言及するのではなく「〇〇〇が△△△になったら、うれしいですか?やりやすいですか?」と、課題を解決した状態を示しつつ、効果に対する反応を見極めることを推奨します。ただし先行事例を多く持ち、業界を熟知しているようなケースでは「あなたの課題は〇〇〇です。」という言いきりスタイルがよい場合もありますので、見極めが必要です。

     

    (3)解決策

    仮説した課題に対してターゲットが良い反応を示した後、解決策を提案します。これから企画・開発を行うことになるため、企画・仕様・開発スケジュール案を提示し、プロトタイプのテスト依頼など継続的な協業を模索します。これら3ステップの活動を行い、観察・仮説・解決策のループを繰り返す、もしくは前ステップに戻り再定義することで、ターゲットが真に求める潜在ニーズを捉えます。

     

    次回に続きます。

     

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