サプライチェーンマネジメントの最終目標とは

更新日

投稿日

 サプライチェーンマネジメントは、企業のキャッシュフローのスピードを上げて、企業の生命力を強くすることが最終目標です。血液の流れが円滑であることが生命力の源であり、水の流れが川の生命としての清い流れを作り、自然界の空気の流れと燃料の流れの合流が美しい炎になるように、物流とともにキャッシュの流れが淀みなく続くことによって企業としての生命は力強いものになります。この水の流れと炎の例は、複雑系のモデルとなった散逸構造論のメタファです。同じように、企業のキャッシュの流れのスピードを表わすのがスループット(キャッシュを生む物の流れ)、サプライチェーンの中にあるキャッシ...

 サプライチェーンマネジメントは、企業のキャッシュフローのスピードを上げて、企業の生命力を強くすることが最終目標です。血液の流れが円滑であることが生命力の源であり、水の流れが川の生命としての清い流れを作り、自然界の空気の流れと燃料の流れの合流が美しい炎になるように、物流とともにキャッシュの流れが淀みなく続くことによって企業としての生命は力強いものになります。この水の流れと炎の例は、複雑系のモデルとなった散逸構造論のメタファです。同じように、企業のキャッシュの流れのスピードを表わすのがスループット(キャッシュを生む物の流れ)、サプライチェーンの中にあるキャッシュがインベントリー(在庫)、その流れを作る駆動ボンプを動かす別系統の流れがエクスペンス(経費)です。

 

 この三つの指標を決める生産や販売の現場でサプライチェーン経営指標となるものが、納期達成率、在庫回転率、稼働率、リードタイム、サイクルタイム、充足率……などです。これらは、多くのサプライチェーンマネジメント(SCM)ベンダーの成功事例の中でアピールされている指標です。

 

 コンピュータを応用する歴史の中では自動化、省力化、経費削減、生産性、効率向上が主目標であったために、未だにサプライチェーンマネジメントの導入効果として、プランナーの数を減らして人件費を削減したとか、サプライチェーンのオペレーティングコストを削減したということが注目されていますが、サプライチェーンマネジメントの経営指標としては、それはほんの一部の効果でしかありません。それよりも、プランニングのサイクルタイムが月次から週次になり、二週間の作業計画が二日で可能となる場合の在庫回転率やスループットの向上のほうが、はるかにインパクトがあるはずです。

 

 そもそもサプライチェーンマネジメントは、企業として生きるか死ぬかというクリティカルな状態でも、効果のある経営手法です。

 

 企業の経営の指標で経済全体の指標が表わせないように、生産や販売の部分的効率指標で、企業全体のキャッシュフローの経営指標を表わすことはできません。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その13)

1.例えば単価10万円の商品で考えて見ましょう    前回のその12に続いて解説します。商品単価が安い商品なら品切れも欠品も、消費者にとって...

1.例えば単価10万円の商品で考えて見ましょう    前回のその12に続いて解説します。商品単価が安い商品なら品切れも欠品も、消費者にとって...


コア・コンピタンスを再定義する

 大手企業・完成品セットメーカーのコア・コンピタンスは、量産立ち上げの早い生産技術かも知れないし、熟練した開発設計技師の開発スピードや会社のハイテク技術製...

 大手企業・完成品セットメーカーのコア・コンピタンスは、量産立ち上げの早い生産技術かも知れないし、熟練した開発設計技師の開発スピードや会社のハイテク技術製...


精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その9)

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
ノウハウの伝承 物流職場での後輩育成(その1)

  ◆ 指導書とビデオで勉強会  昔から物流業務の標準化は遅々として進んでいません。その影響でしょうか、物流スキルも俗人的な場合が多くみ...

  ◆ 指導書とビデオで勉強会  昔から物流業務の標準化は遅々として進んでいません。その影響でしょうか、物流スキルも俗人的な場合が多くみ...


物流改善とともに大切なこと(その3)

◆「責任と権限をセットで与える」とは  前回のその2に続いて解説します。社員みんなが本気になることで物流改善を通して会社を変えていくことができるよう...

◆「責任と権限をセットで与える」とは  前回のその2に続いて解説します。社員みんなが本気になることで物流改善を通して会社を変えていくことができるよう...


トラック稼働率 保有能力を目いっぱい使おう(その2)

       1. トラックという高価な設備の活用とは  トラックの保有する能力を目いっぱい使うことは何も積載量だけの話ではありません。トラッ...

       1. トラックという高価な設備の活用とは  トラックの保有する能力を目いっぱい使うことは何も積載量だけの話ではありません。トラッ...