1.下町ロケットの見せ場
池井戸潤原作の「下町ロケット」がテレビドラマ化され、ドラマの中で、中小企業の典型的な「すり合わせ技術」が紹介されている見せ場がありました。吉川晃司さん演じる帝国重工の財前部長が、バルブシステムの製造ノウハウを見せられ、佃製作所の強みを目の当たりにするシーンです。それは、バルブシステムの品質を極限まで高めるものです。具体的には、穴あけ、切削、研磨、仕上げ等のノウハウです。製造装置の精度を上回る技術者の感覚や勘所は、帝国重工に真似できない設定になっています。このようなノウハウを非公開(秘密)にすることで、佃製作所は特許と同じくらい価値ある技術をセールスポイントにできているわけです。