「FMEA」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「FMEA」とは

FMEA(Failure Mode and Effect Analysis:不良モード影響解析)とは、製品または部品が不具合を発生した場合の発生率と検出可能性、影響度を故障モード毎に評価し、またこの評価で重要と判定された故障モードについては、設計時に未然防止あるいは発生時の対策を盛り込むことで重大事故の発生を防ぐ信頼性工学的な手法です。 製品設計時に用いる設計FMEAと、工程設計時に用いるプロセスFMEAに分類され、特に自動車関連工業で積極的に利用されます。

 

2.「FMEA」、何を目的として導入するのか

FMEAは想定外の故障や事故を事前に洗い出し、対策する手段として用いられるのであり、既知の不具合、または再発が想定される(可能性がある)不具合はFMEA解析の対象外です。つまり、仕様確認漏れ、部品選定誤り、過去の同様トラブル対策の適用漏れなどの設計ミスや設計手順飛ばし、設計検討不足、ポカミスによる不具合の洗い出しは、FMEAの対象外です。このような場合はまず、設計ミスが起きる原因となっている設計工程、設計手順の問題点を洗い出し、改善を行うことが必要です。

 

3. FMEA解析の進め方の問題とは

一般的な解説書では、FMEAを実施する際は、4、5人のチームを結成して実施対象の製品の故障モードをすべて列挙して、それぞれの故障モードに対する対策が十分かどうかを検討すると書かれています。しかしながら、このような方法で本当に解析は可能でしょうか。中小企業ではこのような効率が悪い方法で設計作業を行うことはほとんど不可能です。設計者はそれぞれ個別に案件を抱えており、一つのFMEAだけに多くの時間を割くことはできません。実際には、各設計者が事前にセルフFMEAを実施し、その結果に抜け漏れが無いかどうかを確認する意味で、複数の関係者が合同で検証するFMEAレビューを実施するという手順を構築することが有効と思われます。また、各部品・材料、コンポーネントの故障モードをあらかじめ洗い出し「故障モード一覧表」を作成しておくことが求められます。

 


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