福島正伸というカリスマ・コンサルタントがいます。福島氏には数々の名言があるのですが、たまたま触れた次の言葉が心に残りました。
『1回で変わる人、1年かかる人、10年かかる人。時間がかかる人にも理由があります。例えば過去に辛い体験をしたなど、こちらが想像もつかない理由があるのです。人によって接し方を変えていくのは勿論、とにかく相手を信じて待ってあげてください。』
人はそれぞれに事情を持つのであり、自分の考えで判断してはいけないということ、そして、信じ続けることが大切だということがよくわかります。
実は、この言葉に触れて思い出したことがあります。「信頼」と「信用」です。
突然ですが、「信頼」と「信用」との違いって何だと思いますか?ちょっと考えてみてください。どうですか?ひとつずつ解説したいと思います。まず、何かしらの根拠が前提となっているのが「信用」です。
たとえば、銀行がおカネを貸すのは、その人が土地を持っているとか、安定した仕事をしているとか、何かしらの信用がある場合だけです。そういう何かしらの保証(担保)があるときにするのが「信用」です。だから、信用には取引という概念が入っています。
一方、「信頼」というのは根拠がないのに信用することです。
人に対して白紙の小切手を切るという行為です。白紙の小切手を渡して「あなたは悪いようには使わないだろうから、自分が良いように使ってください」と言えること、これが人を「信頼」するということです。
よく、「あれだけしてやったのに信頼を裏切られた」という言い方をしますが、これは「信頼」ではなく「信用」ですね。裏切られたと思っているのは、「あなたがちゃんとやれば」という条件がついている「信用」からであり、「信頼」であれば裏切られるという感情は生まれないはずです。
さらに思い出したのが、アドラー心理学のいう人の幸せの定義です。
アドラー心理学とは、フレックス・アドラー (1870 - 1937) という、心理学の世界ではユングやフロイトと並ぶ存在と言われている人の理論がもとになったものなのですが、人の幸せとは「自分が好きで」「他人も信頼できて」「社会に貢献できる」ことだと定義しています。
アドラーのいう幸福の条件のひとつである「他者信頼」とは、人を「信用」ではなく「信頼」するということであり、福...