「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、ATM等に組み込まれる精密金属パーツが主要製品です。新規の成長市場を探索し、A社の強みである「精密加工技術」が一目でわかる試作品を製作することとしました。F1レースカー型の缶オープナーを試作し、レース会場での市場実験を開始してみると、B2Bの業界関係者には好評でしたが、レースクイーンやキャンペーンガールの女性達から不満や悩みが出て、隠れたニーズを発掘収集。絞り込んだターゲット顧客は、ネイルを施している為、缶を開けづらい女性でした。コンセプトは①当社の全ての技術の見せる化②利便性の高いもの③かわいい感性の3点です。その結果、女性がワクワクするシンデレラの靴として、4つの金属パーツを37工程かけて精密加工した、ハイヒール型プルタブオープナーが完成したのです。
更に、成長市場であるネイル業界と本格的な異分野協業が始まりました。世界中のネイリストと契約し、かわいい装飾デコを施すビジネスモデルを構築し、完全カスタマイズの2週間お待たせ商品にしたことで、待つ楽しみのワクワク感も演出しました。缶と女性を掛け合わせた「CANGAL」という商標名でブランディング化も図ったところ、実用品と装飾品を兼ねた製品であるものの、アクセサリとして購入する顧客も多くなっています。
写真1 ハイヒール型プルタブオープナー
他方、業務用のプロが見れば、金属精密加工の技術力の高さが一目瞭然です。この「見える化」により、今まで取引の無かった異業種企業から開発・設計を含む依頼が増え、十数%の需要増加につながりました。B2Cのネイル女性向けという、一見、全く関係ない製品が技術PRとして企業価値...