高齢化社会の「アンメットニーズ」ー米国3M社の事例

投稿日

 技術から事業価値への転換こそが、成長戦略成功の鍵と言われて久しい。しかし今年に入っても設備投資に踏み切る企業が多いとは言えないのは、稼げる事業テーマや新商品の開発ネタが出にくい社内事情があるか、発見できていないからではないでしょうか?

 その理由のひとつは、多くの開発者や企画担当者が情報源を調査会社レポートに頼ったり、膨大な情報を求め、或いは議論に紛糾したり、最も大切なことをしなくなっている。つまり、何かに気づいたとき顧客のところへ行って、自分の立てた仮説についてどう思うかを聞きまわったり、観察したりというフィールド歩きをしていないからだと思います。

 今、多くの新商品を輩出し、高付加価値の知財マネジメントによって効果的に投資回収する企業として、4年以内の新製品比率30%をたたき出す米国3M社が注目されています。さぞや企画担当が、綿密な市場分析と精緻な事業計画を練り上げて、新製品開発や新事業を進めてきたのかと思いきやさにあらず、彼らの新規開発の計画書は5ページ程度でよく、ものになりそうとなるとチームを組んだり、資金のスポンサーが社内から出てくるといった仕組みが、100年に渡る多くの成功失敗の中から編み出されているのだそうです。

 有名な6ゲート法なる開発ステップの関門突破チェックも、要はそれが創れるのか、売れるのか、そして儲かるのかという3つを、開発過程で何度も問い続けることなのです。

シックスゲート

 何よりも成長するための鍵は新製品にあり、市場化までのステップで最も重要なのは、最...

 技術から事業価値への転換こそが、成長戦略成功の鍵と言われて久しい。しかし今年に入っても設備投資に踏み切る企業が多いとは言えないのは、稼げる事業テーマや新商品の開発ネタが出にくい社内事情があるか、発見できていないからではないでしょうか?

 その理由のひとつは、多くの開発者や企画担当者が情報源を調査会社レポートに頼ったり、膨大な情報を求め、或いは議論に紛糾したり、最も大切なことをしなくなっている。つまり、何かに気づいたとき顧客のところへ行って、自分の立てた仮説についてどう思うかを聞きまわったり、観察したりというフィールド歩きをしていないからだと思います。

 今、多くの新商品を輩出し、高付加価値の知財マネジメントによって効果的に投資回収する企業として、4年以内の新製品比率30%をたたき出す米国3M社が注目されています。さぞや企画担当が、綿密な市場分析と精緻な事業計画を練り上げて、新製品開発や新事業を進めてきたのかと思いきやさにあらず、彼らの新規開発の計画書は5ページ程度でよく、ものになりそうとなるとチームを組んだり、資金のスポンサーが社内から出てくるといった仕組みが、100年に渡る多くの成功失敗の中から編み出されているのだそうです。

 有名な6ゲート法なる開発ステップの関門突破チェックも、要はそれが創れるのか、売れるのか、そして儲かるのかという3つを、開発過程で何度も問い続けることなのです。

シックスゲート

 何よりも成長するための鍵は新製品にあり、市場化までのステップで最も重要なのは、最初のアイデア発見と良いコンセプトづくりです。できれば試作してしまい、顧客がまだ気づかない状況でインタビューやディスカッション、観察をして客に役立つアイデアやヒントを手に入れて会社に戻りましょう。この会社では技術者が営業以上にどんどん外に出ていくそうです。シンプルイズ・スマート! この会社の標語のひとつですが、いい得て妙だと思います。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

岩島 光太郎

異分野技術を組み合わせて、付加価値新商品で稼げる知財事業モデルを創造しよう!

異分野技術を組み合わせて、付加価値新商品で稼げる知財事業モデルを創造しよう!


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
『価値づくり』の研究開発マネジメント (その11)

     今回は、オープンイノベーションを経済学のキーワードから「競争原理」について、解説します。 ◆関連解説『技術マネジメ...

     今回は、オープンイノベーションを経済学のキーワードから「競争原理」について、解説します。 ◆関連解説『技術マネジメ...


技術戦略 研究テーマの多様な情報源(その37)

     前回は、アイデアを創出する活動として『隣接可能性』を説明しました。それでは、隣接可能性で創出した『粗いアイデア』をど...

     前回は、アイデアを創出する活動として『隣接可能性』を説明しました。それでは、隣接可能性で創出した『粗いアイデア』をど...


自社の存在価値 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その112)

  知識や経験を整理するフレームワークとして、本質とそれ以外という区別があるという理解から、「本質とは何か」を解説しています。また、企業活...

  知識や経験を整理するフレームワークとして、本質とそれ以外という区別があるという理解から、「本質とは何か」を解説しています。また、企業活...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
品質の仕組みとは3 プロジェクト管理の仕組み (その29)

 これまでISO9001を例にした話になっていますので、ここで PMBOK (Project Management Body of Knowledge) ...

 これまでISO9001を例にした話になっていますので、ここで PMBOK (Project Management Body of Knowledge) ...


新技術の特長活かした新規事業機会創出に向けて

※イメージ画像   1. 電子部品業界を牽引 ~ リバーエレテック社  今回は水晶振動子や水晶発振器を中心に業界のリーディングカンパニー...

※イメージ画像   1. 電子部品業界を牽引 ~ リバーエレテック社  今回は水晶振動子や水晶発振器を中心に業界のリーディングカンパニー...


設計改善研究会の成果 伸びる金型メーカーの秘訣 (その39)

        今回、紹介する機械装置メーカーは、株式会社 K製作所です。同社は、自動車メーカーや工作機械メ...

        今回、紹介する機械装置メーカーは、株式会社 K製作所です。同社は、自動車メーカーや工作機械メ...