PDCA サイクルとシステム手帳

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今回は、「スケジュールやタスクをどうやって管理しているのか」という話題です。僕が「フランクリン・プランナーを使っている」と言うと、皆が「えー、まだ紙を、しかもフランクリン・プランナーを使っているの?本当?化石のようだ」と驚かれてしまいました。
 
リーンシックスシグマに専念する前は、これでもソフトウェア・エンジニアを 20 年以上やっていたので、そこに集まっていた連中の誰よりもコンピュータやソフトウェアに詳しいと自負しています。もちろんスマートフォンや PC のソフトウェアも色々と試しました。それでもあえて紙のプランナーを使っているのには、いくつかの理由があります。その理由について、説明します。
 
【目次】

    1. 個人レベルの PDCA サイクルを実現するため

     
    リーンシックスシグマのプロジェクトを担当する同僚達たちの中には PDCA サイクルを分かったように語っている連中もいますが、僕から言わせれば、連中は語るだけで実行はしていません。連中が語るのは、いつも企業レベルやプロセスレベルの PDCA サイクルばかりです。
     
    連中は、リーンシックスシグマを使ってもなかなか会社や組織が変わることができない理由を「PDCA が上手く回っていないから」というような感じで語るのです。会社や組織を変えようとする前に、まず個人自らが変わっていかなければならないと思います。そして個人が変わっていくには、システム手帳を使って小さな PDCA ...
     
    今回は、「スケジュールやタスクをどうやって管理しているのか」という話題です。僕が「フランクリン・プランナーを使っている」と言うと、皆が「えー、まだ紙を、しかもフランクリン・プランナーを使っているの?本当?化石のようだ」と驚かれてしまいました。
     
    リーンシックスシグマに専念する前は、これでもソフトウェア・エンジニアを 20 年以上やっていたので、そこに集まっていた連中の誰よりもコンピュータやソフトウェアに詳しいと自負しています。もちろんスマートフォンや PC のソフトウェアも色々と試しました。それでもあえて紙のプランナーを使っているのには、いくつかの理由があります。その理由について、説明します。
     
    【目次】

      1. 個人レベルの PDCA サイクルを実現するため

       
      リーンシックスシグマのプロジェクトを担当する同僚達たちの中には PDCA サイクルを分かったように語っている連中もいますが、僕から言わせれば、連中は語るだけで実行はしていません。連中が語るのは、いつも企業レベルやプロセスレベルの PDCA サイクルばかりです。
       
      連中は、リーンシックスシグマを使ってもなかなか会社や組織が変わることができない理由を「PDCA が上手く回っていないから」というような感じで語るのです。会社や組織を変えようとする前に、まず個人自らが変わっていかなければならないと思います。そして個人が変わっていくには、システム手帳を使って小さな PDCA サイクルを毎日回すことが一番簡単だと思っています。
       
       

      PDCA

       
       
      僕は毎朝、その日の予定をコンピュータの予定表からシステム手帳に書き写します。そしてその日に実行できそうなタスクをシステム手帳に書き込みます。前日に終わらなかったタスクについては、前のページから書き写します。
       
      次にタスクに優先順位をつけます(A は一つ、B は二つ、C は三つまで)。そしてそれぞれのタスクに簡単な目標値を設定します(KPI: Key Performance Indicator として)。これでその日の  P(プラン)フェーズが完了します。
       
      次は D(実行)フェーズです。すでに KPI が定まっているので、あとはそれを達成しようと努力するだけです。システム手帳はメモ帳代わりに使うので、できるだけいつも開いておきます。開いておくことが大切です。開いておくことで、絶えずプランと実績の乖離を C(チェック)することができるからです。そしてプランと実績の乖離に気付いたら、それをできるだけ埋めようと A(行動)します。
       
      こうして一日の PDCA サイクルが個人レベルで回っていきます。尚、フランクリン・プランナーには Sharpen The Saw(鋸を研ぐ)という週単位で使う”しおり”のようなものがあります。週に渡る計画や目標などは、この Sharpen The Saw を使って少し長い周期の PDCA サイクルとして回します。
       

      2. 潜在意識に叩き込むため

       
      毎朝手書きでスケジュールやタスクを書き写すことで、その日の行動を頭の中で組み立てることができるのと同時に、重要なタスクが記憶として定着します。また何日も終わらなかったタスクについては何度も何度も書き写すことになるので、否応なしに記憶に残るだけでなく、書き写すことがいやになるため、それを早く終わらせようとする気持ちが働きます(これがアプリとは大きく違う)。
       

      3. 図形でまとめるため

       
      手書きの良いところは、すばやく図形が書けるところです。メモを採るときはできるだけ図形で書き表すことで、理解が深まります。
       

      4. ムダを削減するため

       
      プロセスの改善などを始めるときは必ず新しいソフトウェア・システムを導入することを考えませんでしょうか、まるでソフトウェア・システムを導入することがプロセス改善の前提になっているような感じです。そして「このソフトウェアを使うと無駄を削減できる」と言うのです。仕事レベルだけでなく個人レベルでもそうです。必ず新しいアプリを探して、スマートフォンに入れたりするのです。
       
      実際に起こっていることは、ソフトウェアやアプリを使うことが忙しくなってしまうだけで、生産性は全く変わっていないか、かえって低下しているような感じさえします。僕にはそれこそが無駄に思えて仕方ありません。アプリで個人レベルの PDCA サイクルが上手く回るなら良いのですが、実際はアプリをダウンロードして満足している場合が多いのではないでしょうか。それならば、まずは手書きのシステム手帳で色々と自分なりの工夫をしてみるほうが楽しいし、クリエイティブな気持ちにも浸れ、気がつくとPDCA サイクルが上手く回りムダを削減しているのです。
       

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      この記事の著者

      津吉 政広

      リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関する問題を一緒に解決してみませんか?

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