【トヨタとサムスンの違い 連載目次】
トヨタとサムスンの違い(その2)企業集団と業態に続いて解説します。
◆ 業務指揮系統
業務指揮系統ではトヨタはピラミッド型、サムスンは垂直統合型です。なお、もう一社経験した自動車メーカA社は文鎮型でした。3社を比較すると下図のようになります。
なお、トヨタとサムスンの差というだけでなく、日本と韓国との差、あるいは日本とその他の差という印象も持っています。図に示す形態はそのまま企業の運営、あるいは職場の雰囲気につながってます。
トヨタは情報伝達に多少時間を要します。一方、隣の組織や関連部署との連携は比較的自由に生じています。
一方、サムスンでの情報伝達は極めて迅速です。組織としては、横との連携はほぼ皆無、もっぱら上に向かっての報告であり、上からの指示です。ちなみに、サムスンの方から聞いた情報ですが、この状況はヒュンダイではもっと厳格であるとのことです。上の指示は絶対であるという雰囲気の醸成は、徴兵制の影響と聞いたこともありますが、どうでしょうか。欧米の会社に勤務したことはありませんが、出張の際や話を聞いた雰囲気として、比較的この垂直統合型に近いように感じています。
A自動車では、トヨタ時代と比較しながら勤務していました。実におもしろい経験ができました。自由闊達(かったつ)で、ある意味バラバラです。ただ、横並びの中には、かなりシャープな発想をする方もいて、その発想の提案はいったん会社に受け入れられると自らが責任者として実行に移せる状況でした。
表現は適切でないかもしれませんが、ぼーっとさぼって過ごすこともできれば、どんどんとチャレンジもできる組織形態です。ただ、上の人の立場から見ると組織運営は大変なようです。
トヨタは、社内教育で比較的均一な人材に育ちますので、上司から見ると極めて運営が容易です。それ故、社外に出向や転籍した場合、メンバーが動かないという悩みを抱えることとなります。
サムスンは上からの指示は絶対ですので、上司から見て指揮命令は...