【トヨタとサムスンの違い 連載目次】
トヨタとサムスンの違い(その3)組織形態と運用についてに続いて解説します。
◆ 周りは博士だらけ
トヨタとサムスンの違い、今回は博士号についての話題です。
何度か触れてきたように、サムスンとは企業集団で、我々日本人が認識しているサムスン電子は、そのうちの一つの構成会社です。サムスン電子はグループの売り上げの半分以上を占め、主要経営陣を排出したりしていますので、サムスン電子だけをみていても大きくとらえて間違いはないでしょう。
私が勤務したサムスンは、エンジニアリングプラスチックの研究所でした。入社当時は第一毛織、のちにサムスングループ内の事業再編でサムスンSDIに事業移管されました。ちなみに私が退社したその月に、ロッテ(韓国のグループ企業、日本のお菓子のロッテから発展)に事業売却され、今現在はロッテケミカルとなりました。
研究所という環境もあったのでしょうが、入社してみると周りは博士だらけでした。
しかも、樹脂研究では世界最高峰ともいえるアクロン大学等の海外博士号取得者も多数いました。感覚的には3~4割が博士号取得しており、その3分の1は海外での取得者のようでした。博士号取得に重きを置くのは韓国全体の風潮です。特にサムスングループへ就職するために海外博士号取得のコースを選ぶ人も多いようです。
私自身は、トヨタ時代に自費・自主的に博士号を取得しました。
ただ、取得に格段の熱意があったわけではなく、話の流れでなんとなく取得しました。俗に、博士号は『足の裏のご飯粒』(取っても食えないが、取らないと気になる)と揶揄(やゆ)されますが、それほど取得にこだわりはありませんでした。
トヨタ自動車での博士号保有率は、近年格段に上昇しています。それでも数%程度でサムスンと比較すると10分の1から5分の1程度ではないでしょうか?
トヨタからの社命で博士号を取得した方はほぼ皆無です。
一方、今は格段に少なくなったようですが、日産では社命留学等で取得する例が結構ありました。ただ多くの方は、すでに日産を去ってしまったようにもお見受けしております。一時ホンダにも関連しましたが、総じて日本のカーメーカーでの博士号保有率は数%でしょう。
私自身は、博士号取得後に、いろいろと得をしたように感じてますので「チャンスがあるのでしたら、ぜひ取得されてはい...