輸送効率を示す尺度とは 物流会社の役割と荷主会社の役割 (その1)

更新日

投稿日

SCM

 

◆ 輸送効率向上に向けて

 今回は物流会社、荷主会社それぞれの役割についてです。物流業務を効率的に実施していくためには物流会社、荷主会社のどちらかが頑張るだけではだめであることは皆さんもご理解されていることだと思います。しかし、この点を理解されていないケースや誤解されているケースがあることも事実です。

 どの荷主会社でも大体物流コストの約6割を輸送が占めていると思います。そこで輸送効率向上に関して、お互いがやるべきことについて考えていきましょう。

 

 輸送効率を示す尺度には「実車率」や「回転率」、「積載率」などがあります。そこでこれらについて、みていきましょう。「実車率」とは総輸送時間に占める「ものを運搬している時間」の比率を指します。イメージとしてタクシーがお客さんを乗せて走っている時間の比率と考えれば良いと思います。

 この率は原則として、物流会社が仕事を受注することで高めることができます。従いまして、実車率を高める役割は物流会社にあると考えることが一般的でしょう。

 では「回転率」はどうでしょうか。これはトラックが一日何回転できるかということになります。この率が高ければ高いほど、効率的に仕事ができていることになるでしょう。これも物流会社の努力と言いたいところですが、実はこの回転率向上を阻害する要因を、荷主会社が作ってしまっていることがあるのです。その典型的な例が「トラックを待たせる時間」です。思い当たる荷主会社の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 荷主の構内に積み込みに行ったはいいが、荷が揃(そろ)っていなくて待たされる、ということが多発しています。そこでこの回転率向上に向けては、物流会社と荷主会社が共に努力をしなければならないということになります。

 最後に積載率はどうでしょうか。...

SCM

 

◆ 輸送効率向上に向けて

 今回は物流会社、荷主会社それぞれの役割についてです。物流業務を効率的に実施していくためには物流会社、荷主会社のどちらかが頑張るだけではだめであることは皆さんもご理解されていることだと思います。しかし、この点を理解されていないケースや誤解されているケースがあることも事実です。

 どの荷主会社でも大体物流コストの約6割を輸送が占めていると思います。そこで輸送効率向上に関して、お互いがやるべきことについて考えていきましょう。

 

 輸送効率を示す尺度には「実車率」や「回転率」、「積載率」などがあります。そこでこれらについて、みていきましょう。「実車率」とは総輸送時間に占める「ものを運搬している時間」の比率を指します。イメージとしてタクシーがお客さんを乗せて走っている時間の比率と考えれば良いと思います。

 この率は原則として、物流会社が仕事を受注することで高めることができます。従いまして、実車率を高める役割は物流会社にあると考えることが一般的でしょう。

 では「回転率」はどうでしょうか。これはトラックが一日何回転できるかということになります。この率が高ければ高いほど、効率的に仕事ができていることになるでしょう。これも物流会社の努力と言いたいところですが、実はこの回転率向上を阻害する要因を、荷主会社が作ってしまっていることがあるのです。その典型的な例が「トラックを待たせる時間」です。思い当たる荷主会社の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 荷主の構内に積み込みに行ったはいいが、荷が揃(そろ)っていなくて待たされる、ということが多発しています。そこでこの回転率向上に向けては、物流会社と荷主会社が共に努力をしなければならないということになります。

 最後に積載率はどうでしょうか。これは契約形態によって異なります。もし「車建契約」であれば、荷主がトラックをチャーターするので、積めば積むほど荷主にとっては良いことになります。従ってこの努力は荷主の役割といって良いでしょう。

 一方「個建契約」の場合、物流会社がより多くの荷主から荷物を集めないと儲(もう)からないことになります。この場合、積載率向上の役割は物流会社にあるといえます。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その1)

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その8)

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...


SCMの一環としての輸送とは 儲ける輸送改善 (その3)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
貨物自動車運送事業輸送安全規則 物流安全管理(その5)

  ◆ 運輸安全情報の公表  一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全を確保するために講じた措置や講じようとする措置、その他の輸送の安全に...

  ◆ 運輸安全情報の公表  一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全を確保するために講じた措置や講じようとする措置、その他の輸送の安全に...


物流工程設計の基本

1. 物流工程設計の必要性  物流は最初が肝心です。オペレーションが始まる前にどこまで詳細な設計を行ったか、それ次第でオペレーションが始まった後の効...

1. 物流工程設計の必要性  物流は最初が肝心です。オペレーションが始まる前にどこまで詳細な設計を行ったか、それ次第でオペレーションが始まった後の効...


  物流仕様書とは:物流アウトソースの前にやるべきこと(その2)

  1.RFP(Request for Proposal)の実行 前回お話させていただきました通り、物流業務発注に際してできるだけ細部の...

  1.RFP(Request for Proposal)の実行 前回お話させていただきました通り、物流業務発注に際してできるだけ細部の...