ビジネスを実施していく際には、その状態を正しく示す重要経営指標のKPI( Key performance indicator )が必要となります。これなしにビジネスを進めることは暗闇で、当てもなくさまようようなものだからです。物流業では特にKPI管理が苦手のようです。売上高や経費、利益の把握はできていたとしても、それにつながる従業員一人当たりの売上高やトラック一台あたりの利益といった管理指標を持つ会社は少数派です。
それでは物流KPIを把握する「視点」について考えていきましょう。物流KPIを把握するため、重要な要素といわれる5つの視点から今回は前回に続き、下記の「D=Delivery date(納期)」、「C=Cost(コスト)」、「M=Management(管理)」について解説します。
- S 安全
- Q 品質
- D 納期
- C コスト
- M 管理
3. D 納期KPI
これは物流では命といわれる部分であることは、皆さんも納得されるところだと思います。何月何日の何時何分にものを届けるということが物流には課されています。つまりこれが物流のバリューであるといえるかもしれません。
結果系のKPIとしては「納期遵守率」が真っ先に頭に浮かびます。顧客との間で合意された納期に対し、その通りにものを届けられたかどうかを判断します。
このKPIでは納期が細かくなるとその遵守が難しくなる傾向があります。「本日中に」という納期よりも「本日午前中に」の方が、さらに「本日10時40分に」の方が難しいと考えられます。何時何分の場合、前後何分まではOKとされることが一般的です。
一方、要因系KPIではどのようなものが考えられるでしょうか。例えば「荷揃(そろ)え完成率」などはいかがでしょうか。トラック出荷を行う前に荷をきっちりと揃えておけば、トラックはさっと荷を積んで出発することができます。その結果として顧客と合意した納期を守ることができるのです。
4. C コストKPI
物流でかなり重要視されるのがこのコストです。注目度が高い分、しっかりとした管理が求められます。
結果系KPIとして「コスト削減率」が挙げられます。企業は利益を確保しなければなりませんから、できるだけムダなコストは削減しなければなりません。そこで毎年一定の率でコストを削減する目標を立てることは良いことだと思われます。
では要因系のKPIはいかがでしょうか。こちらは「改善実施件数」などがよい指標だと思います。個々の改善アイテムをコツコツと愚直に片づけていくことが、結果的にコスト削減につながることは間違いありません。
5. M マネジメントKPI
物流管理を行っていくために様々なことを行っていくわけですが、その中で重要な人財育成について考え...