営業利益と物流コスト:会社で物流を意識するということ(その1)

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SCM

 

◆営業利益と物流コスト

会社の製品企画とか製品開発、それの生産や販売についても常に話題になります。しかし物流となると、それ単独で論議されることはあまり無いかもしれません。会社の中でどこまで物流が意識されているかどうかは疑問があります。

 

私たちが会社を訪問した時に、物流費がいくらかかっているかについて即答できるところはほとんどありません。では物流コストは利益金額と同等あるいはそれ以上の金額であること、この事実を皆さんご存知でしょうか。物流コストは原則として削減すればその分だけ利益を押し上げます。

 

それだけ利益向上に貢献できるアイテムが物流コストであることを、薄々わかってはいても、それに真剣に取り組む会社は多くありません。たとえば物流コストを1,000万円削減すると同額の利益が向上します。ではこの利益を生むために売り上げを増やすとした場合、いくらの売り上げが必要でしょうか。売上高営業利益率が4%の会社であれば、次の通りとなります。

 

1,000万円÷0.04=2億5,000万円

 

何と2億5,000万円の追加売り上げが必要になるのです。いかがでしょうか。物流コストを削減することと追加売り上げを上げること、どちらがやりやすいでしょうか。物流コスト改善に取り組んだことがない会社であれば、売り上げ拡大よりコスト削減の方が圧倒的に簡単だと思います。

 

そこで、まず物流を意識する、ここから会社の利益向上が始まると考えたらいかがでしょうか。意識したことが無ければまずは物流コストを「見える化」してみましょう。数値化することは人に与えるインパクトが何倍、いや何十倍、何百倍にもなるはずです。最初は経営層に物流コ...

SCM

 

◆営業利益と物流コスト

会社の製品企画とか製品開発、それの生産や販売についても常に話題になります。しかし物流となると、それ単独で論議されることはあまり無いかもしれません。会社の中でどこまで物流が意識されているかどうかは疑問があります。

 

私たちが会社を訪問した時に、物流費がいくらかかっているかについて即答できるところはほとんどありません。では物流コストは利益金額と同等あるいはそれ以上の金額であること、この事実を皆さんご存知でしょうか。物流コストは原則として削減すればその分だけ利益を押し上げます。

 

それだけ利益向上に貢献できるアイテムが物流コストであることを、薄々わかってはいても、それに真剣に取り組む会社は多くありません。たとえば物流コストを1,000万円削減すると同額の利益が向上します。ではこの利益を生むために売り上げを増やすとした場合、いくらの売り上げが必要でしょうか。売上高営業利益率が4%の会社であれば、次の通りとなります。

 

1,000万円÷0.04=2億5,000万円

 

何と2億5,000万円の追加売り上げが必要になるのです。いかがでしょうか。物流コストを削減することと追加売り上げを上げること、どちらがやりやすいでしょうか。物流コスト改善に取り組んだことがない会社であれば、売り上げ拡大よりコスト削減の方が圧倒的に簡単だと思います。

 

そこで、まず物流を意識する、ここから会社の利益向上が始まると考えたらいかがでしょうか。意識したことが無ければまずは物流コストを「見える化」してみましょう。数値化することは人に与えるインパクトが何倍、いや何十倍、何百倍にもなるはずです。最初は経営層に物流コスト総額と、売上高に占める比率を提供することをお勧めします。

 

多くの会社は物流に興味がなく、そこに人財を投入することはありません。しかし対投資効果の大きいのが物流人財の投入と物流コスト削減です。

 

次回に続きます。

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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