技術者倫理教育で実現する組織の価値向上(その3)京セラフィロソフィから学ぶエシックス経営

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技術者倫理教育で実現する組織の価値向上(その3)京セラフィロソフィから学ぶエシックス経営

【目次】

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    ◆ 技術者倫理教育と京セラフィロソフィから学ぶエシックス経営

    技術者倫理教育を通じた組織の価値向上についての連載を締めくくるにあたり、今回は京セラの経営指針[1]と「エシックス経営」[2]という概念を絡めて、このテーマを結論づけます。京セラの経営理念やフィロソフィーは、技術者倫理教育が組織に与える影響を深く理解する上で非常に優れている考え方です。

     

    1. 京セラの経営理念とフィロソフィー

    京セラグループの経営理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。この理念は、単なる利益追求を超えた社会的責任を重視しており、技術者倫理教育が目指す方向性とも一致しています。

     

    京セラフィロソフィーは、企業が目指すべき目的・目標を達成するために必要な考え方や規範を示しています。これは「人間として何が正しいか」を判断基準とし、倫理的な行動を促進するものです。この考え方は、技術者倫理教育が組織文化に根付くための基盤となります。

     

    2. エシックス経営と京セラフィロソフィーの共通点

    「エシックス経営」とは「倫理を基軸とした経営」を指し、企業の存在意義(パーパス)...

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      ◆ 技術者倫理教育と京セラフィロソフィから学ぶエシックス経営

      技術者倫理教育を通じた組織の価値向上についての連載を締めくくるにあたり、今回は京セラの経営指針[1]と「エシックス経営」[2]という概念を絡めて、このテーマを結論づけます。京セラの経営理念やフィロソフィーは、技術者倫理教育が組織に与える影響を深く理解する上で非常に優れている考え方です。

       

      1. 京セラの経営理念とフィロソフィー

      京セラグループの経営理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。この理念は、単なる利益追求を超えた社会的責任を重視しており、技術者倫理教育が目指す方向性とも一致しています。

       

      京セラフィロソフィーは、企業が目指すべき目的・目標を達成するために必要な考え方や規範を示しています。これは「人間として何が正しいか」を判断基準とし、倫理的な行動を促進するものです。この考え方は、技術者倫理教育が組織文化に根付くための基盤となります。

       

      2. エシックス経営と京セラフィロソフィーの共通点

      「エシックス経営」とは「倫理を基軸とした経営」を指し、企業の存在意義(パーパス)を実現するためには、日々の行動原理として倫理を組み込むことが求められます。この概念は、京セラフィロソフィーと多くの共通点を持っています。

       

      【両者の共通点】

      • 人間性重視・・・・・「人間として何が正しいか」を判断基準とする倫理基軸の考え方
      • 社会貢献・・・・・・人類、社会の進歩発展に貢献する社会価値創出の重視
      • 長期的視点・・・・・持続可能な経営と社会・経済の発展を目指す姿勢

       

      京セラの「心をベースに経営する」という考え方は、強い心のつながりをベースにした経営と倫理を基軸とした信頼関係の構築を重視しています。これは、エシックス経営が目指す倫理的な組織文化の醸成と密接に関連しています。

       

      3. コンプライアンスとインテグリティの融合

      エシックス経営において、コンプライアンスとインテグリティは相互補完的な関係にあります。コンプライアンスが法令遵守という基盤を提供するのに対し、インテグリティはより積極的に社会的責任を果たし、企業価値を高めていくための原動力となります。

       

      技術者倫理教育で実現する組織の価値向上(その3)京セラフィロソフィから学ぶエシックス経営

       

      この表から分かるように、インテグリティはパーパス経営により近い概念であり、エシックス経営の核心をなすものといえます。

       

      4. 技術者倫理教育と組織文化の変革

      京セラの経営哲学とエシックス経営の考え方は、技術者倫理教育が組織にもたらす価値向上の一例として非常に示唆に富んでいます。倫理的な行動が組織文化として定着すれば、それは単なるリスク管理手法ではなく、イノベーションや持続可能性の促進、人材育成など、多方面で組織に利益をもたらします。

       

      京セラでは、全社員に「京セラフィロソフィ手帳」「京セラ行動指針手帳」を配付し、社員がさまざまな機会でこれらを活用して京セラフィロソフィを学び実践することに努めています。この取り組みは、技術者倫理教育を組織全体に浸透させる上で参考になるアプローチといえるでしょう。

       

      5. まとめ

      技術者倫理教育を通じた組織の価値向上は、単なる理想論ではありません。京セラの経営理念とエシックス経営の考え方が示すように、倫理を基軸とした経営は、持続可能な成長と競争力強化につながります。技術者倫理教育を組織文化として根付かせることで、企業は社会的責任を果たしつつ、長期的な価値向上を実現できるのです。これは、今後の企業経営において、ますます重要性を増していく視点であると言えるでしょう。

       

      【参考文献】
      [1] 京セラドキュメントソリューションズ, 社是・経営理念・経営哲学, 
      https://www.kyoceradocumentsolutions.com/ja/csr/philosophy.html(参照 2025-01-04)
      [2] 名和高史, 「エシックス経営」, 東洋経済新報社, 2024

       

      関連解説記事:技術者倫理とは?

       

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      この記事の著者

      鈴木 敬一

      現役研修講師が贈る、エンジニアの総合力強化プログラム。紙幣識別装置の開発経験を基盤に、メカトロニクス技術から技術経営、技術者倫理まで幅広く指導。実務知識と最新理論を融合し、次世代イノベーターを育成。

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