追求するのは擦り合わせ能力を活かすマネジメント(その3)

 前回のその2に続いて解説します。図15は製品開発(設計)における調整の仕組みを詳細化したものです。「可視化」「分析」「視点切り替え」3つの要素から成り立っています。
 
     
                 図15.調整の仕組みに必要な要素
 
 「可視化」は、開発現場で起きていることを関係者で共有するための見える化の仕組みです。ジャストインタイムの仕組みのように誰が見ても状況を把握できることが大切です。設計作業の場合は何を可視化するのかも重要です。
 
 「分析」は、可視化したもの(通常はデータ)から、どこに問題があるのかを把握できるように加工を施して、意味のある情報に変換する仕組みです。問題の所在をわかりやすいように見せることが重要です。
 
 「視点切り替え」は、個人の状況であっても、チームの状況であっても、開発プロジェクト全体の状況であっても、組織の状況であっても、同じように可視化や分析ができる仕組みです。可視化や分析の対象を、いつでも、必要な範囲に切り替えられるということです。
 
 簡単な例を紹介します。 図16 は、プロジェクト全体と、そのプロジェクトを構成する個々のブロックにおける、開発工数の予定と実績をグラフ化したものです。横軸は日付で、左の縦軸が累積工数で、黄色の棒グラフがその日付での累積工数の予定、青色がその日付までの実績の累積工数です。右の縦軸は進捗率で、その日付までの実績累積工数を予定累積工数で除した値です。
 
    
                                図16.調整の仕組みの一例
 
 工数を可視化し、予実差や進捗率という形で分析結果を提供し、プロジェクト全体でも個々のブロックでも同じ表現を提供している一例です。可視化、分析、視点切り替えという「調整」の仕組みは、もっと具体的な例を紹介したいところですが、プロジェクト管理をテーマとした別の機会にしたいと思います。ちなみに、先日のプライベート展では、擦り合わせ型開発におけるプロジェクト管理の仕組みとして具体的な例をいくつか紹介しました。
 
 今回は、擦り合わせ型開発を高度なレベルで成立させるために必要な仕組みとして「調整」と「気づき」があることと、その一つである「...
調整」の仕組みについて解説しました。次回は、もう一つの仕組みである「気づき」について解説したいと思います。
 
 
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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