クリーン化活動は日々の巡回、監視から始めよう

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 クリーン化の目的は、現場のゴミを減らし、ゴミ起因の品質問題を無くしていくことです。それにより、製品の歩留まりが向上し、不良損失が減り、利益が向上します。それだけではなく、客先や市場のお客様の信頼が向上します。この継続で、お客様の満足度が向上し、翻って自社の成長に繋がります。
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 ところで、このクリーン化の推進はどうすれば良いかお困りの方も多いのではないでしょうか。例えば、大手の取引先から、製造現場をクリーンルーム化する要請があり、実際にクリーンルームに改造しましたが、歩留まりが良くならない。また、お金がかかりすぎる割に利益が増えない。そこで、クリーンルームをやめて元に戻せば、従来の利益は得られるはずだと思い、クリーンルームをやめてしまいました。しかし、クリーンルームにする前の歩留まりよりも下回ってしまいました。慌ててまたクリーンルームに戻しましたが、これも以前のクリーンルームの時のようなレベルに戻らないなど、色々なことがおこります。
 
 これらは、クリーンルームにすれば歩留まりが上がるという神話や思い込みに左右される例です。他社がそうするからとか、取引先からそう言われたなどだけで、自社の現場の実態をきちんと把握しない中で変更してしまうと失敗に繋がります。そして歩留まりが不安定になっても、どこが、何がいけないのかわからなくなってしまう訳です。
 
 大手の取引先から要求されても、クリーンルームの管理は指導して貰えないことが多いと思います。大手では高いレベルのノウハウを保有していても、その公開により技術の流出を懸念することや、管理や営業部門などでは、クリーン化を知らないで言う場合もあります。神話や思い込みの例です。実際に指導して貰える場合でも、レベルの高い話から始まり、なかなか理解できない場合もあります。一番重要なことは、世の中の雰囲気に振り回されず、自分たちの現場を良く巡回することです。生の現場を良く観察すると色々な異常に気が付いたり、沢山の警報が出ているのに気づきます。それらを整理して、具体的に改善や対策を取ることで徐々にクリーン化活動のレベルが上がります。
 
 ある会社の工場長は、沢山の現場を担当していて毎日その現場を巡回していました。「この現場の入り口のクリーンマット(除塵マット)に付着している靴底の汚れの向きは逆だな。どうもクリーンルームの中が汚れているんだな」ということに気づきました。そして現場に入ると、汚れた場所が見つかったり、定期清掃がきちんとされていなかったり、ということがわかります。加えて、現場の人達と話をすると、色々な情報が入ります。この話し合いは、現場のメンバーにとっては、次には同じ指摘はされたくないとなります。また、工場長にしてみれば情報のアンテナが出来るということで、相互の関係が良くなり、現場も徐々に綺麗になりました。巡回を繰り返すと、ゴミによる品質も改善しますが、一方で危険個所も見つかるので、事故、災害の減少にも繋がります。
 
 毎日巡回しても、問題発見がない日もあります。そこで手を抜いてはいけないのです。新潟県のある会社にクリーン化の現場診断、指導に行った時のことです。田んぼの中の工業団地でした。従業員の方と話をしたら、田植えが終わるとそれからが大変だというのです。朝早く田んぼの水見をしてから出社、仕事が終わってもまた田んぼの見回りをするのだそうです。その理由は、昨日良くても、夜中にネズミやモグラが土手に穴をあけて、水が抜けてしまっているかも知れない。また上流で水の流れを操作したために、異常に水が入り、稲が水没しているかも知れない。昨日良かったから今日も良いという保証はない。だから毎日見回るのです、と言っていました。
 
 これはクリーン化で言う、巡回や定期観測と同じことです。現場とは、その場に現れると書きますが、巡回を怠れば、問題の発見ができません。また、昨日こんな汚れがあったという話を聞いても、誰かが気が付いて掃除してしまうかもしれません。聞いた話というのは時間が経過しているので、その時の状態が変化するのです。ここに巡回の価値があります。とにかく...
 クリーン化の目的は、現場のゴミを減らし、ゴミ起因の品質問題を無くしていくことです。それにより、製品の歩留まりが向上し、不良損失が減り、利益が向上します。それだけではなく、客先や市場のお客様の信頼が向上します。この継続で、お客様の満足度が向上し、翻って自社の成長に繋がります。
CR 
 ところで、このクリーン化の推進はどうすれば良いかお困りの方も多いのではないでしょうか。例えば、大手の取引先から、製造現場をクリーンルーム化する要請があり、実際にクリーンルームに改造しましたが、歩留まりが良くならない。また、お金がかかりすぎる割に利益が増えない。そこで、クリーンルームをやめて元に戻せば、従来の利益は得られるはずだと思い、クリーンルームをやめてしまいました。しかし、クリーンルームにする前の歩留まりよりも下回ってしまいました。慌ててまたクリーンルームに戻しましたが、これも以前のクリーンルームの時のようなレベルに戻らないなど、色々なことがおこります。
 
 これらは、クリーンルームにすれば歩留まりが上がるという神話や思い込みに左右される例です。他社がそうするからとか、取引先からそう言われたなどだけで、自社の現場の実態をきちんと把握しない中で変更してしまうと失敗に繋がります。そして歩留まりが不安定になっても、どこが、何がいけないのかわからなくなってしまう訳です。
 
 大手の取引先から要求されても、クリーンルームの管理は指導して貰えないことが多いと思います。大手では高いレベルのノウハウを保有していても、その公開により技術の流出を懸念することや、管理や営業部門などでは、クリーン化を知らないで言う場合もあります。神話や思い込みの例です。実際に指導して貰える場合でも、レベルの高い話から始まり、なかなか理解できない場合もあります。一番重要なことは、世の中の雰囲気に振り回されず、自分たちの現場を良く巡回することです。生の現場を良く観察すると色々な異常に気が付いたり、沢山の警報が出ているのに気づきます。それらを整理して、具体的に改善や対策を取ることで徐々にクリーン化活動のレベルが上がります。
 
 ある会社の工場長は、沢山の現場を担当していて毎日その現場を巡回していました。「この現場の入り口のクリーンマット(除塵マット)に付着している靴底の汚れの向きは逆だな。どうもクリーンルームの中が汚れているんだな」ということに気づきました。そして現場に入ると、汚れた場所が見つかったり、定期清掃がきちんとされていなかったり、ということがわかります。加えて、現場の人達と話をすると、色々な情報が入ります。この話し合いは、現場のメンバーにとっては、次には同じ指摘はされたくないとなります。また、工場長にしてみれば情報のアンテナが出来るということで、相互の関係が良くなり、現場も徐々に綺麗になりました。巡回を繰り返すと、ゴミによる品質も改善しますが、一方で危険個所も見つかるので、事故、災害の減少にも繋がります。
 
 毎日巡回しても、問題発見がない日もあります。そこで手を抜いてはいけないのです。新潟県のある会社にクリーン化の現場診断、指導に行った時のことです。田んぼの中の工業団地でした。従業員の方と話をしたら、田植えが終わるとそれからが大変だというのです。朝早く田んぼの水見をしてから出社、仕事が終わってもまた田んぼの見回りをするのだそうです。その理由は、昨日良くても、夜中にネズミやモグラが土手に穴をあけて、水が抜けてしまっているかも知れない。また上流で水の流れを操作したために、異常に水が入り、稲が水没しているかも知れない。昨日良かったから今日も良いという保証はない。だから毎日見回るのです、と言っていました。
 
 これはクリーン化で言う、巡回や定期観測と同じことです。現場とは、その場に現れると書きますが、巡回を怠れば、問題の発見ができません。また、昨日こんな汚れがあったという話を聞いても、誰かが気が付いて掃除してしまうかもしれません。聞いた話というのは時間が経過しているので、その時の状態が変化するのです。ここに巡回の価値があります。とにかく、巡回を習慣化し、自社の現場の実態を把握し、それらを改善しながら独自のクリーン化技術を構築して下さい。その過程で、専門家などに相談するのも良いでしょう。小規模の会社でも、独自のノウハウを持っているところは、会社の基盤は強いと感じます。
 
 どんなに良いお米の苗を植えても、毎日田んぼを良く巡回し、草を取ったり、水の量を見たり、害虫の発生はないかと監視しているからこそ問題が発見され、そこに手を打つ、その積み重ね、継続で良質なお米が市場に提供できるのです。そしてお客様の満足が高まるのです。余談ですが、田んぼの土手には彼岸花が植えられているのを良く見かけます。彼岸花の根には毒があり、昔からネズミやモグラ除けに植えられたそうです。稲作農家の努力は、ものづくり企業で現場を良く巡回することと同じです。管理監督者も、掃除しろ、ゴミを減らせという号令だけでなく、このような余談を交えながら従業員と接したいですね。クリーン化発動はこういう地味な活動から入れば良いのです。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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