畜エネ1 :新環境経営 (その27)

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 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、について解説してきました。その後省エネについては3回に亘って、創エネについては5回亘って解説してきました。今回から畜エネです。
 

1. 畜エネ

 畜エネとは、文字通りエネルギーを蓄えることで、電気を蓄える場合は蓄電池となります。揚水発電は余剰電力を使って水をくみ上げてエネルギーを蓄積するので、発電と呼ばれていますが目的は畜エネ、蓄電です。揚水発電は、電力需要・供給の平準化を担う、ダムを用いた巨大な蓄電池、あるいは蓄電所と言うべきものです。発電する電気量に対し、水を汲み上げるために電気が消費され、30%程度のロスはあるが、大量の電力を貯蔵できる設備として優れており、今も蓄電の主役です。ただ、近年、停電時のバックアップの用途や、再生可能エネルギー発電の電力の平準化を目的として、蓄電装置の技術開発が急速に進んできており、ここでは揚水発電以外の蓄電装置について解説します。今回はリチウムイオン電池です。
 CSR

2. リチウムイオン電池の基礎開発の歴史(以下、ウィキペディアより)

 1980年代、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器の開発により、高容量で小型軽量な二次電池(充電可能な電池)のニーズが高まり、従来のニッケル水素電池などでは限界があり新型二次電池が切望されていました。1960年代、既にリチウムを電池に適用するアイデアはあり、1980年代には金属リチウムを負極活物質に用いた金属リチウム二次電池が製品化されましたが、金属リチウムの化学活性がきわめて高いため、可逆性や反応性に問題がありました。NTTのショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ、実用化されたとは言いがたく広く用いられることはありませんでした。このため金属リチウムを代替する材料の探索が進められることとなります。
 

3. リチウムイオン電池(LIB)の実用化の歴史

 吉野彰らは、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士が発見した電気を通すプラスチックポリアセチレンに注目し、1981年に有機溶媒を用いた二次電池の負極に適していることを見いだしました。また、正極には1980年にジョン・グッドイナフらが発見したコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物を用いて、リチウムイオン二次電池の原型が創出されましたが、ポリアセチレンは電極材料として不安定という問題がありました。以来、安全性を確保するための機能性セパレータなどの本質的な電池の構成要素に関する技術の確立がなされました。さらに安全素子技術、保護回路・充放電技術、電極構造・電池構造等の技術が開発され、安全でかつ、電圧が金属リチウム二次電池に近い電池の実用化に成功、現在のLIBの構成がほぼ完成、1991年に吉野彰の勤務する旭化成とソニーなどにより実用化されました。次いで1994年に、三洋電機から黒鉛炭素質を負極材料とするLIBが実用化され、これが現在の電子機器の蓄電池、二次電池の主流となっています。
 

4. 自動車用リチウムイオンポリマー電池

 一方、1998年頃より、電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池が市場に登場する...
 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、について解説してきました。その後省エネについては3回に亘って、創エネについては5回亘って解説してきました。今回から畜エネです。
 

1. 畜エネ

 畜エネとは、文字通りエネルギーを蓄えることで、電気を蓄える場合は蓄電池となります。揚水発電は余剰電力を使って水をくみ上げてエネルギーを蓄積するので、発電と呼ばれていますが目的は畜エネ、蓄電です。揚水発電は、電力需要・供給の平準化を担う、ダムを用いた巨大な蓄電池、あるいは蓄電所と言うべきものです。発電する電気量に対し、水を汲み上げるために電気が消費され、30%程度のロスはあるが、大量の電力を貯蔵できる設備として優れており、今も蓄電の主役です。ただ、近年、停電時のバックアップの用途や、再生可能エネルギー発電の電力の平準化を目的として、蓄電装置の技術開発が急速に進んできており、ここでは揚水発電以外の蓄電装置について解説します。今回はリチウムイオン電池です。
 CSR

2. リチウムイオン電池の基礎開発の歴史(以下、ウィキペディアより)

 1980年代、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器の開発により、高容量で小型軽量な二次電池(充電可能な電池)のニーズが高まり、従来のニッケル水素電池などでは限界があり新型二次電池が切望されていました。1960年代、既にリチウムを電池に適用するアイデアはあり、1980年代には金属リチウムを負極活物質に用いた金属リチウム二次電池が製品化されましたが、金属リチウムの化学活性がきわめて高いため、可逆性や反応性に問題がありました。NTTのショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ、実用化されたとは言いがたく広く用いられることはありませんでした。このため金属リチウムを代替する材料の探索が進められることとなります。
 

3. リチウムイオン電池(LIB)の実用化の歴史

 吉野彰らは、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士が発見した電気を通すプラスチックポリアセチレンに注目し、1981年に有機溶媒を用いた二次電池の負極に適していることを見いだしました。また、正極には1980年にジョン・グッドイナフらが発見したコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物を用いて、リチウムイオン二次電池の原型が創出されましたが、ポリアセチレンは電極材料として不安定という問題がありました。以来、安全性を確保するための機能性セパレータなどの本質的な電池の構成要素に関する技術の確立がなされました。さらに安全素子技術、保護回路・充放電技術、電極構造・電池構造等の技術が開発され、安全でかつ、電圧が金属リチウム二次電池に近い電池の実用化に成功、現在のLIBの構成がほぼ完成、1991年に吉野彰の勤務する旭化成とソニーなどにより実用化されました。次いで1994年に、三洋電機から黒鉛炭素質を負極材料とするLIBが実用化され、これが現在の電子機器の蓄電池、二次電池の主流となっています。
 

4. 自動車用リチウムイオンポリマー電池

 一方、1998年頃より、電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池が市場に登場する。リチウムイオンポリマー電池は、外装に、従来の鉄やアルミニウムの缶ではなく、レトルト食品に使用されるアルミラミネートフィルムが使われていることが特徴で、三洋電機を始めとする各社から発表発売されていました。万が一の事故時の反応が穏やかであるため、最近はハイブリッド自動車用バッテリーとしても利用されています。自動車用のリチウムイオン電池は三菱自動車のi-MiEVや、日産のリーフに搭載され、量産を開始しています。かつて、LIBは日本メーカーが9割以上のシェアを占めた時代もありましたが、2013年時点ではサムスンがトップに立っています。ただ、需要が電子機器から自動車に移ってきており、現在の投資状況からすると、将来的には日本メーカーが逆転する勢いにあります。
 
 次回は、NAS電池について、解説します。
 

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この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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