1. 目標原価をチェックする
物流業務を行う上で、日々気にする必要があるのは収支です。昨日は果たして儲かったのかどうか。予定していた利益が出たのかどうか。これを日々把握することは経営の基本です。会社の大小は関係ありません。ビジネスを行うものは皆、これをスルーして仕事をすることは許されません。会社がどのような予算を組んだのか。そして、その予算に対して遵守できたのかどうかをチェックしていく必要があります。
物流収支を考える前提として、そもそもその仕事は儲かるものなのかどうか、これは重要な判断点です。当たり前じゃないか、という声が聞こえてきそうですね。でも、皆さんの会社では、もしかしたら儲からないビジネスがあるかもしれません。営業が仕事を取る時に、きちんとした収支計算が行われていたらまずはOKです。取引が始まった後に条件変更が発生する場合があります。その際に再見積もりを実施し、適正価格に修正をする必要があります。
客先に良い顔をしたいために、サービスで追加業務を受けてしまうと、現場サイドは大変なことになります。やはり取引開始前にその業務の収支をしっかりと判断し、会社で許される水準の儲けが出ることを確認することが求められます。受注した業務はそれぞれ予定していた原価でできているかどうか、それをチェックする必要があります。現場サイドで不能率な仕事の仕方をしていたら目標原価を達成できません。そのためにも、社内で原価管理をきちんとできるしくみが必要になります。原価管理部署があればそこがこのチェック業務を行うのでしょうが、そのような部署が無い場合はどこかで行う必要があります。経理部門が実施するのか、管理部門が実施するのか、それ以外の別部門が実施するのか、いずれにしても数字をきちんと見て判断できる部署をアサインすることが求められるのです。
2. 物流現場の日々の収支
物流事業者であれば、売上高は輸送の売り上げ、倉庫での作業費としての売り上げなどが考えられます。これらは現場として、日々の売上高を把握することが求められます。一方でコスト系はどうでしょうか。人件費や燃料代などが大きい経費となります。これらの大どころの金額を把握する必要があります。それ以外の経費として、エネルギー代や減価償却費、倉庫家賃や資材費などが考えられます。売り上げから経費を差し引くことで、その現場の大まかな利益が算出されます。現場サイドの責任としては、その水準が受注した際の原価ベースで計算した時の利益とほぼ合致することを確認します。
もう一つの見方は予算との対比です。日々の現場収支が予算と合致することの確認です。会社が予定していた利益を出せるかどうかは、このような日々の管理にかかっていると言えるでしょう。物流収支をチェックするタイミングは「日々」がふさわしいと思われます。会社によっては月次の収支を締めて初めてわかるというケースもあるでしょう。しかしそれではタイミング的に遅すぎる感があります。それはどういうことかと言いますと、月次で締めた結果、赤字だったことを考えてみるとわかります。
仮にその赤字の要因が月初に発生していたとしましょう。その時点で対策を打てば、約一か月分の赤字は解消できていたと考えられます。日々収支を把握すれば、毎日何かしらのアクションがとれるのです。だからこそ、毎日のチェックが必要になるのです。物流現場のPDCAは日々行うことが必要です。そのPDCAには品質やデリバリーなど複数の要素が含まれます。その一環としてコスト系である、収支のPDCAが入ってくるというイメージです。物流現場で日々の収支を確認するとなると、もしかしたら抵抗感があるかもしれません。この点につきましては、なぜ日々収支を把握する必要があるのかについて、きちんと現場に伝える必要がありそうです。
3. 空き時間も有効に活用する
物流現場を預かる監督者であれば、今の物流の状態が良いのか悪いのかについて判断できなければなりません。ただ漫然と仕事をしているだけでは監督者失格です。常に収支について気にかけておくことが望ましいと思います。収支が予定通りになるためには、本日の投入工数はどれくらいか、それを頭の中で計算して部下を仕事につけるべきでしょう。物流現場で最も多くの比率を占めるコストは人件費です。それだからこそ、人材の投入には神経を使う必要があるのです。
工場で物流作業を行う場合も同様です。特に固定費的な要素が強い人件費。操業度が下がった時のマネジメントは重要です。生産に合わせて...