1. コミュニケーション 力
皆さんの会社で若手の物流担当の方はいらっしゃいますでしょうか。若手と一言で申し上げてもその範囲は受け止め方によって異なります。まず入社10年程度を比較的若手と定義するならば、おおよそ35歳未満ということになるでしょう。このクラスは今後の物流幹部候補ですからしっかりと教育しておく必要がありそうです。さて今の中堅社員、この定義を40歳代としたときに、皆さんの会社ではきちんと育ってきていますでしょうか。実は多くの会社で十分教育を施されていないという回答が来ます。何故なら「教えられる人がいない」からだとか。物流はコストであるからそこにさらなる費用はかけられない、といった間違った認識をしている会社が多いようです。
たしかに物流はコストの側面もありますが、サプライチェーンの視点で考えると重要なポジションを占めています。この重要機能を生かし切れていないのです。何故なら物流をうまくマネジメントできる人材がいないからです。そこで将来的なことを考え、今のうちに物流のプロを育成しなければなりません。まずこの認識を持ちましょう。そうでなければ物流の効率化やサプライチェーンの高度化は進まないと考えるべきでしょう。課題はどのような形で育成していくか、です。育成するテーマに入る前に各スタッフのコミュニケーションを上げることから着手しましょう。
職場は人の集まりですからチームとして力を発揮することが重要です。そこで各人がコミュニケーションできるようにしていくことが求められます。よく実施される教育パターンとして「集合教育」が挙げられます。物流スタッフに職場を離れてもらい、教育施設等に集まってもらいます。そこで数名のグループを組み、グループで課題解決を行っていきます。課題は一つには身近なテーマとして、例えば新たな物流センターをつくるときに必要なことの検討とか、現在の物流品質を向上させるための対応策などを設定します。時間を定めて、その時間内で解決できるように実行させます。コミュニケーション力とタイムマネジメント力が問われることになります。
2. 物流スタッフは刺激を受けろ
グループワークで課題解決を行うことは物流スタッフには大変有効だと思います。多分今まで社内でこのような教育は受けてきていないのではないかと思われるからです。グループワークの良さは「コミュニケーション力が高まる」「リーダーシップが身につく」「プレゼンテーション力が高まる」などの点にあります。グループとしてまとめた内容は報告会の場でプレゼンテーションします。人に伝わる話し方、質問への適格な回答、時間内にスピーチするタイムマネジメント、すべてが学びです。まずはテーマの内容もさることながら、こういった力を若いうちから身につけさせることを考えていきましょう。もしグループワークを社内で行うのであれば、異なるセクションの人でチームを作ることをお勧めします。
外部研修もお勧めです。外部研修の良いところは他企業の人たちと交流ができる点です。もちろん内容があってのことですが、特に若手社員は他企業の人たちと触れ合うことは極めて少ないと考えられるからです。できれば外部研修も「合宿形式」のタイプを選ぶとよいでしょう。他企業の人たちと寝食を共にすることで固い絆を築くこともできます。外部研修では物流をテーマにしたものでも、物流に特化しない教育でも構いません。「リーダーシップ力」のように業種にこだわらない研修でもよいでしょう。物流という職種はどちらかというと社内で重視されず、目も向けられてこなかった領域だと思います。そこで他の職種の人たちと交流することも大いに役立つと思われます。
一例ですが、メーカーの人たちはどちらかというと人材育成をきちんと行う業界です。社内でも切磋琢磨してきた人が多いでしょうから、そういった人たちと触れ合うことで刺激を多々受けることと思います。コミュニケーション力やリーダーシップ力を学んだうえで、今度はテクニカルスキルを高めていきましょう。物流スタッフはまず理解しておかなければならないことは「サプライチェーンマネジメント」に関する知識でしょう。会社にモノが入ってから出ていくまでの一連の流れについて理解する必要があります。なぜならこのフローの中で物流は重要なポジションを占めるからです。
3. 物流の発生要因を学ぶ
物流の若手スタッフにはできるだけサプライチェーン全般の知識を身につけさせるようにしたいものです。物流管理というよりサプライチェーンマネジメント。これこそが若手社員が身につけていかなければならないスキルです。物流というととかく輸送だとか保管だとか狭い領域での話になりがちです。それはそれでテクニカルスキルの一環として必要なのですが、重要なことはそもそも輸送や保管が発生する要因についてきちんと理解すべきでしょう。しかし若手社員にサプライチェーンマネジメントについて教えられる上司が少ないことが問題になるかもしれません。
メーカーであれば生産計画や調達を行っている部署に実習に行かせることが効果的です。何が要因で保管が発生しているのか、それを縮めるためには何をしなければならないのかを学ぶ必要があります。メーカーの製造部署は自分たちが作りやすいよ...