新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、その後、省エネ、創エネ、畜エネについて紹介してきました。COP21パリ協定ついての解説、今回は投資の側面から捉えます。
1. 化石燃料投資からの撤退
今のペースで二酸化炭素の排出が続けば、今後30年未満で「炭素予算」を使い切ってしまうということです。そうなると、企業が所有する炭鉱や油田などの化石燃料はほぼ使えなくなります。事業はやがて立ちゆかなくなるため、化石燃料の関連企業から投資を撤退する「ダイベストメント:ディスインベストメント」が起こります。もともとは市民団体が大学内で始めた運動ですが、今では仏保険大手アクサや英オックスフォード大など、大手企業や大学に広がっています。
米カリフォルニア州教職員退職年金基金が、石炭企業4社への投資からの撤退を発表しました。化石燃料の中でも二酸化炭素の排出量が多い石炭の環境負荷が重く石炭企業への投資が経済的なリスクにつながると判断したということです。
投資家のこうした動きは、金融全体の流れも変えつつあります。温暖化に伴う運用リスクが認識されるようになっていることから、主要国の金融当局などでつくる金融安定理事会(FSB)はリスクを測る基準づくりを始めました。
2. 日本の動き
一方、日本では、石炭火力発電所の新設計画に待ったをかけてきた環境省が、条件付き容認に転じました。ダイベストメントを巡る動きも、日本国内では表面化しておらず、化石燃料関連企業の持つリスクへの理解は広まっていません。
国連環境計画金融イニシアチブの末吉竹二郎氏は、「環境への悪影響だけでなく、経済合理性から見ても世界の流れは脱化石燃料だ。エネルギーの自活ができない日本こそ世界の流れを先取りすべきなのに、長期的な視野を欠き世界に取り残されている。国内の投資家は、数十年先の世界を見据えて投資先を選ぶべきではないか」と述べています。
日本は石炭火力発電...