人的資源マネジメント:モチベーションとは (その4)

更新日

投稿日

【モチベーションの考察 連載目次】

 人的資源マネジメント 
 モチベーションとは (その3)に続いて、解説します。
 

5.モチベーションのせい

 
 「在り方」の「たい」を明確にすることで目標達成のエネルギーも強くなり、関連した「結果」や「行動」の「たい」もやれる気がしているかと思います。まさに、モチベーションが高い状態です。たとえば、次のような結果や行動の「たい」を目標にしているかもしれません。
 
「ランニングして体重を落とす」
「部屋の整理整頓を忘れずにやる」
「月に2冊は本を読む」
「毎週ブログを書く」
「アルコールの量を減らす」
「会議では必ず発言する」
 
 しかし、どんなに「在り方」の「たい」を明確にしても、なかなか続かないし、なかなかやる気にならないというような場合も少なくありません。
 
 こういうときに、「やる気が起きないのはどうしてだろう?」「どうしたらモチベーションが上がるんだろう?」というように、モチベーションの問題と考えてしまいがちです。どうしたらやる気が起きるのかと、いろいろな人に相談したり、インターネットでいろいろな記事を読んだりするかもしれませんが、そのときはやる気になっても行動には移せないことがほとんどです。そして、実際には行動を起こせないという現実に、「自分はモチベーションの低い人間だ」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
 
 これは、モチベーションの問題だと考えていることが間違いなのです。自分で何かご褒美を用意するような外発的動機づけでは長続きしませんし、先ほどの「在り方のたい」というような内発的動機づけで解決することも難しいからです。内発的動機づけによるモチベーションは強力なのですが、意識がもとになっているので、頭の中で次のような言葉が聞こえてしまいます。
 
「今日は起きるのが遅くなったし、ランニングは明日からでもいいや」
「今は部屋の掃除よりも急ぎの用事があるから、それが片付いてからにしよう」
「読む本は買ったから、明日の通勤時間にでも読めば大丈夫」
「面白いことが思い浮かばないからブログを書くのは明日にしよう」
「こんな発言しても意味ないから、無理しなくてもいいよね」
 
 やろうと思った途端に、できない理由、やらない方がいい理由が次々と聞こえてきますよね。この声を聞いてしまうと、意識が働かなくてはいけないモチベーションはこの声の裏側に隠れてしまいます。
 
 必要なのはこの頭の中の声を消すこと。この声を聞こえないようにするか、聞こえても無視することが必要なのです。モチベーションの問題ではなく習慣の問題と考えることであり、日常的な工夫で習慣を変えることが問題を解決することにつながります。たとえば、次のようなことを実行することです。...

【モチベーションの考察 連載目次】

 人的資源マネジメント 
 モチベーションとは (その3)に続いて、解説します。
 

5.モチベーションのせい

 
 「在り方」の「たい」を明確にすることで目標達成のエネルギーも強くなり、関連した「結果」や「行動」の「たい」もやれる気がしているかと思います。まさに、モチベーションが高い状態です。たとえば、次のような結果や行動の「たい」を目標にしているかもしれません。
 
「ランニングして体重を落とす」
「部屋の整理整頓を忘れずにやる」
「月に2冊は本を読む」
「毎週ブログを書く」
「アルコールの量を減らす」
「会議では必ず発言する」
 
 しかし、どんなに「在り方」の「たい」を明確にしても、なかなか続かないし、なかなかやる気にならないというような場合も少なくありません。
 
 こういうときに、「やる気が起きないのはどうしてだろう?」「どうしたらモチベーションが上がるんだろう?」というように、モチベーションの問題と考えてしまいがちです。どうしたらやる気が起きるのかと、いろいろな人に相談したり、インターネットでいろいろな記事を読んだりするかもしれませんが、そのときはやる気になっても行動には移せないことがほとんどです。そして、実際には行動を起こせないという現実に、「自分はモチベーションの低い人間だ」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
 
 これは、モチベーションの問題だと考えていることが間違いなのです。自分で何かご褒美を用意するような外発的動機づけでは長続きしませんし、先ほどの「在り方のたい」というような内発的動機づけで解決することも難しいからです。内発的動機づけによるモチベーションは強力なのですが、意識がもとになっているので、頭の中で次のような言葉が聞こえてしまいます。
 
「今日は起きるのが遅くなったし、ランニングは明日からでもいいや」
「今は部屋の掃除よりも急ぎの用事があるから、それが片付いてからにしよう」
「読む本は買ったから、明日の通勤時間にでも読めば大丈夫」
「面白いことが思い浮かばないからブログを書くのは明日にしよう」
「こんな発言しても意味ないから、無理しなくてもいいよね」
 
 やろうと思った途端に、できない理由、やらない方がいい理由が次々と聞こえてきますよね。この声を聞いてしまうと、意識が働かなくてはいけないモチベーションはこの声の裏側に隠れてしまいます。
 
 必要なのはこの頭の中の声を消すこと。この声を聞こえないようにするか、聞こえても無視することが必要なのです。モチベーションの問題ではなく習慣の問題と考えることであり、日常的な工夫で習慣を変えることが問題を解決することにつながります。たとえば、次のようなことを実行することです。
 
ランニング用のウェアを着て寝る。寝るときに横にウェアを置いておく
掃除をする時間と場所(部屋のどこか)を予定表に入れる
本の感想を伝える勉強会を作る
パソコンを開いてブログを書くエディターも開いておく
会議室の一番前の席に座る
 
 モチベーションは大切ですが、すべてをモチベーションのせいにしても行動を変えることができないこともあります。まずは頭を柔らかくして、習慣を変える工夫ができないかを考えてみましょう。
 
  

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
教育予算の費用対効果を上げるには

  1.日本企業の教育研修の現状    日本能率協会やプレジデント社などが行ってきたアンケート調査で、共通している課題が気になっ...

  1.日本企業の教育研修の現状    日本能率協会やプレジデント社などが行ってきたアンケート調査で、共通している課題が気になっ...


技術士第二次試験対策:論文を時間内に書くための時間管理方法(その1)

  「解答がわかっていたが、それを時間内で書くことができなかった」という受験生の声を何度が聞いたことがあります。頭の中に60点以上の解答が...

  「解答がわかっていたが、それを時間内で書くことができなかった」という受験生の声を何度が聞いたことがあります。頭の中に60点以上の解答が...


技術士第二次試験対策:“業務内容の詳細=プレゼンテーション資料”と認識すること

  1. 業務内容の詳細について 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポ...

  1. 業務内容の詳細について 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポ...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:目的(その4)

【内発的動機づけの要素である「目的」連載目次】 1. 内発的動機づけの要素である「目的」と「目標」の違いを考える 2. 本源的な質問に答えてわかる...

【内発的動機づけの要素である「目的」連載目次】 1. 内発的動機づけの要素である「目的」と「目標」の違いを考える 2. 本源的な質問に答えてわかる...


人的資源マネジメント:効率的で実践的な進捗管理とは(その5)

 前回は、必要最小限の手間で効率的なメトリクス管理を実現するための3つの技法のうち、2軸管理と基本メトリクスセットについて、進捗管理を中心に事例を紹介しま...

 前回は、必要最小限の手間で効率的なメトリクス管理を実現するための3つの技法のうち、2軸管理と基本メトリクスセットについて、進捗管理を中心に事例を紹介しま...


『坂の上の雲』に学ぶ先人の知恵(その8)

   『坂の上の雲』は司馬遼太郎が残した多くの作品の中で、最もビジネス関係者が愛読しているものの一つでしょう。これには企業がビジネスと言う戦場...

   『坂の上の雲』は司馬遼太郎が残した多くの作品の中で、最もビジネス関係者が愛読しているものの一つでしょう。これには企業がビジネスと言う戦場...