前回のその2に続いて解説します。
6. キャラクター定義
「チーム」として機能させるためには、メンバーにお互いに助け合い、補い合うマインドと、自ら目標達成のための主体的に行動するオーナーシップを持ってもらうことが大切です。それが「キャラクター定義」です。
「キャラクター定義」とは、メンバーの一人ひとりが、回路や機構、ソフトといった技術的な役割や責任を持つだけでなく、開発業務を進めることに関する特定の役割を果たすようにする仕組みです。開発を進めるチームの中でどのようなキャラクターを演じるのかを決め、メンバーにアサインするということです。
図56 チームメンバーのキャラクター定義例
たとえば、机上での地に足がついていない議論を避けるために率先してプロトタイプやデモを作るキャラクターや、新しい部品や技術などの採用に必要になることは何でもやるキャラクター、実験室や評価治具の確保などの環境整備や段取りを考え実行するキャラクターなど、回路やソフトなどのあるブロックを担う役割ではなく、開発をうまく進めるための役割を様々なキャラクターとして定義して、メンバーに演じてもらいます。
メンバーは、アサインされたキャラクターを、開発の最初から最後まで責任持って演じることで、設計を任されている部分に対してだけではなく、開発全体に対する広い視野を持つことになります。また、技術とは関係ない役割分担なので、お互いに助け合うことも容易です。
7. 「チーム」の導入方法
技術要素や開発工程をベースにした体制は「グループ」の考え方です。イノベーションや変化対応が重視される今は、「チーム」を機能させることが求められています。そのための最初のステップとして、「モジュール化体制」と「キャラクター定義」が最適だと考えていますが、検討のためにやっていただくと良いことがあります。
PM や PL の業務の見直しです。
製品開発に関わる多くのマネジャーから、PM や PL などのリーダーが育たないという話をよく聞きます。これは、技術面だけを考えてメンバーへ仕事をアサインし開発を進めるという運営業務を、プロジェクト管理や開発管理と称して PM や PL に課しているのが原因です。
そのため、メンバーの意識はいつまでも担当部分だけで、開発全体や製品全体のことを考えるようにならず、PM や PL は種々雑多な非常に多くの仕事に追われることになっています。その業務を整理して、キャラクターとして独立させるのです。そして、そのキャラクターをメンバーにアサインします。
図57 開発を通じてキャラクターを演じる
メンバーには、ある一部分であっても開発全体の運営業務を任せることになります。これは、リーダーとしての視野を持つことにつながり、また、リーダーとしての喜びも味わえることができるでしょう。PM や PL はプロジェクト運営に関する負荷が軽減し、「リーダーなんて雑用に追われているだけですよ」と愚痴をこぼすことも少なくなるでしょう。
まずは、導入のための第一歩として、PM や PL の仕事を...