1. 一般消費者と物流
一般的に物流はあまり注目されていない業種ではないかと思います。一般消費者に物流について質問したとしても、せいぜい、宅配業者とか引越業者といったところしか思い浮かばないのではないでしょうか。
このように注目度が低い物流ですが、社会の血管として無くてはならないものであることに変わりはありません。私たちが今いるところから周りを見渡してみましょう。パソコン、ノート、書籍、時計などなどいろいろなものが目に入ると思います。これらはいずれも物流を介して私たちのもとへと届けられているのです。この世の中から物流というものは無くなりません。物がある限り物流は永遠に続くのです。
通信販売でものを購入すると今では翌日には手元へと届きます。しかも、送料が無料といった通販サイトもあります。この通信販売を活用される方は物流のありがたみが身にしみて理解できているのではないでしょうか。日本国内にいる限り新鮮な生鮮食料品をいとも簡単に手に入れることができます。この背景には冷凍・冷蔵物流の技術があってこそです。
これは国内にとどまらず、最近では一部のアジアの国で新鮮な日本食を手に入れることができるようになりました。この冷凍・冷蔵物流の技術はアジアの国に対して輸出されつつあります。特に高温多湿な東南アジアでは大変重宝なものとなります。今までこの技術が無かったために新鮮な食品を口にできなかった地域も間もなく食べることができるようになるでしょう。
引越についてもお世話になった方は大勢いらっしゃるものと思います。日本の引越業者はとても丁寧で品質も上々です。いまや引越においては自分が何かしなければならないことは無くなりつつあります。割れものの個装はやってもらえますし、使用後の段ボールも引き取ってもらえます。さらに、今後一層深刻になる高齢社会では宅配が発達することになるでしょう。買物難民の解消には無くてはならないものとなるでしょう。
2. 生活と物流
私たちは実は普段の生活の中で多くの物流活動を行っているのです。少し例を挙げて見ていきましょう。スーパーに買い物に行くことを考えてみましょう。スーパーの棚から必要なものを取ってカートに入れますが、これは物流行為であるピッキング作業に当たります。そしてレジで精算した後に家まで持ち帰りますが、これは調達物流と同じことです。自分で持ち帰る場合が「引き取り方式」による調達物流で、宅配を依頼した場合には「お届け方式」による調達物流です。家に帰ると買ってきたものをどこかにしまいます。例えば、要冷食品であれば冷蔵庫に入れますね。これが入庫作業にあたります。それを使う瞬間までは冷蔵庫に入ったままですが、これを物流用語では保管と言います。
いよいよ使う時が訪れました。冷蔵庫から取り出します。これは物流行為では出庫と呼びます。そして容器から取り出しますが、これを開梱と呼びます。容器から取り出されたものが包丁で切られたり、フライパンで焼かれたりします。これを物流では流通加工と言います。できあがった料理は食卓へと運ばれてテーブルの上に並べられます。物流では完成品を運んでいくことを販売物流と呼びます。今ではほとんど見かけなくなりましたが、空き瓶などを店に返却することがよくありましたが、これを物流用語では回収物流と呼びます。
いかがでしょうか。このように私たちは普段の生活の中で物流行為を繰り返していることがおわかりいただけたかと思います。しかも、知らず知らずのうちにこれらの行為を効率的に行うよう工夫していると思います。所謂物流改善ですね。こういった視点で見てみると、私たちの生活には物流は切り離せないものであることが改めて認識できると思います。
3. 生活と物流改善
物流は何もトラックや船などの輸送モードで運ばれるだけではありません。私たちの身近なものでこれ以外の方法で運ばれてくるものがあります。その典型が水であり、ガスであるのです。これらはパイプラインで運ばれてきます。電気は電線で運ばれてきます。私たちは輸送以外の物流のお世話になっていることがあります。たとえば、トランクルームに荷物を預けていれば、それは保管をアウトソースしていることになります。銀行の貸金庫も一種の保管行為ということになるかと思います。駅のコインロッカーも同じです。荷物の一時預かりも、同様に保管のアウトソースです。クルマで買物に行った時に駐車場にクルマを止めることも同じです。お金を払って保管してもらうので一種のアウ...