物流情報データベースの整備とは

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1. 荷姿データの整備

 物流業務を行うにあたって切っても切れないのが物流データです。これを整備せずに「勘」で仕事を行うことからはそろそろ卒業したいものです。では物流データにはどのようなものがあるのでしょうか。主だったものを抽出してみましょう。
 
・荷姿データ
・輸送距離データ
・作業標準時間
・使用容器データ
 
 この内、最重要と考えられるものが荷姿データです。なぜなら荷姿はすべての物流機能に影響を与える根幹だからです。この荷姿データを整備していない会社を見かけることが多いのですが、これは望ましくありません。物流管理そのものが成り立ちませんので。そこで、まずこの荷姿データの整備から始めてみましょう。
 
 最初に荷姿のサイズを調べてみましょう。キー項目は「縦寸法」・「横寸法」・「高さ寸法」のいわゆる3辺寸法と呼ばれるものです。単位は「mm」がよいと思います。次に「荷姿重量」です。荷姿重量は製品重量と容器重量で構成されます。出し方は次の通りです。
 
「製品重量×入数+容器重量」
 
 この単位は「kg」がふさわしいと思います。
 
 会社で管理対象となるすべての荷姿について「寸法」と「重量」を調査することが荷姿データ整備の第一歩となります。次に使用容器の体系化と容器コードの設定を行っておくと便利だと思います。荷姿を構成する容器は何パターンかあると思われますので、一目でどの容器を使用しているかがわかると管理上便利です。
 
 この体系化のやり方として、容器の素材で分類することがあります。容器はプラスチック容器、ガラス容器、鉄製容器、木製容器、紙製容器などがあります。これをそれぞれアルファベットで表したときの頭文字をとるとわかりやすいかもしれません。ただし同じ文字を使用しない工夫は必要です。たとえばプラスチックと紙は同じ「P」となりますので、どちらかを別文字にする必要があります。
 
 SCM
 

2. 輸送距離データ

 荷姿データがあれば輸送量の計算や保管場の面積計算などに活用できます。トラック積載率を把握する際にもとても便利ですから、ちょっと大変に感じるかもしれませんが、時間をかけてでもきっちりと整備しておきましょう。次に輸送距離データの整備です。どこからモノを調達し、どこへ製品を届けているか。この自社と「調達先」、「販売先」の間のデータを把握していきましょう。
 
 まず簡単なところから、国内の「調達先」と「販売先」との距離を調べましょう。同じ場所であってもルートによって距離が異なることがあります。このような場合にはあまり神経質になることなく、インターネットで調べられる範囲でも構わないのでざっくりと把握していくことです。この距離がわかれば先に調べた荷姿データを使った輸送荷量と掛け合わせた「トン・km」、「㎥・km」を算出することができます。
 
 ルートごとの支払い輸送費をこの原単位で除すことで、原単位当たりの輸送コストを算出することができます。これによって自社の輸送の実力値を評価することができます。輸送距離の絶対値も物流の実力です。遠くから調達しなければならない場合はそれだけコストアップになっていることを示しています。距離をデータ化することで、物流を意識することにつながります。数字が示されることによってはじめて「意識」につながるのです。
 
 この輸送距離は会社でコントロールできるものです。数値化して長距離輸送を無くす、長距離になったしまう場合は運び方を工夫する、そして発生コストを下げることにつなげていきましょう。そしていよいよ構内物流のデータについて考えていくことになります。その一つ目が「物流工数」です。その物流作業を行うときに要する時間データです。一般的に標準時間が使われます。たとえばトラック荷降ろしでトラック1台あたり20分とかフォークリフト運搬1容器あたり3分とか決めていくことです。
 

3. 物流標準時間

 構内物流のデータといったら標準時間でしょう。これがなければ必要人員の算出ができません。構内物流の作業ペースをつくることもできないし、労働生産性を測定することもできません。つまり標準時間が無ければ「場当たり的」かつ「勘に頼った」構内物流運営しかできないのです。ですから標準時間はぜひ整備していきたいものです。この標準時間は自分たちの業務運営に必要となるだけではありません。もしあなたの会社が物流事業者であるならば、顧客に対する「売価」を定める基になります。したがって業者にとってみても極めて重要なデータであるといえると思います。
 
 物流は標準時間が設定しづらいという人がいますが、そんなことはありません。物流作業を標準化できればそれに時間値を付けて行くだけです。物流作業自体が標準化できないという人もまれに見かけます。しかしこれは全くの誤解なので、ここでは触れないことにしておきましょう。
 
 物流標準時間が設定できれば、その時間値に対して実作業の結果はどうだったのかを比較することができます。そしてその差が出た要因を追求すること...

1. 荷姿データの整備

 物流業務を行うにあたって切っても切れないのが物流データです。これを整備せずに「勘」で仕事を行うことからはそろそろ卒業したいものです。では物流データにはどのようなものがあるのでしょうか。主だったものを抽出してみましょう。
 
・荷姿データ
・輸送距離データ
・作業標準時間
・使用容器データ
 
 この内、最重要と考えられるものが荷姿データです。なぜなら荷姿はすべての物流機能に影響を与える根幹だからです。この荷姿データを整備していない会社を見かけることが多いのですが、これは望ましくありません。物流管理そのものが成り立ちませんので。そこで、まずこの荷姿データの整備から始めてみましょう。
 
 最初に荷姿のサイズを調べてみましょう。キー項目は「縦寸法」・「横寸法」・「高さ寸法」のいわゆる3辺寸法と呼ばれるものです。単位は「mm」がよいと思います。次に「荷姿重量」です。荷姿重量は製品重量と容器重量で構成されます。出し方は次の通りです。
 
「製品重量×入数+容器重量」
 
 この単位は「kg」がふさわしいと思います。
 
 会社で管理対象となるすべての荷姿について「寸法」と「重量」を調査することが荷姿データ整備の第一歩となります。次に使用容器の体系化と容器コードの設定を行っておくと便利だと思います。荷姿を構成する容器は何パターンかあると思われますので、一目でどの容器を使用しているかがわかると管理上便利です。
 
 この体系化のやり方として、容器の素材で分類することがあります。容器はプラスチック容器、ガラス容器、鉄製容器、木製容器、紙製容器などがあります。これをそれぞれアルファベットで表したときの頭文字をとるとわかりやすいかもしれません。ただし同じ文字を使用しない工夫は必要です。たとえばプラスチックと紙は同じ「P」となりますので、どちらかを別文字にする必要があります。
 
 SCM
 

2. 輸送距離データ

 荷姿データがあれば輸送量の計算や保管場の面積計算などに活用できます。トラック積載率を把握する際にもとても便利ですから、ちょっと大変に感じるかもしれませんが、時間をかけてでもきっちりと整備しておきましょう。次に輸送距離データの整備です。どこからモノを調達し、どこへ製品を届けているか。この自社と「調達先」、「販売先」の間のデータを把握していきましょう。
 
 まず簡単なところから、国内の「調達先」と「販売先」との距離を調べましょう。同じ場所であってもルートによって距離が異なることがあります。このような場合にはあまり神経質になることなく、インターネットで調べられる範囲でも構わないのでざっくりと把握していくことです。この距離がわかれば先に調べた荷姿データを使った輸送荷量と掛け合わせた「トン・km」、「㎥・km」を算出することができます。
 
 ルートごとの支払い輸送費をこの原単位で除すことで、原単位当たりの輸送コストを算出することができます。これによって自社の輸送の実力値を評価することができます。輸送距離の絶対値も物流の実力です。遠くから調達しなければならない場合はそれだけコストアップになっていることを示しています。距離をデータ化することで、物流を意識することにつながります。数字が示されることによってはじめて「意識」につながるのです。
 
 この輸送距離は会社でコントロールできるものです。数値化して長距離輸送を無くす、長距離になったしまう場合は運び方を工夫する、そして発生コストを下げることにつなげていきましょう。そしていよいよ構内物流のデータについて考えていくことになります。その一つ目が「物流工数」です。その物流作業を行うときに要する時間データです。一般的に標準時間が使われます。たとえばトラック荷降ろしでトラック1台あたり20分とかフォークリフト運搬1容器あたり3分とか決めていくことです。
 

3. 物流標準時間

 構内物流のデータといったら標準時間でしょう。これがなければ必要人員の算出ができません。構内物流の作業ペースをつくることもできないし、労働生産性を測定することもできません。つまり標準時間が無ければ「場当たり的」かつ「勘に頼った」構内物流運営しかできないのです。ですから標準時間はぜひ整備していきたいものです。この標準時間は自分たちの業務運営に必要となるだけではありません。もしあなたの会社が物流事業者であるならば、顧客に対する「売価」を定める基になります。したがって業者にとってみても極めて重要なデータであるといえると思います。
 
 物流は標準時間が設定しづらいという人がいますが、そんなことはありません。物流作業を標準化できればそれに時間値を付けて行くだけです。物流作業自体が標準化できないという人もまれに見かけます。しかしこれは全くの誤解なので、ここでは触れないことにしておきましょう。
 
 物流標準時間が設定できれば、その時間値に対して実作業の結果はどうだったのかを比較することができます。そしてその差が出た要因を追求することにつながります。時間値が無ければこのような動きにはならないはずなので、たぶん今の状態を是認していくことになると思われます。仮に今の作業が極めて生産性が低くてもそれに気づかないまま、ということになります。つまり問題を認識できず、今以上に発展していくことは望みがたいことになるわけです。
 
 毎月標準時間と実績時間の対比グラフを作成し、それを作業現場に掲示していきましょう。これを目にすることで、それぞれの方に時間遵守の意識が芽生えます。さらにギャップを縮めようというアクションにつながります。構内物流を改善していくためには最良のデータツールだといえそうです。さて今までいくつかの物流データについてご紹介してきました。もちろん、これですべてではありません。大事なことはすべて数字にして示すことです。これらにこだわることなく、会社として必要なデータはしっかりと管理していきましょう。
 
 かつて物流は「カンコツ度胸」のKKDで仕事をするといわれてきました。今や意識してこのようなことを行っているとは思いませんが、知識がないために結果的にそうなっている可能性は否定できません。何事も数字で示すとともに、重要データについては毎月きちんと管理していく習慣をつけたいものです。
 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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