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セミナー趣旨
2023年に入り、中国、欧州、米国をはじめとした世界各国は加速度的に電気自動車(EV)への流れを強めている。特に中国は、ガソリン車中心となっていた自動車産業のゲーム・チェンジャーとして電気自動車への奨励策を強め、2023年1月~6月期の新車販売台数は1,688万台と史上最高を記録し、そのうち電気自動車、プラグ・イン・ハイブリッド車等の新エネルギー車(NEV)は313万台と2割を占めるまでに成長している。米国においても、インフレ抑制法(IRA)により電気自動車への最大7,500ドル(約105万円)の補助金が支給されることから、日本をはじめとした世界各国の自動車メーカーは、電気自動車生産工場、電池生産設備の北米への新設を計画している。
既に、2022年における電気自動車の世界販売台数は789万台と新車販売の10%を占めるまでに成長し、世界最大の電気自動車メーカー・テスラの新車販売台数は131万台と前年比40%増加している。2030年における世界の電気自動車販売台数は3,600万台を超えるという意欲的な見通しもなされている。電気自動車の生産台数の増加とともに、リチウム・イオン電池に必要不可欠なレア・メタル、レア・アースの価格が、資源エネルギー大国ロシアによるウクライナへの侵攻、インドネシア等の輸出規制により高騰した。2022年春には、リチウム価格は前年比6倍、ロシアが主生産国となっているニッケルは過去最高値、その他にも、ネオジム、ジスプロシウム等のレア・アース価格も高騰した。レア・メタルの価格高騰は、電気自動車のコストの3割を占めるリチウム・イオン電池の価格上昇につながる。レアメタル価格の高騰とレアメタルに係わる地政学リスクへの対応から、三元系ではない、コバルト、ニッケルを使わない、安価なリン酸鉄リチウム・イオン電池(LFP)の技術革新が生まれ、テスラ等の電気自動車にも搭載されている。三菱マテリアルをはじめとした金属メーカーによるレアメタルのリサイクル研究も始まっている。
2023年夏に入り、これまでは電気自動車に距離を置いていると思われてきた世界首位の自動車メーカーのトヨタが、電気自動車シフトを強く打ち出し、2023年度第1四半期に1兆円超の過去最高の営業利益を挙げるとともに、2026年に電気自動車の世界販売台数を年間150万台、2027年に全固体電池の実用化、2030年に電気自動車の世界販売台数を350万台と大幅に引き上げ、投資額も蓄電池を含めて5兆円と、電気自動車に注力することを表明した。2022年1月にはソニーも、電気自動車をエンタテインメントの一つとして、参入することを表明し、日本を代表するソニーとホンダが手を組み、自動車の中心がソフトウェアとなる大変革と、既存の大手自動車メーカー、IT企業、新興企業を巻き込んだ壮大な市場争奪戦が始まった。EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)等の開発・生産に、世界の大手自動車メーカーが研究開発競争を繰り広げ、新興企業が事業機会を狙っている。米国のテスラと、中国のBYD、米国のGM、フォード等との、中国市場、米国市場における電気自動車販売競争が熾烈なものとなっている。その他の自動車メーカーのEV販売台数も、大きく増加している。日本を含めた世界において、脱ガソリン車への動きは加速している。英国は2030年、フランスは2040年、米国カリフォルニア州とニューヨーク州は2035年までに、ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を打ち出し、米国バイデン政権も2030年に新車販売の50%を電動化することを表明している。日本も2035年には、ガソリン車から、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の電動化を目指すこととしており、2022年6月には軽自動車EVの販売も本格化している。自動車販売が好調な中国は、2035年には新車販売の50%について電気自動車をはじめとするNEV(新エネルギー車)として、残りの50%をハイブリッド車とする環境対応を打ち出し、テスラを追い抜くべく、トヨタ、フォルクス・ワーゲン、GM等の大手自動車メーカーが、電気自動車とリチウム・イオン電池の開発競争を強化している。電気自動車は、トラック部門にも拡大し、ダイムラーは、航続距離800キロメートルの大型トラックを2024年に量産化する。
リチウム・イオン電池の技術革新と価格低下により、意欲的な見通しにおいては、2040年の世界の電気自動車市場は、新車販売の50%以上を占める。電気自動車は、スマート・フォンと比較して、1万倍近くのリチウム・イオン電池の容量を必要とし、レアメタルであるリチウム資源、コバルト資源の偏在と、需要の増加に供給が追いつかないうえに、ロシアによるウクライナへの侵攻もあって、正極材に使うリチウム、コバルト、ニッケルというレア・メタルの価格も高騰した。世界は、電気自動車の普及に向けて、レア・メタル、レア・アース争奪戦の様相を見せている。電気自動車の普及は、ガソリン車に依存した部品メーカーの淘汰を促し、既存の自動車企業、部品メーカーとIT企業の提携を通じて、日本の自動車メーカーの勢力図を変貌させる可能性が強い。自動車産業に新たに、米国のエヌビディアをはじめとした半導体企業も加わり、ゲームのあり方そのものが変貌している。米国をはじめとした世界各国が、地球環境に優しい次世代自動車育成の政策支援策を強化する動きを強めている。リチウム・イオン電池については、正極材、負極材、電解液、セパレーター等の素材において、日本企業が世界最先端の強みを持っていたが、製品、部品そのものは中国企業、韓国企業に世界市場を席捲されている。2027年までの全固体電池の開発の実現可能性、リチウム、コバルト、ニッケル資源の開発状況と価格を見通し、高価なレアメタルを使わない蓄電池の開発動向等、2030年に向けての次世代自動車の未来像を展望し、日本の自動車メーカー、部品メーカーの最新動向、米国と中国のスタート・アップ企業の動きを含めて、日本企業にとっての2023年に本格化する電気自動車時代に向けてとるべき最適な事業戦略とビジネス・チャンスについて次世代自動車の第一人者が分かりやすく詳説する。
セミナープログラム
① 脱炭素の動きと電気自動車の販売の加速-小型EVトラック、SUV
② ロシアによるウクライナ侵攻とレア・メタル、レア・アース等の価格動向
③ 次世代自動車の普及状況とハイブリッド車の競争力と生き残り戦略
④ 欧米、中国における次世代自動車への政策動向と強化支援策-脱ガソリン車
⑤ 日本における次世代自動車への普及政策の今後-軽と商用車の電動化
⑥ 燃料電池車のメリットとデメリット-量産化への制約
⑦ 電気自動車のメリットとデメリット-自動運転、蓄電池の価格と性能
⑧ 電気自動車の今後の普及予測-中国、米国、欧州諸国を取り巻く企業戦略
⑨ 天然ガス自動車のメリットとデメリット-米国のシェール・ガス革命
⑩ 燃料電池車の普及の可能性と市場規模-燃料電池トラック、バス
⑪ 水素ステーションの普及の可能性と市場規模-水素社会の促進策
⑫ 電気自動車と充電ステーションの普及の可能性とテスラの充電システム
⑬ リチウム・イオン電池に係わる日本企業の強み-中国、韓国との競争
⑭ リチウム資源の現状と今後の価格動向-リチウム資源の価格高騰
⑮ コバルト、ニッケル資源の開発と今後の開発動向-ナトリウム・イオン電池
⑯ レア・メタル、レア・アースの価格見通し-イーアクスルの供給
⑰ 自動運転技術の革新動向とライド・シェアによる次世代自動車の動き
⑱ コバルト、ニッケルを利用しない蓄電池の開発動向-リン酸鉄リチウム電池
⑲ 日本の自動車メーカー、部品メーカーの電気自動車への事業戦略
⑳ 次世代自動車への日本企業のとるべき勝ち残り戦略-電動化と価値創造
セミナー講師
岩間 剛一 氏 和光大学 経済経営学部 教授
<他の所属>
東京大学工学部非常勤講師(金融工学、資源開発プロジェクト・ファイナンス論)
三菱UFJリサーチ・コンサルティング客員主任研究員
石油技術協会資源経済委員会委員長
<経歴>
1981年東京大学法学部卒業。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。東京銀行本店営業第2部部長代理(エネルギー融資、経済産業省担当)。東京三菱銀行本店産業調査部部長代理(エネルギー調査担当)。出向:石油公団企画調査部:現在は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(資源エネルギー・チーフ・エコノミスト)。出向:日本格付研究所(チーフ・アナリスト:ソブリン、資源エネルギー担当)。2003年から現職
<著書>
「資源開発プロジェクトの経済工学と環境問題」、「ガソリン本当の値段」、「石油がわかれば世界が読める」、その他、新聞、雑誌等への寄稿、テレビ、ラジオ出演多数
セミナー受講料
46,200円 (Eメール案内希望価格:1名39,600円,2名46,200円,3名67,100円)
※資料付
※Eメール案内を希望されない方は、「46,200円×ご参加人数」の受講料です。
※Eメール案内(無料)を希望される方は、通常1名様46,200円から
★1名で申込の場合、39,600円
★2名同時申込の場合は、2名様で46,200円(2人目無料)
★3名同時申込の場合は、3名様で67,100円
★4名以上同時申込の場合は、ご参加者数×19,800円
※2名様以上の同時申込は同一法人内に限ります。
※2名様以上ご参加は人数分の参加申込が必要です。
ご参加者のご連絡なく2様以上のご参加はできません。
受講について
<Webセミナーのご説明>
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※ZoomをインストールすることなくWebブラウザ(Google Chrome推奨)での参加も可能です。
お申込からセミナー参加までの流れはこちらをご確認下さい。
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<禁止事項>
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<配付資料について>
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