インテリジェンス・サイクルと特許情報調査活動(その2)

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 前回のその1に続いて今回は、改良されたインテリジェンス・サイクルを解説します。
 
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図1.インテリジェンス・サイクル
 
 図1のサイクルに従って情報サイドがインテリジェンスを作れば、カスタマーはそれを有効に利用できるかというと、そこにはいくつかの問題が存在します。一つはインテリジェンスの有効性(戦略的判断にとって有効か)の問題であり、もう一つ は、インテリジェンスの信頼性(カスタマーが信頼するか否か)の問題です。 前者の有効性の問題ですが、インテリジェンスが有効であるためには、カスタマーから情報サイドへの的確な要求が行われなければなりません。しかしながら、昨今のように複雑な内外環境の中にいるカスタマーにとって、事業戦略の策定あるいは推進に必要なインテリジェンスの要求を的確に出すことは極めて難しいことでしょう。一方、的確な要求がなければ情報サイドの作業は、見えない的に矢を射かけるようなもので、カスタマーにとって有効なインテリジェンスを提供する可能性は低下せざるを得ないでしょう。
 
 後者の信頼性の問題ですが、処理すべき情報量が大量になるほど、情報サイドは高度に情報の加工・ 分析を行うことが必要となり、その結果作りだされるインテリジェンスはカスタマーにとって、どうしても鮮度、インパクト、信頼性の乏しいものになりがちです。生の情報から遠く離れ、高度に加工されたインテリジェンスを信じて行動するほど、企業経営にとって危険なことはないと多くの経営者は 考えるのではないでしょうか。そう考える経営者は、自らが集めた、少ないが鮮度が高くインパクトのある情報を頼りに経営判断を行わざるを得ません。しかし、かたや大量の情報が氾濫し、一方で、地球の裏側の出来事が企業活動に致命的な影響を与える可能性がある世の中では、そのようなやり方で企業活動の的確なかじ取りができるかと問われれば、首を横に振らざるを得ないでしょう。それでは、これらの矛盾を解決して大量のインフォ メーションをインテリジェンス化し、企業経営に役立てる方法論はないのでしょうか。
 
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図2.改良されたインテリジェンス・サイクル
 
 図2はそれに対する一つの回答を示したものです。このインテリジェンス・サイクルにおける最大のポイントは、インテリジェンスを利用して判断・ 行動するカスタマーとインフォメーションからインテリジェンスを作成する情報サイドとの「相互理解の構築」です。相互理解の一つの側面は、情報サイドがカスタマーの利益(カスタマーの判断・行動のターゲット)は何かを正しく理解することであり、 そのためには情報サイドがカスタマーの主催する企業戦略・戦術の立案・執行等の会議に参画し、双方向の議論を行うことが必要でしょう。相互理解の他の側面は、カスタマーが情報サイドのインテリジェンス作成過程(インフォメーションの収集・加工・ 分析過程)を理解することであり、そのためにはその過程の一部(例えば分析段階)にカスタマーが参画することも必要です。これらのことが保証さ れることによって、情報サイドは、たとえカスタマー から具体的な要求がなくても、カスタマーの利益に沿った有効なインテリジェンスの作成が可能になるのでしょうし、カスタマーは、インテリジェンスの作成過程を熟知することによってインテリジェンスを信頼して活用することができるようになるのです。
 
 以上の記述は,『インテリジェンス入門』[3]および『ビジネス・インテリジェンス』[4]を参考に,筆者が独自の視点を加えてまとめたものです。次回のその3では、特許情報調査活...
 前回のその1に続いて今回は、改良されたインテリジェンス・サイクルを解説します。
 
             情報セキュリテイ
図1.インテリジェンス・サイクル
 
 図1のサイクルに従って情報サイドがインテリジェンスを作れば、カスタマーはそれを有効に利用できるかというと、そこにはいくつかの問題が存在します。一つはインテリジェンスの有効性(戦略的判断にとって有効か)の問題であり、もう一つ は、インテリジェンスの信頼性(カスタマーが信頼するか否か)の問題です。 前者の有効性の問題ですが、インテリジェンスが有効であるためには、カスタマーから情報サイドへの的確な要求が行われなければなりません。しかしながら、昨今のように複雑な内外環境の中にいるカスタマーにとって、事業戦略の策定あるいは推進に必要なインテリジェンスの要求を的確に出すことは極めて難しいことでしょう。一方、的確な要求がなければ情報サイドの作業は、見えない的に矢を射かけるようなもので、カスタマーにとって有効なインテリジェンスを提供する可能性は低下せざるを得ないでしょう。
 
 後者の信頼性の問題ですが、処理すべき情報量が大量になるほど、情報サイドは高度に情報の加工・ 分析を行うことが必要となり、その結果作りだされるインテリジェンスはカスタマーにとって、どうしても鮮度、インパクト、信頼性の乏しいものになりがちです。生の情報から遠く離れ、高度に加工されたインテリジェンスを信じて行動するほど、企業経営にとって危険なことはないと多くの経営者は 考えるのではないでしょうか。そう考える経営者は、自らが集めた、少ないが鮮度が高くインパクトのある情報を頼りに経営判断を行わざるを得ません。しかし、かたや大量の情報が氾濫し、一方で、地球の裏側の出来事が企業活動に致命的な影響を与える可能性がある世の中では、そのようなやり方で企業活動の的確なかじ取りができるかと問われれば、首を横に振らざるを得ないでしょう。それでは、これらの矛盾を解決して大量のインフォ メーションをインテリジェンス化し、企業経営に役立てる方法論はないのでしょうか。
 
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図2.改良されたインテリジェンス・サイクル
 
 図2はそれに対する一つの回答を示したものです。このインテリジェンス・サイクルにおける最大のポイントは、インテリジェンスを利用して判断・ 行動するカスタマーとインフォメーションからインテリジェンスを作成する情報サイドとの「相互理解の構築」です。相互理解の一つの側面は、情報サイドがカスタマーの利益(カスタマーの判断・行動のターゲット)は何かを正しく理解することであり、 そのためには情報サイドがカスタマーの主催する企業戦略・戦術の立案・執行等の会議に参画し、双方向の議論を行うことが必要でしょう。相互理解の他の側面は、カスタマーが情報サイドのインテリジェンス作成過程(インフォメーションの収集・加工・ 分析過程)を理解することであり、そのためにはその過程の一部(例えば分析段階)にカスタマーが参画することも必要です。これらのことが保証さ れることによって、情報サイドは、たとえカスタマー から具体的な要求がなくても、カスタマーの利益に沿った有効なインテリジェンスの作成が可能になるのでしょうし、カスタマーは、インテリジェンスの作成過程を熟知することによってインテリジェンスを信頼して活用することができるようになるのです。
 
 以上の記述は,『インテリジェンス入門』[3]および『ビジネス・インテリジェンス』[4]を参考に,筆者が独自の視点を加えてまとめたものです。次回のその3では、特許情報調査活動の事例を解説します。
 
参考文献
 
[3]北岡元:インテリジェンス入門 第2版 利益を実現する知識の創造. 第2版, 慶應義塾大学出版会,p.296(2009)
[4]北岡元: ビジネス・インテリジェンス-未来を予想するシナリオ分析の技法. 東洋経済新報社,p.230(2009)
 
  この文書は、科学技術振興機構:「情報管理」vol.53の記事より、筆者が改変したものです。 

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この記事の著者

鶴見 隆

三位一体の特許情報活動のパイオニア、戦略的データベースの構築を通じて企業の知財力アップを支援します!

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