何を作ったら良いか分らない状態の下で、新商品/新システムを考え出すための考察を、「イノベーション活動とTRIZ」の表題で解説します。今回は、第1回です。
1.ものづくり企業が勝ち残っていくには
価値観の多様化と製品のライフサイクルの短縮化など企業をとりまく環境はバブル期とは全く様変わりしてしまい、かつてのように作れば売れるといった時代ははるか昔で、そのような時代を想像すらできなくなっています。それに加えて世界的に景気は停滞しており、思うように商品は売れません。このような中で企業が生き残り、発展して行くには企業の強みを生かした独創性のある製品/技術やシステムを継続的に生み出し、市場を創り出していかなくてはなりません(図1)そのためには、地に足をつけた商品の改良や新商品/新システムの開発が必要で、企業もそれに応えることが求められています。
図1.ものづくり企業の勝ち組と負け組の差
2.新しい商品を生み出せないのは何故か
新商品はもとより、技術を開発するには、当然のことながら「何を」開発しようとしているのかを明確にする必要があります。商品の改良や、他社から出されているものの類似商品を自社で開発しようとする場合の多くは問題点が見えていて、やるべきことが明確になっているので、開発すべきものを決めやすく、会社としての決定もしやすいことが多いのですが、問題点が明確でなく開発ターゲットを認識できないと、どう対処してよいか分らないことになりがちです。
現在多くの企業の置かれている状況、例えば、全社的に売り上げが落ちてきている中で次世代の中心となるべき商品が見あたらず、このままでは会社の将来展望が開けないような場合であったり、またはライバルとの価格競争に陥ってしまい、結局は体力勝負という名の消耗戦の展開になってしまった、このままでは会社はお先真っ暗といった状況にある場合、などです。
このように、問題が「売り上げが低下している」とか、「利益が出ない」とかといったもので、目標とする基準が「売り上げを倍増するための商品の開発」や「利益を上げる商品」といった漠然としたものである場合に、その打開策として「(利益の出そうな)新製品の開発を急ごう」という方向に向かい、そのような経営方針を出すことは当然であるでしょう。
しかし、このような場合その後具体的な企画開発に着手しなければならないのですが、会社のTop層はなかなか具体的な商品イメージを示すことができないし、「新商品の開発」を命じられた現場の技術者は、何を作ってよいか分らないままにいたずらに頑張ってはみるものの、体力と時間とをむなしく浪費するばかりになってしまいます。
一方で、かつての高度成長期のように作ればどんどん売れるという時代を経験した世代は、頑張れば何とかできるといった時代錯誤的な感覚を持ち続けていて、開発担当者のガンバリが足りないからと思っている方も少なくありません。
◆新しい商品を生み出すために必要なこと
・具体的で正しい目標を設定する。
「新規商品を作れ」とか「儲かる商品を開発せよ」といった漠然としたことではなく、開発する具体的
な商品をイメージし、ゴールに向けた戦略を立てる必要があります。
・効率的で正しい方法で取り組む。
効率的な正しい方法でないと、企画そのものが的外れになってしまったり、企画するまでにものすごく
時間がかかってしまったり、あるいは開発ができない。その結果、開発できたとしてもすでにタイミン
グを逃しており市場からは冷めた目で見られたり、安価な類似競合製品がすぐに現れて売り負けてし
まったりします。
次回、その2では、3.新商品を生み出す従来からの方法を解説します。
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