シックスシグマのQ&A

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シックスシグマの状況と活用事例の紹介

 2015年12月、シックスシグマに関する規格ISO18404が発行されました。これまでのISO13053は手法のみでしたが、今回のISO18040ではシックスシグマのブラックベルト等の資格要件が規定化され、規格の範囲が広がりました。元々グローバルスタンダードとして扱われることが多いシックスシグマが、正式な世界標準になってきました。
 10年以上前から欧米韓を中心に世界各国の様々な業界で導入は当たり前となっており、今では企業をまたいで共同のシックスシグマによる改善プロジェクトが実施されたり、人材募集でシックスシグマの資格保持者が普通の条件になるなど、シックスシグマを導入していないと取引口座も開きにくい大手グローバル企業もあるような状況です。そこでシックスシグマをあまりご存知ない方に向けて、世界標準の課題解決の方法論を少しでも知っていただくため、比較的最新のものも含めていくつかの事例の概要をQ&A形式でご紹介します。
 
    シックスシグマ
 

1.シックシスグマは製造の活動か?

 これが圧倒的ナンバーワンの質問ですね。元がQCということもあり、未だに欧米でも製造のみで実施されていることをよく見掛けます。しかし世界ではシックシスグマは金融や病院、サービス業でも当たり前で、製造のイメージは薄れてきています。
 ある企業では営業や技術でも導入しました。技術営業をしている数10億円規模の設備部品メーカーで営業→設計→試作のプロセスの質を高めて「受注アップする」ことを目的に導入したことがそもそものきっかけでした。社長のお話では、それは名目で「社内部門の壁をなくし、お客さんとの壁をなくすことが目的なんです」とおっしゃっていました。あくまでもシックスシグマはツールなので、目的に合った使い方が一番だと思います。製造だけで使うにはもったいない方法論です。
 

2.ブラックベルトって専任ですか?

 これは導入を決めたか決める直前の質問の中で人気ナンバーワンです。そもそもブラックベルトとはプロジェクトリーダーのことで、稼働に制約を設けないとダメというのは少しおかしいでしょう。目的と企業規模によって違っていいと思います。
 例えば10億円程度の企業で専任はあまり見たことはなく、いくつかある人や部門の課題のうちの一つを「シックスシグマを利用して他の業務や改善と並行して解決する」というイメージが多いかと思います。その他にも様々な工夫をしている企業はあり、ブラックベルトを「ウルトラマン」と呼んでいるところもあります。「3分ではなく3ヶ月で課題を解決して帰る」という意味で名前を付け、改善の責任者が3ヶ月間離れた拠点で集中活動し、終わったら本部に帰り日常に戻っています。こういう象徴的な使い方もあります。
 短期集中でシックスシグマを学ぶ場合や経営上圧倒的重要な課題があった時、短期的に専任になることはあります。経営者は実際に専任にしないまでも、専任にしてでも学ばせて本気で課題を解決させる覚悟は必要です。
 

3.企業間のプロジェクトってどんなものですか?

 10年程昔になりますが、GEのホームページに『シックスシグマはさらに進化を続けACFC(at the customer for the customer=お客さまのもとでお客さまのために)に表わされる、よりお客さまの視点で品質を高めていく気運が生まれています。私たちの業務改善にとどまらず、お客さまの社内プロセスまで巻き込む形で、いかにすればより便利に、より効率よくGE製品やサービスをご利用いただけるかを、探求し続けています』とありました。つまり「お客さんのプロセスをシックシスグマを使って改善します」と言っています。実際にシックスシグマの研修をお客様に実施し、お客様と共同プロジェクトを立ち上げ、お客様の生産性向上などを図ります。
 余談ですが、この考え方は、GEのIoTのベースの一つだと思います。シックシスグマではデータが重要です。そのデータをお客様にとってもらっていたものを、自分が提供するビジネスにしているのです。
 DHLは2012年からACFC活動を正式に本格開始し、顧客の輸入業務の効率化などをやって顧客との関係強化を進めています。ある自動車部品メーカーでは、仕入先と一緒に品質改善プロジェクトを実施し...

 

シックスシグマの状況と活用事例の紹介

 2015年12月、シックスシグマに関する規格ISO18404が発行されました。これまでのISO13053は手法のみでしたが、今回のISO18040ではシックスシグマのブラックベルト等の資格要件が規定化され、規格の範囲が広がりました。元々グローバルスタンダードとして扱われることが多いシックスシグマが、正式な世界標準になってきました。
 10年以上前から欧米韓を中心に世界各国の様々な業界で導入は当たり前となっており、今では企業をまたいで共同のシックスシグマによる改善プロジェクトが実施されたり、人材募集でシックスシグマの資格保持者が普通の条件になるなど、シックスシグマを導入していないと取引口座も開きにくい大手グローバル企業もあるような状況です。そこでシックスシグマをあまりご存知ない方に向けて、世界標準の課題解決の方法論を少しでも知っていただくため、比較的最新のものも含めていくつかの事例の概要をQ&A形式でご紹介します。
 
    シックスシグマ
 

1.シックシスグマは製造の活動か?

 これが圧倒的ナンバーワンの質問ですね。元がQCということもあり、未だに欧米でも製造のみで実施されていることをよく見掛けます。しかし世界ではシックシスグマは金融や病院、サービス業でも当たり前で、製造のイメージは薄れてきています。
 ある企業では営業や技術でも導入しました。技術営業をしている数10億円規模の設備部品メーカーで営業→設計→試作のプロセスの質を高めて「受注アップする」ことを目的に導入したことがそもそものきっかけでした。社長のお話では、それは名目で「社内部門の壁をなくし、お客さんとの壁をなくすことが目的なんです」とおっしゃっていました。あくまでもシックスシグマはツールなので、目的に合った使い方が一番だと思います。製造だけで使うにはもったいない方法論です。
 

2.ブラックベルトって専任ですか?

 これは導入を決めたか決める直前の質問の中で人気ナンバーワンです。そもそもブラックベルトとはプロジェクトリーダーのことで、稼働に制約を設けないとダメというのは少しおかしいでしょう。目的と企業規模によって違っていいと思います。
 例えば10億円程度の企業で専任はあまり見たことはなく、いくつかある人や部門の課題のうちの一つを「シックスシグマを利用して他の業務や改善と並行して解決する」というイメージが多いかと思います。その他にも様々な工夫をしている企業はあり、ブラックベルトを「ウルトラマン」と呼んでいるところもあります。「3分ではなく3ヶ月で課題を解決して帰る」という意味で名前を付け、改善の責任者が3ヶ月間離れた拠点で集中活動し、終わったら本部に帰り日常に戻っています。こういう象徴的な使い方もあります。
 短期集中でシックスシグマを学ぶ場合や経営上圧倒的重要な課題があった時、短期的に専任になることはあります。経営者は実際に専任にしないまでも、専任にしてでも学ばせて本気で課題を解決させる覚悟は必要です。
 

3.企業間のプロジェクトってどんなものですか?

 10年程昔になりますが、GEのホームページに『シックスシグマはさらに進化を続けACFC(at the customer for the customer=お客さまのもとでお客さまのために)に表わされる、よりお客さまの視点で品質を高めていく気運が生まれています。私たちの業務改善にとどまらず、お客さまの社内プロセスまで巻き込む形で、いかにすればより便利に、より効率よくGE製品やサービスをご利用いただけるかを、探求し続けています』とありました。つまり「お客さんのプロセスをシックシスグマを使って改善します」と言っています。実際にシックスシグマの研修をお客様に実施し、お客様と共同プロジェクトを立ち上げ、お客様の生産性向上などを図ります。
 余談ですが、この考え方は、GEのIoTのベースの一つだと思います。シックシスグマではデータが重要です。そのデータをお客様にとってもらっていたものを、自分が提供するビジネスにしているのです。
 DHLは2012年からACFC活動を正式に本格開始し、顧客の輸入業務の効率化などをやって顧客との関係強化を進めています。ある自動車部品メーカーでは、仕入先と一緒に品質改善プロジェクトを実施しています。なお、ACFCはシックスシグマのカンファレンスでまだ最新事例として紹介されることがあります。
 なぜこのような企業間でのプロジェクトできるのかというと、シックスシグマの考え方・進め方・言葉が「共通言語」となっているからです。グローバル企業がシックスシグマの導入推進を積極的に進めてきたのですが、それは考え方も価値観も違うサイト間でのコミュニケーションを良くすることも目的の一つです。シックシスグマはグローバルスタンダードとして扱われる時代です。知識として知っていた方がいいと思いますし、今後顧客要求で導入が求められることも考えられます。ほとんどの日本の製造業は何らかの体系化された改善活動を実施していますので、それをシックシスグマと対比して理解されることをお勧めします。元がQCなだけにステップやツールは共通点が多いのですが、顧客やISOによる外圧「だけ」で導入すると失敗することが多いので、その点には注意が必要です。
 

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この記事の著者

辰巳 竜一

企業変革請負人です! 成果を出し、人を育て、変革を実現し、企業価値を向上し続けた実績には自負があります。

企業変革請負人です! 成果を出し、人を育て、変革を実現し、企業価値を向上し続けた実績には自負があります。


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