今回は、海外調達における品質管理を解説します。海外から安く良いものを調達したいと考えている製造業の調達担当者は多いと思います。一方で、海外で調達し、原価コストを下げると品質が悪く、何度も作り直すなど、結局高くつくのではとリスクが伴う心配があることも事実です。トータル費用を考えるのであれば、日本の協力工場から調達すべきではないかと思っても、経営者としては、海外調達を進めたいと思う気持ちもあることも事実です。一般論では、結論として海外調達はリスクが大きく、メリットが無いことになってしまいますが経営者の要望に応えるため、バイヤーは知恵を働かすことが必要になってきます。
確かに一般的に、品質や工場の管理力には日本と新興国では差があることは事実で、しかも安い労働力に頼った工場の製品は、継続的に安定した品質を確保することは望めません。つまり生産工程で不良を作らない仕組みを確立させるか、日本人スタッフを現地に派遣して出荷前検査で不良を出荷しないようにするか、どちらを取るかの選択になりますが、当然、生産工程で未然防止の仕組みを確立している工場を選ぶことになりますが、そうすると必然的に高賃金のスタッフで管理されている工場を選ぶことになります。しかし、逆に賃金水準の高さが技術,品質の優位へ,さらにコスト競争力の優位へと繋がる面もあると考えられます。そこで、改めて海外に調達先を求める理由を考えてみます。
(1) ただ低コストだけを求めて海外から調達する
(2) 望む価格、望む品質のものをグローバルで調達する
ほとんどの場合、(2)の理由から海外調達を行うのですが、調達担当者にとって調達先の選定は、そのように面倒くさくて効率の悪い仕事が待っています。優れた調達先は、探す努力をしないと見つかりません。小規模で知名度は無いがしっかりした優れたサプライヤーを探し出すのは調達担当者の仕事です。そこで、海外調達における品質管理3つのポイントを整理してみます。
(1)図面、ドキュメント
(2)工法の決定と、治工具の準備
(3)検査規格、検査用治具、限度見本
まず、図面や関連ドキュメントですが、日本の熟練技術者であれば、図面が多少不備でも、こうすべきと自分で判断して、工夫し精度の高い高品質の部品を作り上げることができます。しかし、海外では熟練技能者はいません。日本で通用する図面は、海外では通用しないのです。特に、公差が厳しいと、海外では図面通り作ることはほとんど不可能です。公差を緩和する、公差を緩和しても、製品として支障なく組み立てることができる構造設計とすることが求められます。更に、工法、加工手順、治工具をあらかじめ考えて準備し、期待通りのものがばらつきなくできる様にすることが必要です。
工程での品質作り込みが期待できない海外工場では、流出...