「視点を変えて文書を書く」とは
2018-02-08
好きな言葉の1つに“視点を変える”があります。視点を変えると、これまでと違ったことが見えたりこれまでと違った考えが出てきたりします。
“視点を変える”という言葉で思い出すことがあります。それは、小学生の時の出来事です。
小学校は地元の所沢小学校に通っていました。所沢小学校では、その当時、毎年春に、所沢市内にあったユネスコ村まで写生に出かけていました。
ユネスコ村とは、西武鉄道が所有していた遊園地のことです。1990年に閉園したため今はありません。園内には、世界各国の建築物のミニチュアがあり、オランダ風車があり、チューリップ畑があり・・・ユネスコ村は、現在のテーマパークのようでした。
小学4年生の時、ユネスコ村まで写生に行きました。オランダ風車を描こうと思っていましたがこれを描こうと思っている生徒が多く、オランダ風車を描くための良い場所が確保できませんでした。
このため、「さて、どこにしようか」と写生する場所を探していましたが、そのとき、「オランダ風車を裏側から見たらこの風車はどのように見えるのだろうか?」と疑問に思いました。そこで、オランダ風車の裏側に回って見てみました。すると、オランダ風車を裏側から見るとそれが意外に面白い形をしていることに気が付きました。「ここを描こう」と即決してオランダ風車の裏側を描き始めました。
完成した絵は、決して上手な絵ではありませんでした。しかし、オランダ風車の裏側を描いたこの絵が所沢市主催の写生大会で入賞しました。想定外のことです。
表彰式の日に審査委員の方から、「オランダ風車を他の人と違ったところから見て描いているのが面白いですね。ユニークな作品です」のようなことを言われたのを覚えています。
ユネスコ村でオランダ風車を描こうと思ったら、まず全員がその表側を描くと思います。裏側を描く人などいないと思います。私の場合には、たまたま裏側に行ってみたらその形が意外に面白いことに気が付いたのでオランダ風車の裏側を描きました。まさに、“視点を変える”です。
2017年12月27日に掲載した「わかりやすい文書を書くうえで最も重要なこと」の中で以下のことを書きました。
わかりやすい文書を書くうえで最も重要なことは、“書き手”と“読み手”の違いを認識したうえで、読み手の立場に立って文書を書くことです。
「読み手の立場に立って文書を書くこと」は、これまで掲載した記事の中で何度か書きました。これを認識することが、わかりやすい文書を書くうえでの一丁目一番地だからです。
“読み手の立場に立って文書を書くこと”を“視点を変えて文書を書くこと”と表現することができます。書き手の視点で書いていた文書を読み手の視点に変えて文書を書くからです。
2018年1月10日に「『わかりにくい案内図』から学ぶこと」を掲載しました。この中で、「案内図を見る人の立場に立つと、写真①(以下に示す)はわかりにくい」と書きました。写真①は、「北を上にして地図を描く」という考え方に基づき案内図を描いたからです。
写真①
しかし、「『北を上にして地図を描く』という考え方(視点)ではなく案内図を見る人の立場(視点)で描くと、以下に示した写真②のような描き方(北が下)になり案内図がわかりやすくなる」と書きました。
写真①での描き方を写真②での描き方に変えることは、まさに、“視点を変えて案内図を描く”です。
この案内図の例は、図を描く場合の“視点を変える...
”です。視点を変えることで「北を下にして地図を描く」という発想が出てきました。
文書を書く場合にも、書き手の視点で書いていた文書を読み手の視点に変えて文書を書くことで、これまでと違った文書の書き方が見えてきます。
「読み手の立場に立って文書を書くこと」を「書き手の視点で書いていた文書を読み手の視点に変えて文書を書くこと」と理解すると、「読み手の立場に立って文書を書くこと」の意味が理解しやすくなると思います。
一度、自分が書いた文書を、書き手の視点ではなく読み手の視点でチェックしてください。「ここがわかりにくいな。だから、ここを、このように修正しよう」のような箇所が見つかると思います。
JTAPCOブログ、2016年5月14日、「ブログのテーマ:『視点を変える(小学生の時の出来事』」のブログに基づき、筆者がこれを改変して本稿をまとめました。