【ものづくり補助金 連載目次】
◆ ものづくり補助金の募集開始
1. ものづくり補助金とその採択について
ものづくり補助金とは、新しいものづくりやサービス開発に挑戦する中小企業と小規模事業者を支援するため、中小企業庁が実施する補助金制度です。ものづくり、という言葉から製造業限定かと思う方も多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。
【成功事例】
(1) 製造業[金属加工業](従業員数 30名、主力商品:医療用器具の金属部品)
従来は汎用旋盤で金属部品の切削加工をしていたが、近年では精密部品の受注が増えたことに伴って不良品の発生率が上がっており、品質面・コスト面で問題になっていた。
この解決に向けて最近のNC加工機を導入することで、より高精度な精密加工ができるようになり不良が発生しなくなり、それに伴って製造ロスが減り原価率が改善された。この生産プロセスの改善のためのNC加工機の購入費1,500万円に対して、3分の2にあたる1,000万円の補助を受けることができた。
(2) システム開発[防犯カメラ・システム](従業員数 20名、主力商品:防犯カメラの販売・設置)
従来は単純に防犯カメラの販売や設置工事を収益の中心としていたが、近年高度化している画像分析技術を応用して、カメラで撮影された画像から交通量や性別・年齢層などをデータ化して提供できる新商品を試作開発した。
この分析システム独自開発するための費用2,000万円に対して、上限1,000万円の補助を受けることができた。
【採択事業の例】
・システムを開発する(IT)
・印刷機を購入する(印刷業)
・CTを購入する(医療)
これらはほんの一例ですが、製造業以外の採択事例も実は多数あります。次のURLは前回の採択企業とその事業計画の一覧ですので、自社に近い事例がないかご参照下さい。
2. 中小企業のための補助金
アベノミクスの景気対策としてのものづくり補助金は、企業の設備投資を促進する狙いもあることから製造設備などにも適用でき、中小企業のニーズに応える補助金となっています。これにより、いままで補助金に関心がなかった事業者にも注目されています。
ものづくり補助金の利用にあたっては、補助対象の内容や仕組み、要件などを把握し、自社の申請事業がそれに適合しているか確認しなければなりません。ものづくり補助金では、補助の上限額や設備投資の必要・不要は類型(これも次回以降に説明します)により異なります。あらかじめ検討し、どの方針で行くかを決定しなければなりません。
さらに、実際に補助を受けられるか・補助金額がいくらになるかは「事前の審査」と「事後の検査」の結果によります。補助金の支払いも事業実施後となるので、その上で申請事業の計画を立て、事前審査の書類作りと事後検査の対応をきちんと行う必要があります。スケジュールについての詳しい説明はまた後の機会でご案内します。
ものづくり補助金は、年度ごとに新しい「公募要領」が発表され、公募が行われます。各事業者は、この公募要領に沿って申請書類などを作成し、窓口となる最寄りの地域事務局に提出します。その後地域事務局は、これを公正に審査し、採択・不採択を決定します。
3. 事前予告について
ものづくり補助金、通称「もの補助」の正式名称は「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金 」と言います。「足腰の強い経済を構築するため、日本経済の屋台骨である中小企業・小規模事業者が取り組む生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の経費の一部を補助すること」を目的としており、現政権の目玉事業の...
1つです。既に1月5日付でもの補助公募の「事前予告」なるものが出ているのです。
公募開始日が明示されているわけではありませんが、過去の実績から推測すると事前予告から2ヵ月以内、つまり2月下旬~3月上旬には公募が開始されると予測されます。11月募集開始だった前年度と比べると、3ヵ月程度時期が後ろ倒しになりました。でもご安心ください。今年もやります。ものづくり補助金。挑戦してみたいけれどどこに相談すればいいの?という方は、ぜひ次回以降もお読みいただき、お気軽にどうぞご相談ください。