【目次】
第7章 系統図法の使い方←今回
第8章 アロー・ダイヤグラム法の使い方
第7章 系統図法の使い方
前回のその1に続いて解説します。
7.3 系統図法のオリジナル手法について
まず、「系統図法が、N7の1つとして採用された経緯」が、系統図法を活用する上で、オリジナル手法のどこに着眼すべきかに参考になるので、N7研において二見良治氏(大阪電気通信大学)から受けた説明の概要を下記に述べます。
「1974年1月のQC手法開発部会で、同氏がVEを紹介したところ、そのアプローチの仕方と、その中の機能分析に用いる“機能系統図”に関心が持たれ、N7の1つとして“系統図法”が生まれるきっかけになりました。
特に、部会で注目されたのが、当時解析的アプローチ主体であったQC手法に対する将来ニーズの観点からの“VEの設計的アプローチ”と、方針展開、業務展開、品質展開などへの応用活用の観点からの“機能系統図の目的・手段の展開方法”、そして、“特性要因図とは違った要因の整理の仕方”の3点であり、“機能系統図”の持つこういった点を体系化してQC手法としておく必要があるとの結論になりました。
これを受けて、同氏が取りまとめ、1975年5月、日科技連主催の京都での品質管理大会において、“機能分析手法を応用した品質特性の展開と解析”と題して発表し、その後“系統図法”と名づけられてN7の1つに採用されました」(筆者要約)
以上の説明で分かるように、オリジナルは、先述したVEの価値分析に用いる機能系統図であり、その用途は、製品または部品の機能、という極めて限定されたものです。
ただ、系統図ということになると、身近なところで“組織図”や“家系図”、変わったところでトーナメント試合の組み合わせがあるように、結構日常目にするので、かなり普遍的に行われる思考形態といえ、当時すでに、手法として確立しつつあった品質機能展開はその最たるものです。
このように、系統立った思考方法をサポートする手法として、いろいろな方面で、限定的な目的に使用されていたものを、「系統図法」としてN7に加え、一般的なデザインアプローチ的問題解決技法として、柔軟な活用法を世に紹介することによって、飛躍的な用途開発を促し、問題解決に大きく貢献したことは、高く評価されるところです。
ところが、柔軟な活用法が、系統図が持つ“本来的特性”ともいえる「系統的な展開による欠落防止機能」を意識からはずしてしまう傾向がみられるのは残念です。そういった意味で、オリジナルを再確認することは、系統図法の持つ本来的特性の再認識による系統図法の活用度向上が期待で...