管理点抽出 新QC七つ道具: アロー・ダイヤグラム法の使い方(その3)

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  アローダイアグラム
 
 

第8章 アロー・ダイヤグラム法の使い方

 
 

8.4.2 挑戦計画立案のためのアロー・ダイヤグラム法の基本ステップ

 
 前回のその2に続いて解説します。
 

Step  2:起点の明確化

 
 ここでいう起点とは、アロー・ダイヤグラム法で計画する作業の出発点、すなわち、計画立案の前提条件を意味し、これを受けた活動以降がチームの責任ということです。
 

【ポイント】起点作業はカードを大きくして必ず入れる

 
 上述の“計画立案の前提条件”というのは、具体例をあげると、専用ライン計画プロジェクトに対する“加工対象製品”にあたり、プロジェクトチームの計画作業はすべてこれを前提に行われます。したがって、アロー・ダイヤグラムにとっては重要極まりない起点作業ですが、チームの作業ではないため、前提条件としてタイトルの下に記入されることはあっても、作業カードとして入れないものです。
 
 しかし、この前提条件(この事例でいえば顧客との契約に関わる「対象製品の受注決定」)は、プロジェクトが戦略的であればあるほど周辺諸情勢の変化の影響を受けやすい不確定要素を残したままでスタートせざるを得ないものです。
 
 その場合、責任部署は前提条件が確定する(この事例では「対象製品の受注決定」)まで的確なフォロ―を行い、プロジェクトに影響する変化を把握すべきですが、プロジェクトがスタートしてしまうと往々にして前提条件が既成事実化され、確認が不十分になりがちです。
 
 この不十分さが決定的な事態につながらないためのチェックを企図するのが「“起点作業(対象製品の受注決定)”のアロー・ダイヤグラム上での明示」であり、その重要さから一回り大きなカードの使用をポイントとした次第です。
 
 プロジェクトリーダーは、この起点作業カードに作業完了マーク(グリーンで塗りつぶすなど)が入らない限り前提条件に変化が生じることを念頭にプロジェクトの運営を行い、起点作業未完了では取りかからない一線を明確にして、責任部署に伝えておくべきです。
 
 これは、筆者の痛恨の経験からきており、プロジェクトリーダーとしてアロー・ダイヤグラムを活用する上での最重要事項の一つとして銘記されることです。
 

Step  3:終点の明確化

 
 挑戦計画なので、やってみなければ分からない面が強く、メンバーは不安感を抱きやすいので、成功裏に事が運んだときの「プロジェクトチーム解散の承認要件」を明確にしておくことは、メンバーの士気高揚につながります。
 

【ポイント】終点作業はカードを大きくして解散要件を付記する

 
 “終点の明確化”というのは、プロジェクトがこういう状態になったら解散する、という要件をアロー・ダイヤグラム上に明示することを意味しており、起点と同じくカードを大きくし、目標日を入れた解散要件を付記します。
 

Step  4:メンバーの選定

 
 メンバーは、各関連部署の責任者とし、新たな挑戦に対する担当部署の対応を的確に判断するための知識に不安がある場合は、しかるべき人間を同席させるものとします。
 

【ポイント】責任者の出席は必須である

 
 責任者が新任だったり、担当部署の内容に詳しくない場合、往々にして、実行の責任は持つから、と部下に任せて出席しないケースがありますが、決定事項の背景を把握していないとその後の判断を誤り計画全体に悪影響を及ぼすので、必ず出席するべきでです。
 

Step  5:管理点ネットワークの作成

 
 作業の抽出に入る前に、プロジェクトの管理点(戦略製品開発の場合の出図、部品発注、設備発注などの大きな節目)を中心に、ネットワークの大枠を作成し、プロジェクトの全貌を把握します。
 

【ポイント 1】必ず全メンバーが参画する

 
 このステップと次のステップで、挑戦計画の全貌が明らかになるので、メンバーは必ず全員出席します。
 
 全員参加は次のステップからでよいのではないかという意見もあるでしょうが、このステップは、系統図法の1次展開に相当し、ここでの全貌把握により、その後の局所展開・思考における「“全体悪”に通じます。
 
 “部分善”的発想の排除」という意図があるので、メンバーの欠席がやむを得ない場合は、休日を利用してでも全メンバー参画とするべきです。
 

【ポイント 2】品質保証体系図をベースに管理点の抽出・ネットワーキングを行う

 
 本項の冒頭で、ここで対象とするプロジェクトは「既存のプロジェクト管理にそぐわない」としたのに、既存の品質保証体系図を使用することに違和感があるかもしれませんが、既存体系にそぐわないのは、あくまでプロジェクトが軌道に乗るまでの話で、軌道に乗れば現行システムがベースです。
 
 いま一つは、たいていの品質保証体系図は、戦略的開発も念頭に設計されていますが、机上の空論的きらいがあるので、そのチェック・検証の意味もあります。要するに、これを機に、既存の品質保証体系図を戦略的プロジェクトの...
 
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第8章 アロー・ダイヤグラム法の使い方

 
 

8.4.2 挑戦計画立案のためのアロー・ダイヤグラム法の基本ステップ

 
 前回のその2に続いて解説します。
 

Step  2:起点の明確化

 
 ここでいう起点とは、アロー・ダイヤグラム法で計画する作業の出発点、すなわち、計画立案の前提条件を意味し、これを受けた活動以降がチームの責任ということです。
 

【ポイント】起点作業はカードを大きくして必ず入れる

 
 上述の“計画立案の前提条件”というのは、具体例をあげると、専用ライン計画プロジェクトに対する“加工対象製品”にあたり、プロジェクトチームの計画作業はすべてこれを前提に行われます。したがって、アロー・ダイヤグラムにとっては重要極まりない起点作業ですが、チームの作業ではないため、前提条件としてタイトルの下に記入されることはあっても、作業カードとして入れないものです。
 
 しかし、この前提条件(この事例でいえば顧客との契約に関わる「対象製品の受注決定」)は、プロジェクトが戦略的であればあるほど周辺諸情勢の変化の影響を受けやすい不確定要素を残したままでスタートせざるを得ないものです。
 
 その場合、責任部署は前提条件が確定する(この事例では「対象製品の受注決定」)まで的確なフォロ―を行い、プロジェクトに影響する変化を把握すべきですが、プロジェクトがスタートしてしまうと往々にして前提条件が既成事実化され、確認が不十分になりがちです。
 
 この不十分さが決定的な事態につながらないためのチェックを企図するのが「“起点作業(対象製品の受注決定)”のアロー・ダイヤグラム上での明示」であり、その重要さから一回り大きなカードの使用をポイントとした次第です。
 
 プロジェクトリーダーは、この起点作業カードに作業完了マーク(グリーンで塗りつぶすなど)が入らない限り前提条件に変化が生じることを念頭にプロジェクトの運営を行い、起点作業未完了では取りかからない一線を明確にして、責任部署に伝えておくべきです。
 
 これは、筆者の痛恨の経験からきており、プロジェクトリーダーとしてアロー・ダイヤグラムを活用する上での最重要事項の一つとして銘記されることです。
 

Step  3:終点の明確化

 
 挑戦計画なので、やってみなければ分からない面が強く、メンバーは不安感を抱きやすいので、成功裏に事が運んだときの「プロジェクトチーム解散の承認要件」を明確にしておくことは、メンバーの士気高揚につながります。
 

【ポイント】終点作業はカードを大きくして解散要件を付記する

 
 “終点の明確化”というのは、プロジェクトがこういう状態になったら解散する、という要件をアロー・ダイヤグラム上に明示することを意味しており、起点と同じくカードを大きくし、目標日を入れた解散要件を付記します。
 

Step  4:メンバーの選定

 
 メンバーは、各関連部署の責任者とし、新たな挑戦に対する担当部署の対応を的確に判断するための知識に不安がある場合は、しかるべき人間を同席させるものとします。
 

【ポイント】責任者の出席は必須である

 
 責任者が新任だったり、担当部署の内容に詳しくない場合、往々にして、実行の責任は持つから、と部下に任せて出席しないケースがありますが、決定事項の背景を把握していないとその後の判断を誤り計画全体に悪影響を及ぼすので、必ず出席するべきでです。
 

Step  5:管理点ネットワークの作成

 
 作業の抽出に入る前に、プロジェクトの管理点(戦略製品開発の場合の出図、部品発注、設備発注などの大きな節目)を中心に、ネットワークの大枠を作成し、プロジェクトの全貌を把握します。
 

【ポイント 1】必ず全メンバーが参画する

 
 このステップと次のステップで、挑戦計画の全貌が明らかになるので、メンバーは必ず全員出席します。
 
 全員参加は次のステップからでよいのではないかという意見もあるでしょうが、このステップは、系統図法の1次展開に相当し、ここでの全貌把握により、その後の局所展開・思考における「“全体悪”に通じます。
 
 “部分善”的発想の排除」という意図があるので、メンバーの欠席がやむを得ない場合は、休日を利用してでも全メンバー参画とするべきです。
 

【ポイント 2】品質保証体系図をベースに管理点の抽出・ネットワーキングを行う

 
 本項の冒頭で、ここで対象とするプロジェクトは「既存のプロジェクト管理にそぐわない」としたのに、既存の品質保証体系図を使用することに違和感があるかもしれませんが、既存体系にそぐわないのは、あくまでプロジェクトが軌道に乗るまでの話で、軌道に乗れば現行システムがベースです。
 
 いま一つは、たいていの品質保証体系図は、戦略的開発も念頭に設計されていますが、机上の空論的きらいがあるので、そのチェック・検証の意味もあります。要するに、これを機に、既存の品質保証体系図を戦略的プロジェクトの観点から見直すきっかけにしようという意図もあるので、せっかく抽出された新規作業のアイデアが、既存の体系図にないからという理由で除外されるような愚を犯してはならないのです。
 

【ポイント 3】管理点ネットワークは、コピーボードに大書する

 
 このステップは、あくまで次の作業抽出の起点入手が主題なので、皆によく見えて、追加変更の自由なコピーボードを利用し、結果はコピーして保管しておきます。黒板の場合は、写真でよいでしょう。
 
 次回に続きます。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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