多くの企業が、「5Sをやればいいことは分っているがその暇がない」、「5Sをやっても成果が上がらない」、「小ロット短納期生産の中でコストを下げろと言われてもムリだ」、という‘カベ’に突き当たっていないでしょうか。筆者はこのものづくり革新ナビの事例紹介で、“「鈴木流5S」必ず成果の上がるノウハウ・ノウホワイ”と題し、どうやってこのような“カベ”を超えたか、そのコツについて紹介しましたが、今回は、それを理論付ける“Switch”という方法について簡単に解説したいと思います。
“Switch”はChips & Dan Hearth兄弟によって2010年に発表された技法で、千葉敏生氏の訳になる本が早川書房から出版さています。まずは、扉の裏のうたい文句を紹介しましょう。
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「変わる」ための いますぐ試したくなる テクニックが満載!
人間や組織がいつまでたっても変われないのってなぜだろうか?それは私たちのなかで「象(感情)と「象使い(理性)」が戦っているから。怠け者で気まぐれだけど、エネルギーのもとになる「象」。計画的なリーダーだけれど、頭でっかちで空回りすることもある「像使い」。両者が協力しあうためのちょっとした工夫を取り入れたら、驚くほど簡単に変化は起きる。平社員が会社全体に変革を巻き起こすことも可能だし、一人の若者が絶滅危惧種を救うことだってできるのだ。 10ヶ月以上にわたり、ニューヨーク・タイムズのべストセラー・リスト入りを果たしたハース兄弟の人気作。
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どこかの誰かが行動を変えなければ、何も変りません。あなたにも実行できる行動を変える“3つのステップ”について、以下に簡単に解説しましょう。
1.象使いに方向を教える・・・頭でっかちでない、実践的で効果的なアプローチを示す
- ①ブライト・スポットを見つける ・・・身近にある“うまく行っている部分”を見つけて、まねすること
- ②大事な一歩の台本を書く ・・・効果の出るところから始める
- ③目的地を指し示す ・・・カイゼン後の絵を描く
2.象にやる気を与える ・・・やってみたいと思う感情を醸成する
- ①感情を芽生えさせる ・・・現物を見える形で示し、感情に訴える
- ②変化を細かくする ・・・行動のためらいが生じないよう最初の変化は小さくする
3.道筋を定める ・・・地ならしをする
- ①環境を変える ・・・環境を変えて行動を起しやすくする
- ②仲間を集める ・・・仲間と一...