WBS(Work Breakdown Structure) プロジェクトマネジメントのエッセンス(その2)

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【プロジェクトマネジメントとは連載目次】

1. WBSとは

 プロジェクトを進める上で、重要なツールの一つがWBS(Work Breakdown Structure)です。WBSは、新QC7つ道具では系統図に相当し、QFD(品質機能展開)の一部としても使われます。プロジェクトでなくとも、業務課題や問題点の整理、技術戦略などを策定する時の状況分析、新商品開発や新規技術開発の企画提案書、新生産システムのフィージビリティ検討、製造工程の全体像の把握など多くの場面で活用できます。
 実際に活用する場合の使い方としては、課題を計画に落とし込むときに、課題を漏れなく階層別に分割していきます。これを課題ばらしという人もいます。プロジェクトの課題や問題点を整理するための必須のツール(フォーマット)となります。つまり、プロジェクトメンバーのベクトルを合わせるための課題の「見える化」でもあります。 
 WBSは、QFD(品質機能展開)と同様に課題や問題点を、一次、二次、三次ぐらいのレベルまで各々を2つ以上に分割し、より計画を具現化できる程度にばらしていくのが特徴です。全体最適な視点で俯瞰することによって、新たな課題の発見や解決策の創出も期待できます。

 

2.WBSの使い方

 WBS作成のポイントは、組織の視点はできるだけ考えず、全体最適視点で、課題を2つ以上に漏れなく分割します。活用には2タイプがあります。1つ目は、主目的や主機能をトップダウン式にプロジェクトメンバーの担当レベルまでブレークダウンする方法です。2つ目は、詳細の問題や課題が分かっているとき、それをKJ法的にグルーピングして、ボトムアップ式に統合させる方式です。表1に「リサイクル設計」についてWBSの作成例を示しました。

表1.WBSの作成事例

WBS(Work Breakdown Structure)

3.漏れなくダブりなく分割する

 各ワークをブレークダウンする時に、どう分割するかのスキルも必要です。プロジェクトマネジメントの体系では、それを特に定めていませんが、ここでは、ロジカルシンキングの手法として、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)という考え方がありますので、少し紹介しておきます。例えば、技術業務の場合、次のような切り口がよく使われます...

【プロジェクトマネジメントとは連載目次】

1. WBSとは

 プロジェクトを進める上で、重要なツールの一つがWBS(Work Breakdown Structure)です。WBSは、新QC7つ道具では系統図に相当し、QFD(品質機能展開)の一部としても使われます。プロジェクトでなくとも、業務課題や問題点の整理、技術戦略などを策定する時の状況分析、新商品開発や新規技術開発の企画提案書、新生産システムのフィージビリティ検討、製造工程の全体像の把握など多くの場面で活用できます。
 実際に活用する場合の使い方としては、課題を計画に落とし込むときに、課題を漏れなく階層別に分割していきます。これを課題ばらしという人もいます。プロジェクトの課題や問題点を整理するための必須のツール(フォーマット)となります。つまり、プロジェクトメンバーのベクトルを合わせるための課題の「見える化」でもあります。 
 WBSは、QFD(品質機能展開)と同様に課題や問題点を、一次、二次、三次ぐらいのレベルまで各々を2つ以上に分割し、より計画を具現化できる程度にばらしていくのが特徴です。全体最適な視点で俯瞰することによって、新たな課題の発見や解決策の創出も期待できます。

 

2.WBSの使い方

 WBS作成のポイントは、組織の視点はできるだけ考えず、全体最適視点で、課題を2つ以上に漏れなく分割します。活用には2タイプがあります。1つ目は、主目的や主機能をトップダウン式にプロジェクトメンバーの担当レベルまでブレークダウンする方法です。2つ目は、詳細の問題や課題が分かっているとき、それをKJ法的にグルーピングして、ボトムアップ式に統合させる方式です。表1に「リサイクル設計」についてWBSの作成例を示しました。

表1.WBSの作成事例

WBS(Work Breakdown Structure)

3.漏れなくダブりなく分割する

 各ワークをブレークダウンする時に、どう分割するかのスキルも必要です。プロジェクトマネジメントの体系では、それを特に定めていませんが、ここでは、ロジカルシンキングの手法として、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)という考え方がありますので、少し紹介しておきます。例えば、技術業務の場合、次のような切り口がよく使われます。

a) ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ
b) WHO(市場/顧客)、WHAT(機能/ニーズ)、HOW(技術/独自能力)
c) Man(生産主体)、Material(生産対象)、Machine(生産手段)、Method(方法)
d) 設計、調達、作業
e) 導入期、成長期、成熟期、衰退期
f) 顧客、競合、自社
g) 現状、問題点、改善策
h) 財務的視点、顧客の視点、社内プロセスの視点、人材育成の視点

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この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

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