技術開発戦略の6つの判断基準

更新日

投稿日

1. 技術開発戦略立案の背景

 いくつかの中小企業の経営者から、技術開発戦略を立案する場合に、判断基準は何ですかとの質問を受けました。それに対して筆者は、どうしても外せないと思われる「技術開発の判断基準」として、図1に示す6項目を紹介しています。筆者がコンサルティングに関係した2~3の企業でも、類似の基準が考慮されていました。ここでは、「トレンド」、「既存技術とのシナジー」、「複合化の可能性」、「システム性」、「否定技術との対比」、「標準技術への発展性」の6つを紹介します。今では、中小企業においても避けて通れない重要な判断基準となりつつあります。

技術開発戦略

図1 技術開発6つの判断基準

2. 技術開発戦略6つの判断基準とは

 「トレンド」は、あまり説明は要しないと思われます。世の中の技術動向をおさえることです。

 「既存技術とのシナジー」は、その企業のコア・コンピタンスをいかに有効に使えるかが問われているという意味です。

 「複合化の可能性」は、その技術と既存の自社あるいは世の中の技術と組み合わせて、新たな製品ができないかということを考えることです。

 「システム性」は、例えば、その技術の特許だけでなくその周辺技術までシステム的におさえておけば差別化につながるという意味です。

 「否定技術との対比」は、例えば、紙の書籍は将来電子書籍に置き換わることが予測され、その場合に両者の開発をどうするかについて戦略を立ててお...

1. 技術開発戦略立案の背景

 いくつかの中小企業の経営者から、技術開発戦略を立案する場合に、判断基準は何ですかとの質問を受けました。それに対して筆者は、どうしても外せないと思われる「技術開発の判断基準」として、図1に示す6項目を紹介しています。筆者がコンサルティングに関係した2~3の企業でも、類似の基準が考慮されていました。ここでは、「トレンド」、「既存技術とのシナジー」、「複合化の可能性」、「システム性」、「否定技術との対比」、「標準技術への発展性」の6つを紹介します。今では、中小企業においても避けて通れない重要な判断基準となりつつあります。

技術開発戦略

図1 技術開発6つの判断基準

2. 技術開発戦略6つの判断基準とは

 「トレンド」は、あまり説明は要しないと思われます。世の中の技術動向をおさえることです。

 「既存技術とのシナジー」は、その企業のコア・コンピタンスをいかに有効に使えるかが問われているという意味です。

 「複合化の可能性」は、その技術と既存の自社あるいは世の中の技術と組み合わせて、新たな製品ができないかということを考えることです。

 「システム性」は、例えば、その技術の特許だけでなくその周辺技術までシステム的におさえておけば差別化につながるという意味です。

 「否定技術との対比」は、例えば、紙の書籍は将来電子書籍に置き換わることが予測され、その場合に両者の開発をどうするかについて戦略を立てておくという意味です。

 「標準技術への発展性」は、その技術がISO規格などの標準規格として提案できないかを考慮し、究極的にはデファクトスタンダード(事実上の標準)になりえるかというような意味をもっています。

 

参考文献: 粕谷茂 「SEのスピード発想術」 技術評論社

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その173) 擬人化体験とは

【目次】   【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その172)へのリンク】 前回は無生物の物に自分がなった...

【目次】   【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その172)へのリンク】 前回は無生物の物に自分がなった...


『価値づくり』の研究開発マネジメント (その5)

  前回は、「自社の市場と技術を目いっぱい広げ活動する」の中の「市場」について議論しました。今回は「技術を目いっぱい拡大」に関する活動を議...

  前回は、「自社の市場と技術を目いっぱい広げ活動する」の中の「市場」について議論しました。今回は「技術を目いっぱい拡大」に関する活動を議...


インポスター症候群とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その83)

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
設計部門の仕組み構築(その1)

【設計部門の仕組み構築 連載目次】 1. 設計部門の仕組み構築 2. 設計部門の仕組み構築(解決すべき根本原因) 3. 設計部門の仕組み構築(具...

【設計部門の仕組み構築 連載目次】 1. 設計部門の仕組み構築 2. 設計部門の仕組み構築(解決すべき根本原因) 3. 設計部門の仕組み構築(具...


設計部門とリスク管理(その2)

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...

【設計部門とリスク管理 連載目次】 1. リスク管理とは目標達成までのシナリオ作成 2. コンティンジェンシープランの注意事項 3. リスク管理...


技術力向上の鍵を握る価値創造力とは

 技術力を高める鍵は、価値創造力にあると考えています。すなわち、技術力を高めるためには、価値創造力を磨かなければならない、という考え方です。しかし、多くの...

 技術力を高める鍵は、価値創造力にあると考えています。すなわち、技術力を高めるためには、価値創造力を磨かなければならない、という考え方です。しかし、多くの...