平準化:ジャスト・イン・タイム生産(その48)

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【実践編 第3章目次】

第3章 平準化で生産の波を小さくする

1. 生産を平準化する←今回の記事
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ

第3章 平準化で生産の波を小さくする

「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。

1. 生産を平準化する

平準化とは、大きな波をさざ波にすること。「需要」に合わせて「供給」する生産するしくみ。

(1)ダンゴ生産を平準化する

たとえば、毎日平均30個ずつ(月に600個)の販売量がある、A・B・C・Dの4種類の製品を生産する方法を考えてみましょう。

 

これを1本の生産ラインで、ダンゴにまとめ、月いち生産で生産する場合、このラインに、第1週は製品Aを流し、第2週は製品Bを、第3週は製品Cを、第4週は製品Dを流します。1日の生産量を120個として5日間流せば、各製品とも1カ月の需要量の600個を生産することができます。

 

このラインは、 1日に120個生産できる太い土管のようなものです。しかし、製品ごとに見れば、 1カ月に1週間しか使わない土管です。この方法でも、毎日30個ずつの需要に対応することはできます。しかし、実際には、毎日必ず30個売れるわけではないため、製品の減り方(需要)と供給量に差が出て、各製品は、それぞれ月に最大600個の製品在庫を持つ可能性があります。

 

大切なことは需要に対応することです。

 

各製品とも、毎日30個ずつの需要に対応するには、 1日に120個生産する太い土管は要らないのです。必要なのは、製品別の細いゴムホース4本で、それぞれのホースで毎日30個ずつ生産できれば、充分に需要に対応することができます。

 

ジャスト ・イン・タイムでは、この1本の太い土管から細いゴムホース4本に替えることを、 「平準化」といいます。

 

図.ダンゴ生産(土管)から平準化生産(ゴムホース)へ

 

毎日30個ずつの需要に対して、毎日30個ずつ供給(生産)できれば、需要と供給が等しくなり、製品在庫は発生せず、製品倉庫も不要です。需要と供給をつなぐ、毎日130個ずつ運ぶ輸送があればよいのです。このように、需要量と供給量が等しくなる生産方法にすることを「需給のライン化」、または「ニーズのライン化」などといいます。

 

そこにあるのは、顧客中心の考え方であり、これが、 「マーケットイン」への対応です。

 

この視点で見ると、ダンゴ生産は、顧客の要求に合わせた生産方法ではなく、生産サイドが生産しや...

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【実践編 第3章目次】

第3章 平準化で生産の波を小さくする

1. 生産を平準化する←今回の記事
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ

第3章 平準化で生産の波を小さくする

「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。

1. 生産を平準化する

平準化とは、大きな波をさざ波にすること。「需要」に合わせて「供給」する生産するしくみ。

(1)ダンゴ生産を平準化する

たとえば、毎日平均30個ずつ(月に600個)の販売量がある、A・B・C・Dの4種類の製品を生産する方法を考えてみましょう。

 

これを1本の生産ラインで、ダンゴにまとめ、月いち生産で生産する場合、このラインに、第1週は製品Aを流し、第2週は製品Bを、第3週は製品Cを、第4週は製品Dを流します。1日の生産量を120個として5日間流せば、各製品とも1カ月の需要量の600個を生産することができます。

 

このラインは、 1日に120個生産できる太い土管のようなものです。しかし、製品ごとに見れば、 1カ月に1週間しか使わない土管です。この方法でも、毎日30個ずつの需要に対応することはできます。しかし、実際には、毎日必ず30個売れるわけではないため、製品の減り方(需要)と供給量に差が出て、各製品は、それぞれ月に最大600個の製品在庫を持つ可能性があります。

 

大切なことは需要に対応することです。

 

各製品とも、毎日30個ずつの需要に対応するには、 1日に120個生産する太い土管は要らないのです。必要なのは、製品別の細いゴムホース4本で、それぞれのホースで毎日30個ずつ生産できれば、充分に需要に対応することができます。

 

ジャスト ・イン・タイムでは、この1本の太い土管から細いゴムホース4本に替えることを、 「平準化」といいます。

 

図.ダンゴ生産(土管)から平準化生産(ゴムホース)へ

 

毎日30個ずつの需要に対して、毎日30個ずつ供給(生産)できれば、需要と供給が等しくなり、製品在庫は発生せず、製品倉庫も不要です。需要と供給をつなぐ、毎日130個ずつ運ぶ輸送があればよいのです。このように、需要量と供給量が等しくなる生産方法にすることを「需給のライン化」、または「ニーズのライン化」などといいます。

 

そこにあるのは、顧客中心の考え方であり、これが、 「マーケットイン」への対応です。

 

この視点で見ると、ダンゴ生産は、顧客の要求に合わせた生産方法ではなく、生産サイドが生産しやすく変えた方法であることがわかります。需要量と供給量が異なる生産方法は、どんなに頑張ったところで、 「プロダクトアウト」の対応であることに変わりはありません。

 

これが「平準化」の基本的な考え方です。JIT改革では、この考えのもと、需給のライン化を進める方法を説明していきます。

 

次回に続きます。

【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

 

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この記事の著者

古谷 誠

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!

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