メンタルモデル でムダを清掃する

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5S

 

【この連載の前回:清掃でなぜ組織は成果が出せるのか?へのリンク】

前回は、 思考を磨き上げるための清掃を展開することで、 問題検出や解決力の向上につなげるというお話をしました。今回は、 オフィス系の清掃についてお話を続けます。 5S活動というと生産現場が中心の活動を思われがちですが、 新5S思考術は思考を磨き上げる活動なのであらゆる職場で適用できます。新5S思考術は 「 メンタルモデル 」が関係しています。

 

1.オフィスにムダがあると、「 メンタルモデル 」 が形成されない?

オフィスでの仕事をよく観察すると、 頻繁に作業ミスが発生しているケースが少なくありません。

 

生産の現場では 「 不適合品 」 や 「 不良品 」 など、 何らかの不具合として目に見える形で現れてきますが、 オフィスやサービス業などのデスクワークが多い職場であれば不具合は目に見えない形で現れてくることが一般的です。

 

オフィスワークの業務プロセスにおいて、「 ミスをしたとしてもすぐに修正できてしまう 」という状況が頻繁に起こっているのであれば、ミス を ムダ だと気づいて一生懸命ミスをなくそうとする 「 メンタルモデル 」 が形成されにくいのです。

 

例えば、 パソコン入力においてタイピングミスをしてもデリートキーを押せばすぐに修正できるし、 誤字脱字があっても修正してしまえば誤字脱字はなかったことにできてしまうのです。この状況下では、 タイピングミスを少なくするためにどうすればよいかや誤字脱字を減らすためにはどうすればよいかという発想に行き着きにくいのです。

 

2.「 メンタルモデル 」 の形成がなければ、 重大なトラブルを引き起こすことも!?

日頃から小さなミスを発生しないような職場環境を作り、 部下や後輩の思考を鍛えておかないと、いずれ大きな損失につながるミスが発生するかもしれません。

 

例えば、 小さなミスは直ぐに修正できるという職場環境下で仕事を続けていると、 小さなミスが雪だるま式に徐々に大きくなって、 時には巨額な取引ミスを起こしてしまったり、 顧客との信頼を損ねるトラブルにまで発展するケースすらあります。

 

これは、 製造現場の安全管理における 「 ハインリッヒの法則 」 でも証明されています。 1件 の重大事故 の背景には、 29件 の軽微な事故や、災害に至らない小さな事故いわゆる 「 ヒヤリ・ハット 」 が300件も潜んでいると言われています。そして、オフィスワークにおいても同様のことがいえます。 小さなミスの段階で問題を問題と捉えてきちんと対策を取っておかないと取り返しが付かないことになってしまいかねません。

 

3.オフィスの 「 清掃 」 とどう関係するの?

生産ラインなどの現場の場合、 もの( 建物、 設備、 治具、 搬送具、 備品等 )に対する清掃を行いながら、 あなたの部下や後輩の思考に磨きをかけますが、 オフィスの場合はちょっと視点を変えて清掃を実施します。それは 「 プロセスを磨き上げる。 」 です。 私は、 ISO9001審査員を長年やっていたせいかプロセスという言葉を多用してしまうのですが、 プロセスとは一般的には仕事の流れとかフローと呼ばれることです。仕事は物と事から成り立っていると過去に触れましたが、 製造現場に比べてオフィスではこと ( 事 ) を中心に清掃を行い思考に磨きをかけていきます。まずは、 フリーハンドでもよいので業務フローを書き出してください。

 

「 ん? 清掃するんじゃないの? 」 と思われる方も多いでしょう。

 

もちろん机の上のホコリや窓なども清掃してください。 特に新型コロナウイルス感染症から部下や後輩を守るためには、 舞うホコリでさえ減らし衛生的な環境を保持しなければなりません。 話をフローを書き出すに戻します。フローには四角く囲ったプロセスと次のプロセスをつなぐ矢印で書き出しますが、 書き出されたフローの中にテーマを設け探し出して欲しい ”こと” があります。それは現場の清掃と同じ 『 にくい探し 』 です。

 

4.業務フローの中で 『 にくい探し 』!!

今までのやり方がこれからもずっと正しいとは限りません。 オフィス業務では、 書類やデータなどの情報を取り扱うことが中心となっていますから、 書類やデータにノウハウをアドオンし、 情報を新たに加工して次のプロセスに送る流れができあがっています。

 

ところが、 この流れの中にかなりの 『 にくい 』 が隠れているのです。読みにくい、判断しにくい、書きにくい、入力しにくい、計算しにくい、伝えにくい、探しにくい、しまいにくい、取り出しにくいなどです。

 

オフィスも 『 にくいパラダイス 』 なのです。小さなミスを誘発するとともに大きな損害を生みだすミスにつながる原因は 『 にくい 』 にあります。『 にくい 』 は人のイライラ感を誘発するです。従って、 オフィスの清掃では 「 業務フローの中からにくいを探す。 」 活動を展開します。

 

リーダーは業務フローを書き出したあとに、「 探しにくい所をフローに書き入れてみて。 」 とか、「 計算しにくいところをフローに書き入れてみて。 」 など、テーマをもった業務フローの清掃を行うようにサポートします。あるサービス業では、 10個のプロセスがつながっている業務フローの中に90個ものにくいを探したケースもあります。私たちの脳は最も少ないエネルギーで仕事をしたがるクセがあります。

 

例えば、 パソコンから印刷する場合を思い浮かべて下さい。パソコン上で印刷のコマンドをクリックして印刷を行います。その後、 印刷物を取りに行くのにプリンターへ向かいます。人は最も少ないエネルギーでプリンターまで進もうとし、 極力直線に近いルートを歩行しようとしますが、 オフィスでは人の歩行途中の間に様々なトラップがしかけれれていることが多いのです。

 

例えば、

  • 椅子が机から出しっぱなしでよけなければならない。
  • 床に台車が置いてあってよけなければならない。
  • 床に段ボールが置いてあってよけなければならない。
  • 途中、誰かに呼び止められて立ち止まってしまう。

 

これらは、最も少ないエネルギーで仕事をする人にとって邪魔となる事象です。あなたは気付いていないかもしれませんが、 邪魔をされる毎に脳は 「 イラ 」「 イラ 」「 イラ 」を無意識下で感じ取っています。邪魔が多いと人の脳はイライラ感として意識するようになり、 このイライラ感がオフィスでは大敵となります。イライラ感は焦る気持ちを高め、 ミスを誘発しやすくなります。

  • 視野が狭くなりミスを誘発する。
  • 集中力を維持できなくなりミスを誘発する。
  • メンタル...

5S

 

【この連載の前回:清掃でなぜ組織は成果が出せるのか?へのリンク】

前回は、 思考を磨き上げるための清掃を展開することで、 問題検出や解決力の向上につなげるというお話をしました。今回は、 オフィス系の清掃についてお話を続けます。 5S活動というと生産現場が中心の活動を思われがちですが、 新5S思考術は思考を磨き上げる活動なのであらゆる職場で適用できます。新5S思考術は 「 メンタルモデル 」が関係しています。

 

1.オフィスにムダがあると、「 メンタルモデル 」 が形成されない?

オフィスでの仕事をよく観察すると、 頻繁に作業ミスが発生しているケースが少なくありません。

 

生産の現場では 「 不適合品 」 や 「 不良品 」 など、 何らかの不具合として目に見える形で現れてきますが、 オフィスやサービス業などのデスクワークが多い職場であれば不具合は目に見えない形で現れてくることが一般的です。

 

オフィスワークの業務プロセスにおいて、「 ミスをしたとしてもすぐに修正できてしまう 」という状況が頻繁に起こっているのであれば、ミス を ムダ だと気づいて一生懸命ミスをなくそうとする 「 メンタルモデル 」 が形成されにくいのです。

 

例えば、 パソコン入力においてタイピングミスをしてもデリートキーを押せばすぐに修正できるし、 誤字脱字があっても修正してしまえば誤字脱字はなかったことにできてしまうのです。この状況下では、 タイピングミスを少なくするためにどうすればよいかや誤字脱字を減らすためにはどうすればよいかという発想に行き着きにくいのです。

 

2.「 メンタルモデル 」 の形成がなければ、 重大なトラブルを引き起こすことも!?

日頃から小さなミスを発生しないような職場環境を作り、 部下や後輩の思考を鍛えておかないと、いずれ大きな損失につながるミスが発生するかもしれません。

 

例えば、 小さなミスは直ぐに修正できるという職場環境下で仕事を続けていると、 小さなミスが雪だるま式に徐々に大きくなって、 時には巨額な取引ミスを起こしてしまったり、 顧客との信頼を損ねるトラブルにまで発展するケースすらあります。

 

これは、 製造現場の安全管理における 「 ハインリッヒの法則 」 でも証明されています。 1件 の重大事故 の背景には、 29件 の軽微な事故や、災害に至らない小さな事故いわゆる 「 ヒヤリ・ハット 」 が300件も潜んでいると言われています。そして、オフィスワークにおいても同様のことがいえます。 小さなミスの段階で問題を問題と捉えてきちんと対策を取っておかないと取り返しが付かないことになってしまいかねません。

 

3.オフィスの 「 清掃 」 とどう関係するの?

生産ラインなどの現場の場合、 もの( 建物、 設備、 治具、 搬送具、 備品等 )に対する清掃を行いながら、 あなたの部下や後輩の思考に磨きをかけますが、 オフィスの場合はちょっと視点を変えて清掃を実施します。それは 「 プロセスを磨き上げる。 」 です。 私は、 ISO9001審査員を長年やっていたせいかプロセスという言葉を多用してしまうのですが、 プロセスとは一般的には仕事の流れとかフローと呼ばれることです。仕事は物と事から成り立っていると過去に触れましたが、 製造現場に比べてオフィスではこと ( 事 ) を中心に清掃を行い思考に磨きをかけていきます。まずは、 フリーハンドでもよいので業務フローを書き出してください。

 

「 ん? 清掃するんじゃないの? 」 と思われる方も多いでしょう。

 

もちろん机の上のホコリや窓なども清掃してください。 特に新型コロナウイルス感染症から部下や後輩を守るためには、 舞うホコリでさえ減らし衛生的な環境を保持しなければなりません。 話をフローを書き出すに戻します。フローには四角く囲ったプロセスと次のプロセスをつなぐ矢印で書き出しますが、 書き出されたフローの中にテーマを設け探し出して欲しい ”こと” があります。それは現場の清掃と同じ 『 にくい探し 』 です。

 

4.業務フローの中で 『 にくい探し 』!!

今までのやり方がこれからもずっと正しいとは限りません。 オフィス業務では、 書類やデータなどの情報を取り扱うことが中心となっていますから、 書類やデータにノウハウをアドオンし、 情報を新たに加工して次のプロセスに送る流れができあがっています。

 

ところが、 この流れの中にかなりの 『 にくい 』 が隠れているのです。読みにくい、判断しにくい、書きにくい、入力しにくい、計算しにくい、伝えにくい、探しにくい、しまいにくい、取り出しにくいなどです。

 

オフィスも 『 にくいパラダイス 』 なのです。小さなミスを誘発するとともに大きな損害を生みだすミスにつながる原因は 『 にくい 』 にあります。『 にくい 』 は人のイライラ感を誘発するです。従って、 オフィスの清掃では 「 業務フローの中からにくいを探す。 」 活動を展開します。

 

リーダーは業務フローを書き出したあとに、「 探しにくい所をフローに書き入れてみて。 」 とか、「 計算しにくいところをフローに書き入れてみて。 」 など、テーマをもった業務フローの清掃を行うようにサポートします。あるサービス業では、 10個のプロセスがつながっている業務フローの中に90個ものにくいを探したケースもあります。私たちの脳は最も少ないエネルギーで仕事をしたがるクセがあります。

 

例えば、 パソコンから印刷する場合を思い浮かべて下さい。パソコン上で印刷のコマンドをクリックして印刷を行います。その後、 印刷物を取りに行くのにプリンターへ向かいます。人は最も少ないエネルギーでプリンターまで進もうとし、 極力直線に近いルートを歩行しようとしますが、 オフィスでは人の歩行途中の間に様々なトラップがしかけれれていることが多いのです。

 

例えば、

  • 椅子が机から出しっぱなしでよけなければならない。
  • 床に台車が置いてあってよけなければならない。
  • 床に段ボールが置いてあってよけなければならない。
  • 途中、誰かに呼び止められて立ち止まってしまう。

 

これらは、最も少ないエネルギーで仕事をする人にとって邪魔となる事象です。あなたは気付いていないかもしれませんが、 邪魔をされる毎に脳は 「 イラ 」「 イラ 」「 イラ 」を無意識下で感じ取っています。邪魔が多いと人の脳はイライラ感として意識するようになり、 このイライラ感がオフィスでは大敵となります。イライラ感は焦る気持ちを高め、 ミスを誘発しやすくなります。

  • 視野が狭くなりミスを誘発する。
  • 集中力を維持できなくなりミスを誘発する。
  • メンタルヘルスに悪い影響を与える。

 

5.真の働き方改革 を行うためには?

メンタルヘルスでは、 一昔前まで「 人間関係 」 が多くの人が口にしていましたが、 近年では「 業務の非効率性 」と話す人が多くなってきました。しかし、「 業務の非効率性 」の原因がオフィスのイライラ感にあることに気づいておらず、 そのまま放置されてしまっているケースが少なくありません。働き方改革は推進しているのにもかかわらず、 業務の効率化は一向に推進しないのです。その結果、 仕事が終わらないに時間だから早く帰らされるという状況に追い込まれて社内には不平や不満が蔓延してしまっています。真の働き方改革を推進するためにも、 是非オフィスのイライラ感を低減し、 業務フローの清掃を展開をしてみてください。

 

オフィスの清掃は単なるお掃除ではなく、 イライラ感を減らし、 ミスを減らすための環境整備をしながら、 部下や後輩の思考を磨きあげる活動です。 思考に磨きをかけることで、 部下や後輩の成長を促すことができれば、 業務の質も向上させることができます。 ここでもテーマの選定はリーダーの腕しだいです。 働きやすい職場を実現するために清掃を実施してみてください。 やるかやらないかは、 あなた次第です。

 

次回の 新5S思考術 は 「 整頓 」 についてお話を進めます。

 

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この記事の著者

坂田 和則

現場を見る目が違うからリピート率90%超え。 等身大の言葉で語るから現場ウケしてます。 問題/課題解決モチベーションに火を付けるのなら!

現場を見る目が違うからリピート率90%超え。 等身大の言葉で語るから現場ウケしてます。 問題/課題解決モチベーションに火を付けるのなら!


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