前編の「整理」のところで‘仕掛りは要るものだからと山積みになったまま・・・’について、何でそうなるの!と考えた時、これは「整理」を何のためにやるのかという目的が分っていないからだと気付いた。
どうやるかというKnow Howは書いてあるが、ナゼそうするのかというKnow Whyが欠けているのだ。「整理」というのは、“生産ラインに日々の作業に必要ナイものがあると作業の妨げになる”から無くすということで、そうすると“今日の作業に必要な量を超える仕掛りは要らない、要らないものは(捨てるわけにいかないので)ラインの外に出す”ことだ、ということが分る。更に、この必要最小限の仕掛りを扱い易いように「整頓」することで、ムダなハンドリングもなくなり、ハンドリング中のダメージもなくなる、ということである。すなわち必要以上の仕掛りを作らず、生産の最初から最後までスムースに流れるようにすることがカギなのである。
生産性はPQCDSMで、5Sは生産性を上げる道具だと書いたが、皆さん、5SとPQCDSMの関係、なぜ5SがPQCDSMの向上になるのか、説明できますか?いま議論してきたことがヒントです。「整理」「整頓」は“スムースに流れる”ようにするのが目的。仕掛りを必要最小限にしてスムースに流れることによって、探したり余計なハンドリングしたりがなくなり、生産量Pが上がり、ダメージが減少(品質Qが向上)し、コストCが下がり、納期Dも守れるようになり、安全Sも向上し、やる気Mもでてくる、ということ。
通常の5Sの本では、5Sの目的が‘生産性を上げること’とか‘QCDの向上’だとか具体的になっておらず、そのため「整理」「整頓」がどのようにQCDの向上に繋がるのか分らないため、5Sをやることそのものが目的になってしまっている。そこで、「整理」「整頓」の第1次の目的は“スムースに流れる”ということだ、とハッキリ認識することで、これが具体的に(その次の目的である)生産量アップPや品質向上Qやコスト低減Cに結び付くことが分ってきて(Know Whyノウホワイが分ってきて)、成果に結び付くようになる。
写真はあるモデル企業で“管理不在の状態”だったのを、5Sを活用して”流れる生産による高い生産性を実現”した例である。その後のセミナーでは社長が快く受講生を受け入れて自身...