梱包不良対策の基本

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SCM

 

【目次】
◆梱包不良対策の基本
1.梱包状態による不具合
2.作業者(ヒューマンエラー)による不具合
3.異物混入による不具合
4.付帯ツールによる不具合
5.荷扱いによる不具合

◆梱包不良対策の基本

梱包工程にまつわる不良は様々ですが、ここでは次の5つに分類して原因と対策について考えてみます。

 

1.梱包状態によるもの

梱包強度の不足や梱包保護材の不足により発生する不具合です。

2.ヒューマンエラーによるもの

作業手順の間違いや員数間違い、同梱忘れにより発生する不具合です。

3.異物混入によるもの

虫の混入や作業ツール、作業者の所持品の混入により発生する不具合です。

4.付帯ツールによるもの

梱包作業に付随して使用するパレットや通い箱による汚染や異物混入により発生する不具合です。

5.荷扱いによるもの

天地を逆にして取り扱ったことによる破損や、固定バンドの取扱いが不十分なために発生する荷崩れにより発生する不具合です。

 

1.梱包状態による不具合

① 梱包の強度不足による破損

梱包状態による不具合原因の一つ目は「梱包の強度不足による破損」です。この対策は、試験室で模擬的に行う振動試験や落下試験に加えて、実輸送試験などを事前に行い輸送による品質低下がないことを確認します。実輸送試験では、通常の2倍や3倍の走行距離を往復させて確認したり、想定される負荷に対する耐久性を確認し、梱包仕様の妥当性を検証することが重要です。製品によっては、輸送中にどのような振動や衝撃、保管温度・湿度になるか、センサーをつけて出荷から納品までを実測することもあります。

 

② 保護材の不足による破損

梱包状態による不具合原因の二つ目は、「保護材の不足による破損」です。部品や製品と同様に梱包材にも寸法公差があります。壊れやすい製品の場合は、梱包容器を振って、がさがさ動くようだと梱包が十分ではありません。この場合、梱包仕様の見直しをするか、隙間に緩衝材を入れて改善できるのかを確認する必要があります。

 

2.作業者(ヒューマンエラー)による不具合

① 梱包手順の間違い

作業者による不具合原因の一つ目は、「梱包手順の間違い」です。対策としては、梱包後に作業者自身がサインをすることで、梱包作業に責任を持たせて作業者の注意を促す方法があります。問題が発生した時には、すぐに当時の作業状況を確認できるというメリットもあります。ただし、発生した問題を個人のミスとして終わらせてしまうのではなく、再発防止のために組織としてどう取り組むかが重要です。

 

② 梱包員数間違い

作業者による不具合原因の二つ目は、「梱包員数間違い」です。対策としては、重量管理や治具等を利用して員数間違いを防ぐなど、ヒューマンエラーを防止する取り組みが必要になります。

 

③ 書類・付属品の同梱忘れ

作業者による不具合原因の三つ目は、「取扱説明書・付属品の同梱忘れ」です。対策としては、梱包に必要な取扱説明書や付属品を、事前に必要な分だけ梱包場所に準備し、梱包作業後に説明書や付属品の残数管理を行うなどの方法があります。

 

3.異物混入による不具合

① 虫の混入

異物混入による不具合原因のひとつ目は、「虫の混入」です。対策としては、窓を閉める、網戸をつける、扉の開閉ルールをつくる、防虫ライトをつける、二重扉にする、扉の前に風圧をかける、周囲の環境を改善する、等の対策を行います。

 

② 梱包作業ツールの混入

異物混入による不具合原因の二つ目は、「梱包作業ツールの混入」です。対策としては、梱包作業に使用する道具類は、きちんと置き場を決めて作業後に使用したものが整頓されていることを確認できるようにします。梱包時に使用するテープやカッターなどのツールが梱包に入らないような管理が必要です。

 

③ 梱包担当者の所持品の混入

異物混入による不具合原因の三つ目は「梱包担当者の所持品の混入」です。対策としては、作業場に持ち込んで良いもの、悪いものを明確にして、定められた服装で安定した作業を行えるような基準を作成し、写真や図などでわかりやすく掲示することが重要です。特に服装が明確に定められていない工場では注意が必要です。

 

4.付帯ツールによる不具合

① パレットからの釘の飛び出し

付帯ツールによる不具合原因の一つ目は、「パレットからの釘の飛び出しによる梱包の破損」です。対策としては、パレット購入時に受入検査を行ったり、使用する前にチェックを行います。梱包も製品の一部であることを認識することが重要です。

 

梱包

 

② 樹液漏れや木屑

木製パレット使用時には、「樹液漏れや木屑による梱包・製品への付着不良」にも注意しなければいけません。樹液は粘着性があり、さまざまなところに付着するため、梱包や工場内が汚れないようにしなければなりません。対策としては、パレット購入時の受入検査を行います。

 

③ 通い箱の汚染による異物混入

付帯ツールによる不具合原因の三つ目は、「通い箱(梱包容器)の清掃不足による異物混入」です。製造工程内の清掃はきちんと実施されているものの、通い箱など梱包容器の清掃が疎かになっている場合が多くありますので注意が必要です。通い箱の汚れは、梱包作業員の気付きと配慮によって清掃されている場合がありますが、清掃の手順や時間をルールとして梱包工程に落とし込むことが重要です。

 

④ 通い箱の劣化による異物混入

通い箱は、連続使用による摩耗や劣化による破損にも注意しなければなりません。通い箱などの梱包容器は工場間を連続して行き来するなかで、磨耗や破損が発生しますので注意が必要です。使用回数や使用期間を確認し、摩耗や破損前に新しいものと交換する必要があります。どれくらいの使用回数で破損す...

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【目次】
◆梱包不良対策の基本
1.梱包状態による不具合
2.作業者(ヒューマンエラー)による不具合
3.異物混入による不具合
4.付帯ツールによる不具合
5.荷扱いによる不具合

◆梱包不良対策の基本

梱包工程にまつわる不良は様々ですが、ここでは次の5つに分類して原因と対策について考えてみます。

 

1.梱包状態によるもの

梱包強度の不足や梱包保護材の不足により発生する不具合です。

2.ヒューマンエラーによるもの

作業手順の間違いや員数間違い、同梱忘れにより発生する不具合です。

3.異物混入によるもの

虫の混入や作業ツール、作業者の所持品の混入により発生する不具合です。

4.付帯ツールによるもの

梱包作業に付随して使用するパレットや通い箱による汚染や異物混入により発生する不具合です。

5.荷扱いによるもの

天地を逆にして取り扱ったことによる破損や、固定バンドの取扱いが不十分なために発生する荷崩れにより発生する不具合です。

 

1.梱包状態による不具合

① 梱包の強度不足による破損

梱包状態による不具合原因の一つ目は「梱包の強度不足による破損」です。この対策は、試験室で模擬的に行う振動試験や落下試験に加えて、実輸送試験などを事前に行い輸送による品質低下がないことを確認します。実輸送試験では、通常の2倍や3倍の走行距離を往復させて確認したり、想定される負荷に対する耐久性を確認し、梱包仕様の妥当性を検証することが重要です。製品によっては、輸送中にどのような振動や衝撃、保管温度・湿度になるか、センサーをつけて出荷から納品までを実測することもあります。

 

② 保護材の不足による破損

梱包状態による不具合原因の二つ目は、「保護材の不足による破損」です。部品や製品と同様に梱包材にも寸法公差があります。壊れやすい製品の場合は、梱包容器を振って、がさがさ動くようだと梱包が十分ではありません。この場合、梱包仕様の見直しをするか、隙間に緩衝材を入れて改善できるのかを確認する必要があります。

 

2.作業者(ヒューマンエラー)による不具合

① 梱包手順の間違い

作業者による不具合原因の一つ目は、「梱包手順の間違い」です。対策としては、梱包後に作業者自身がサインをすることで、梱包作業に責任を持たせて作業者の注意を促す方法があります。問題が発生した時には、すぐに当時の作業状況を確認できるというメリットもあります。ただし、発生した問題を個人のミスとして終わらせてしまうのではなく、再発防止のために組織としてどう取り組むかが重要です。

 

② 梱包員数間違い

作業者による不具合原因の二つ目は、「梱包員数間違い」です。対策としては、重量管理や治具等を利用して員数間違いを防ぐなど、ヒューマンエラーを防止する取り組みが必要になります。

 

③ 書類・付属品の同梱忘れ

作業者による不具合原因の三つ目は、「取扱説明書・付属品の同梱忘れ」です。対策としては、梱包に必要な取扱説明書や付属品を、事前に必要な分だけ梱包場所に準備し、梱包作業後に説明書や付属品の残数管理を行うなどの方法があります。

 

3.異物混入による不具合

① 虫の混入

異物混入による不具合原因のひとつ目は、「虫の混入」です。対策としては、窓を閉める、網戸をつける、扉の開閉ルールをつくる、防虫ライトをつける、二重扉にする、扉の前に風圧をかける、周囲の環境を改善する、等の対策を行います。

 

② 梱包作業ツールの混入

異物混入による不具合原因の二つ目は、「梱包作業ツールの混入」です。対策としては、梱包作業に使用する道具類は、きちんと置き場を決めて作業後に使用したものが整頓されていることを確認できるようにします。梱包時に使用するテープやカッターなどのツールが梱包に入らないような管理が必要です。

 

③ 梱包担当者の所持品の混入

異物混入による不具合原因の三つ目は「梱包担当者の所持品の混入」です。対策としては、作業場に持ち込んで良いもの、悪いものを明確にして、定められた服装で安定した作業を行えるような基準を作成し、写真や図などでわかりやすく掲示することが重要です。特に服装が明確に定められていない工場では注意が必要です。

 

4.付帯ツールによる不具合

① パレットからの釘の飛び出し

付帯ツールによる不具合原因の一つ目は、「パレットからの釘の飛び出しによる梱包の破損」です。対策としては、パレット購入時に受入検査を行ったり、使用する前にチェックを行います。梱包も製品の一部であることを認識することが重要です。

 

梱包

 

② 樹液漏れや木屑

木製パレット使用時には、「樹液漏れや木屑による梱包・製品への付着不良」にも注意しなければいけません。樹液は粘着性があり、さまざまなところに付着するため、梱包や工場内が汚れないようにしなければなりません。対策としては、パレット購入時の受入検査を行います。

 

③ 通い箱の汚染による異物混入

付帯ツールによる不具合原因の三つ目は、「通い箱(梱包容器)の清掃不足による異物混入」です。製造工程内の清掃はきちんと実施されているものの、通い箱など梱包容器の清掃が疎かになっている場合が多くありますので注意が必要です。通い箱の汚れは、梱包作業員の気付きと配慮によって清掃されている場合がありますが、清掃の手順や時間をルールとして梱包工程に落とし込むことが重要です。

 

④ 通い箱の劣化による異物混入

通い箱は、連続使用による摩耗や劣化による破損にも注意しなければなりません。通い箱などの梱包容器は工場間を連続して行き来するなかで、磨耗や破損が発生しますので注意が必要です。使用回数や使用期間を確認し、摩耗や破損前に新しいものと交換する必要があります。どれくらいの使用回数で破損するのかといったデータ蓄積を行うことも、不良の未然防止のためには必要になってきます。

 

5.荷扱いによる不具合

① 梱包容器の天地逆転による破損

荷扱いによる不具合原因の一つ目は、「梱包容器の天地逆転による破損」です。梱包容器の上下の置き方の管理が必要な場合、天地が逆転しないような注意表示が必要です。

 

② 固定バンド締め付け管理不足

荷扱いによる梱包不良の原因の二つ目は、「固定バンド締め付け管理不足」です。対策は、梱包時の作業管理値を明確にし、適切なツールで作業することが重要になります。締め付けが強すぎても製品品質に影響を与える可能性がありますので注意してください。

 

【検査後の梱包工程は未検査工程である】

『検査後の梱包工程は未検査工程である』ということを再認識しておくことが重要です。梱包工程後には梱包作業の出来栄えをチェックする工程がありませんので、梱包工程でのミスは、そのまま不具合品をお客様に届けることになってしまいます。企業によっては、品質保証部門などが一度梱包されたものを開梱して、第三者的な立場から検査を行い、定期的に梱包品質を含めた出荷検査をしているところもあります。

 

 

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この記事の著者

今澤 尚久

「商品を買う側(小売業)」と「商品を作る側(製造業)」の両方の業界経験をベースに実効性のある経営戦略を策定します。現場・現物・現実の三現主義で現状把握から施策立案・課題解決までの全工程を支援します。

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