製品開発における上流設計の重要性とDfX(その2)

投稿日

製品開発における上流設計の重要性とDfX(その2)

【目次】

    ▼さらに深く学ぶなら!
    「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

    ◆ 上流工程を支援するDfXとは

    前回の製品開発における上流設計の重要性とDfX(その1)では設計の上流工程の重要性について解説しました。今回は、上流工程を支援する重要な考え方である「DfX(Design for X)」について説明します。

     

    1. DfXの概要

    DfXとは「Design for X」の略で、「Xのための設計」という意味です。製品のライフサイクル全体を見据えて、上流設計段階から様々な観点を考慮して設計を行う手法の総称です。

     

    図.DfX(Design for X)

     

    [1]に示すように、DfXは製品ライフサイクルの各段階に関わっています。企画構想から始まり、概念設計、詳細設計、試作調達、製造・組立、出荷・据付調整、サービス・保守、そして回収・再生に至るまで、全ての段階を考慮した設計アプローチです。

     

    2. 主なDfXの概要、目的、効果

    DfX...

    製品開発における上流設計の重要性とDfX(その2)

    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

      ◆ 上流工程を支援するDfXとは

      前回の製品開発における上流設計の重要性とDfX(その1)では設計の上流工程の重要性について解説しました。今回は、上流工程を支援する重要な考え方である「DfX(Design for X)」について説明します。

       

      1. DfXの概要

      DfXとは「Design for X」の略で、「Xのための設計」という意味です。製品のライフサイクル全体を見据えて、上流設計段階から様々な観点を考慮して設計を行う手法の総称です。

       

      図.DfX(Design for X)

       

      [1]に示すように、DfXは製品ライフサイクルの各段階に関わっています。企画構想から始まり、概念設計、詳細設計、試作調達、製造・組立、出荷・据付調整、サービス・保守、そして回収・再生に至るまで、全ての段階を考慮した設計アプローチです。

       

      2. 主なDfXの概要、目的、効果

      DfXには様々な種類がありますが、ここでは主要なものについて解説します。

       

      (1) DfM(Design for Manufacturing)

      • 概要: 製造しやすさを考慮した設計手法
      • 目的: 製造工程の効率化、製造コストの削減、品質の向上を図ります。
      • 効果: 製造リードタイムの短縮、不良品率の低減、製造コストの削減が期待できます。

       

      (2) DfA(Design for Assembly)

      • 概要: 組立てやすさを考慮した設計手法
      • 目的: 組立工程の効率化、組立ミスの防止、組立コストの削減を図ります。
      • 効果: 組立時間の短縮、組立品質の向上、組立コストの削減が期待できます。

       

      (3) DfD(Design for Disassembly)

      • 概要: 製品の分解のしやすさを考慮した設計手法
      • 目的: 製品の保守性向上、リサイクル性の向上を図ります。
      • 効果: 修理・メンテナンス時間の短縮、リサイクル率の向上、廃棄コストの削減が期待できます。

       

      (4) DfS(Design for Service)

      • 概要: 保守・サービスのしやすさを考慮した設計手法
      • 目的: アフターサービスの効率化、顧客満足度の向上を図ります。
      • 効果: 保守時間の短縮、製品寿命の延長、顧客ロイヤリティの向上が期待できます。

       

      (5) DfE(Design for Environment)

      • 概要: 環境負荷の低減を考慮した設計手法
      • 目的: 製品のライフサイクル全体での環境負荷低減を図ります。
      • 効果: 省エネルギー化、有害物質の削減、リサイクル性の向上が期待できます。

       

      3. DfXの重要性

      これらのDfXを適切に組み合わせて実践することで、製品の品質向上、コスト削減、環境負荷低減など、多面的な効果が得られます。また、上流工程から各種の要求事項を考慮することで、後工程での手戻りを防ぎ、開発期間の短縮にもつながります。次回は、DfXの具体的な進め方と、実践する上でのポイントについて解説します。

       

      【参考文献】

      [1] 日本機械学会,「機械工学便覧 デザイン編β1」,p86,2007

       

      関連解説記事:人的資源マネジメント:開発の全体最適化とは

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      鈴木 敬一

      現役研修講師が贈る、エンジニアの総合力強化プログラム。紙幣識別装置の開発経験を基盤に、メカトロニクス技術から技術経営、技術者倫理まで幅広く指導。実務知識と最新理論を融合し、次世代イノベーターを育成。

      現役研修講師が贈る、エンジニアの総合力強化プログラム。紙幣識別装置の開発経験を基盤に、メカトロニクス技術から技術経営、技術者倫理まで幅広く指導。実務知識と...


      「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      生産性向上の必要性 開発生産性向上(その1)

      【開発生産性向上 連載目次】 1. 生産性向上の必要性 2. ビジネスの質的変化への対応 3. 開発生産性向上施策 4. 改善活動のポイント ...

      【開発生産性向上 連載目次】 1. 生産性向上の必要性 2. ビジネスの質的変化への対応 3. 開発生産性向上施策 4. 改善活動のポイント ...


      市場調査は仮説と検証の繰り返し

      ◆素材メーカーの市場調査を考える  市場開発には市場深耕型と新規市場開拓型の大きく2つのアプローチがあります。このアプローチには既存製品の拡販は含ま...

      ◆素材メーカーの市場調査を考える  市場開発には市場深耕型と新規市場開拓型の大きく2つのアプローチがあります。このアプローチには既存製品の拡販は含ま...


      技術戦略  研究テーマの多様な情報源(その39)

          良いアイデアを創出するための大きな枠組みには『発散』と『収束』を繰り返すがあります。前回は収束思考の解説をしました。今回は、また...

          良いアイデアを創出するための大きな枠組みには『発散』と『収束』を繰り返すがあります。前回は収束思考の解説をしました。今回は、また...


      「技術マネジメント総合」の活用事例

      もっと見る
      CMMIの要件管理 プロジェクト管理の仕組み (その2)

       前回のその1に続いて、今回は、CMMIの要件管理です。CMMI では次のこと(特定プラクティスといいます)ができている必要があります。   ...

       前回のその1に続いて、今回は、CMMIの要件管理です。CMMI では次のこと(特定プラクティスといいます)ができている必要があります。   ...


      ハイヒール型プルタブオープナー  異分野市場での事業化事例 (その1)

      「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...

      「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...


      ‐技能と技術の融合化によるITを応用した技術開発‐  製品・技術開発力強化策の事例(その4)

       前回の事例その3に続いて解説します。ITの普及と共に技術者や技能者の質的内容が大きく変化しつつあります。今まで何回もの練習と経験を積む必要性が高かった業...

       前回の事例その3に続いて解説します。ITの普及と共に技術者や技能者の質的内容が大きく変化しつつあります。今まで何回もの練習と経験を積む必要性が高かった業...