みなさんは、「優秀さ」という意味をどう解釈するでしょうか。今でも、もしかすると、どこそこ大学を優秀な成績で卒業したことを、判断軸に使っている企業もあると考えられます。なぜなら、まだ、企業の新卒採用で「指定校制度」というのが慣習として存在しているらしいからです。技術系の人事採用担当者に理由を直接聞いたところ、大学の教授のご機嫌を損ねると、継続的に学生を推薦してくれないということでした。言い方を換えると、人事の役割を放棄してしまっていることと同じだとも考えられます。
優秀さというのは、なにを意味するのでしょうか。例えば、細谷功氏は、フェルミ推定という視点で優秀さを3軸で定義しています。1軸目が「知識」、2軸目が「機転が利くこと」、3軸目が「地頭力」としています。知識は記憶力であり、機転が利くことは人の気持ちを瞬時に察して行動できることであり、地頭力は環境変化に対応して問題を解決できる能力であります。通常の業務を実行する上では、地頭力が重要だということになります。また、地頭力のことを、大前研一氏は、「知識がなくても自分の頭で回答にいたる筋道を考えていける人」と定義しています。さらに、高橋俊介氏は、「素手で考える力。知識も方法論もあらゆる手引きを持たずにゼロベースで考える力のこと」と定義しました。つまり、与えられた課題に対して、回答を丸暗記する能力ではなく、自分の頭で考え、答えを導き出す能力に他ならないようです。
ここで、地頭力について、もう少しブレークダウンしてみましょう。なぜなら地頭力の3項目は、図1のように仕事頭とオーバーラップしていると考えられるからです。地頭力は、ロジカルシンキングの左脳思考と発想や感性の右脳思考の両者を兼ね備えています。前出の細谷功氏の言葉を借りれば、地頭力は下記の3つとされています。
① 結論から考える「仮設思考力」
② 全体から考えるフレームワーク思考力
③ 単純に考える「抽象化思考力」
グーグル、マイクロソフト、ウォルマートなどは、「飛行機の中にゴルフボールをいくつ詰め込めるか」「マンハッタンに給油所は何か所あるか」のようなフェルミニ推定を採用試験に活用していましたが、完全に時間の無駄。こんな質問では何の予測もできないとして止めるようになりました。難問奇問では、業務遂行能力を測れなかったのです。
図1 地頭力と仕事頭の定義
そこで筆者...