1.クリーンマット
クリーンマットは、粘着マット、あるいは除塵マットとも呼ばれており、薄いビニールの表面に粘着物が塗布してあり、靴の裏や台車の車輪に付着した汚れの除去が目的です。多くはクリーンルームの出入り口付近に設置されています。また、クリーンルームではなくても、ゴミ、汚れの持ち込みを極力抑えたいと言う現場でも活用しています。
ここでは、自分達の現場ではどんなクリーンマットを導入すれば良いのかについてアドバイスします。
品質については、大きさ、色、積層(重ね枚数)、粘度、剥がす場所、枚数表示等様々な評価が必要になります。従って、メーカーの話だけで、あるいは購買担当が電卓を叩いて決めるのではなく、サンプルを取り寄せ、自分達で評価して最良と思われるものを購入するようにしてください。
2.クリーンマットの大きさ
60㎝×90㎝程度のものが多く使われていると思います。これよりもやや小さなものや、この倍の大きさのものもあります。クリーンマットは床に直貼りする場合もありますが、台紙を床に貼りその上に貼る場合もあり、一回り小さいものを購入している場合、その寸法に合った台紙を使っていると思います。その後一般的なサイズ(60㎝×90)に変更すると台紙内に収まりません。その場合はサイズに合った台紙を新たに発注するか、台紙を外して床に直貼りする、またはクリーンマットを少し切って、台紙内に収まるように加工することになります。一般的なサイズのものを購入していて、一回り小さなものに変更すると、台紙の枠とクリーンマットの間に隙間が生じ、そこにゴミが入り込み清掃がし難いです。
倍の大きさのものは通行時のゴミ除去以外に、クリーンルームへの設備の搬入、搬出、設備のオーバーホールなどで、広い範囲にゴミや汚れが飛散することが予想される時などに、その上で作業する目的でも使われます。
3.クリーンマットの色
代表的な色は、青、緑、白、水色等です。黒い汚れが多い場合は白色や水色など汚れが目立つものを選定する等色の使い分けをします。そして良く観察することで単にゴミ、汚れの除去だけでなく、現場の発塵源の特定や改善、清掃方法の工夫等に活用しましょう。
4.積層(重ね枚数)
積層枚数は15枚位から60枚位のものがあります。汚れが多く頻繁に剥ぐことが必要な場合は、交換頻度や価格面からは積層枚数が多い方が良いでしょう。ただし、最後のシートは裏面にも粘着物が塗ってあり、床がビニールタイルのようなところへ直貼りした場合、人通りの多い場所では多くの人が踏むため、積層枚数が多いほど床との密着力が強くなります。最後のビニールを剥がそうとした場合、床のビニールタイルが一緒に剥がれることがあります。するとコンクリートが剥き出しになり粉塵が飛散します。そんなところまで考慮し、評価してください。
5.クリーンマットの粘度
メーカーによって強粘度、中粘度、弱粘度の3種類、あるいは強粘度、弱粘度の2種類があります。強粘度は、ゴミ、汚れが良く取れる気がして感覚だけで採用してしまう場合もありますが、実際には粘度が強すぎて様々な問題が発生する可能性があります。例えば、靴が取られ脱げるとか転倒するなど安全上の問題。あるいは台車の車輪に巻きつき除去するのに苦労する。それらを知っていてクリーンマットを避けて通る等です。
又表面に塗布されている粘着物がムラになっているものもあり、剥がれることがあります。それが靴の裏に付着し、そこに汚れが付着する。その靴で歩いて床を汚すこともあります。
6.剥がす場所
剥が...
使用状況が分かるよう剥がす位置にNO.がついているものもありますが、その部分だけが千切れ、周辺に散らかっている場合もあります。上手く剥がせない場合、クリーンルーム内で手袋を脱ぎ素手で剥がしたり、さらには金属ピンセットで剥がすなど手数がかかることもあります。そんな動作、行動(余計な工数)や、2枚一緒に剥がしてしまうことは見えない費用発生です。
以上に挙げたようにその現場で評価しなければ分からない、見えてこないことが沢山ありますので、自分達で評価し、納得したうえで最良と思われるものを選定しましょう。