「なぜなぜ分析」とは、問題の「根本原因」を追究するための分析手法です。問題を解決するための対策を立てるためには、根本原因を掴まなければなりません。逆に、根本原因を掴んでいない対策は、根本対策とはなり得ません。そういった対策はあくまで対処療法(暫定対策)にしか過ぎないのです。根本原因の対策無き対策は、その問題が再発するリスクが高くなります。「形だけのなぜなぜ分析」では、根本原因へは辿り着くことができません。
【目次】
1. 「なぜなぜ分析」で根本原因まで到達するためのポイント
1. 「なぜなぜ分析」で根本原因まで到達するためのポイント
この「なぜなぜ分析」で根本原因まで到達するためのポイントは数多くありますが、何点かここにご紹介したいと思います。
(1)問題を明確にして絞り込む
「なぜなぜ分析」を実施する問題を漠然とした対象にしてしまうと、内容が発散してしまい、よくわからないものになってしまいます。
例えば、「Aさんが組み立て作業を間違えた」といった漠然としたものが挙げられます。こういった場合、例えば「Aさんが部品Bを取付けていなかった」というように、問題を具体的に絞り込む必要があります。
(2)根本原因が出てくるまで、「なぜ」を繰り返す
よく「なぜを5回繰り返す」と言いますが、5回で根本原因が出てくるとは限りません。根本原因が出てくるまで、10回でも20回でも何回でも「なぜ」を繰り返すことが重要です。
回数に拘る必要はありません。
(3)それぞれの「なぜ」の答えが論理的に繋がっているか
体裁だけ「なぜなぜ分析」を行い、「答えありき」で行った場合に陥りがちです。「なぜ」に対する答えが飛躍してしまっては、正しい原因を掴むことはできません。
(4)先入観を持たない
先入観を持って、「なぜなぜ分析」を行うと、上記のように「答えありき」に陥ったり、問題の本質を見失ってしまったりと、根本原因の追及を阻害してしまいます。
(5)何度も同じような「なぜ」が出てくる場合はその一つ前に戻って見直す
「なぜなぜ分析」を実際に行ってみると、何度も同じような「なぜ」が出てきて先に進まないことがあります。それは、その一つ前の「なぜ」の文章に問題がある場合が多いのです。そういった場合は、その一つ前の「なぜ」に戻ってみて、その内容、文章を見直してみます。
(6)原因が一つだけとは限らない
問題を一つの側面から見ただけでは、本当の原因が見えてこないことがあります。そういった問題に対しては、多面的に分析を進めていきます。そうやって行った「なぜなぜ分析」の結果は、図1のように論理的に繋がったツリー構造になります。
図1.なぜなぜ分析の例
2. 「なぜなぜ分析」で答えに詰まった時にすることは
「なぜなぜ分析」は「なぜ」とそれに対する答えを繰り返し出すことで、問題の原因を導き出す分析手法です。しかし、実際に「なぜなぜ分析」を行っていると、どうしても途中で答えに詰まってしまい、そこから先へ進まないという場合があります。
そのような時は以下の内容に注意してみてください。
(1)その「なぜ」の文章が曖昧な表現になっていないか
曖昧(あいまい)な表現として挙げられるものとして、例えば「~不足」や「思い込み」といったものがあります。こういった表現は曖昧、つまり解釈の範囲が広過ぎて様々な受け止め方が出来るため、正しい原因の追究を阻害し、誤った方向に答えを導き出しかねません。
では、答えに詰まった場合、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか?
(2)他の表現に言い替えてみる
「~不足」の場合を考えてみると、例えば「確認不足」という表現の場合、次の4通りに言い方を替える事ができます。
- 「確認しなかった」
- 「確認できなかった」
- 「確認を忘れた」
- 「確認することを知らなかった」
「確認すること」を分かっていながら敢えて確認しなかったのか、「確認すること」は分かっていたが、何らかの事情で確認できなかったのか、「確認すること」を忘れていたのか、そもそも「確認すること」自体知らなかったのか、といった事が考えられます。このようにすると「なぜ」の答えはどれが一番当ては...