真の「デザイン」は、「設計」の概念!

更新日

投稿日

1. デザイン重視の背景

 例えば携帯電話の開発で、アップル、韓国LG電子、NEC、ソニーなどが、デザインを最優先する戦略をとり始めています。競合各社の技術力に大きな差がなくなってしまったことが、主要な要因かもしれません。筆者も、「これからは感性デザインの時代だ」と、ブログなどで5~6年前から、ことあるごとに記事を書いてきました。では、デザインの真の意味は何なのか、もう少し掘り下げて考えてみましょう。機能美、意匠美など、デザインにまつわる表現もいろいろな考え方があるようです。
   

2. デザインのメカニズム

 デザインという概念は、日本では一般的に、意匠という意味で認識されていることが多いようです。しかし、本来の意味合いは「設計」です。マッキンゼーの菅原章さんの論文に次のような記述がありました。つまり、次のような三層構造で考えるのです。最下層にCreateという「基礎」の概念、その上にDevelopという「応用」の概念、最上層にDesignという「最適化」の概念です。この考え方を、モノづくりに置き換えてみると、Createは新素材の研究、Developは新素材を活用した新製品開発、そして、Designは、その新製品をお客様にどう使わせるかという仕掛け作りになりそうです。
 

3. デザイン概念の定義事例

 では、デザインの概念を基にした考え方(思考)をどう捉えればよいかということを、もう少し掘り下げてみます。例えば菅原章さんは、デザインの概念を次のように定義しています。

  • ①仕組むこと;偶然にできたものではなく、綿密に検討され、強い意志をもった人工的なもの。
  • ②裏をかくこと:裏切りや騙しのコンセプトが取り込まれている。
  • ③つなぐ、組み合わせること:ipodのように、いままでの技術の集大成、シナジーが発揮されている。
  • ④完璧であること:ディズニーランドのショーのように完璧にデザインされマネージされている。
  • ⑤再現性があること:安定したパフォーマンスを出して提供できる。
      

4. デザインの真の意味

  以上の経緯を踏まえて、さら...

1. デザイン重視の背景

 例えば携帯電話の開発で、アップル、韓国LG電子、NEC、ソニーなどが、デザインを最優先する戦略をとり始めています。競合各社の技術力に大きな差がなくなってしまったことが、主要な要因かもしれません。筆者も、「これからは感性デザインの時代だ」と、ブログなどで5~6年前から、ことあるごとに記事を書いてきました。では、デザインの真の意味は何なのか、もう少し掘り下げて考えてみましょう。機能美、意匠美など、デザインにまつわる表現もいろいろな考え方があるようです。
   

2. デザインのメカニズム

 デザインという概念は、日本では一般的に、意匠という意味で認識されていることが多いようです。しかし、本来の意味合いは「設計」です。マッキンゼーの菅原章さんの論文に次のような記述がありました。つまり、次のような三層構造で考えるのです。最下層にCreateという「基礎」の概念、その上にDevelopという「応用」の概念、最上層にDesignという「最適化」の概念です。この考え方を、モノづくりに置き換えてみると、Createは新素材の研究、Developは新素材を活用した新製品開発、そして、Designは、その新製品をお客様にどう使わせるかという仕掛け作りになりそうです。
 

3. デザイン概念の定義事例

 では、デザインの概念を基にした考え方(思考)をどう捉えればよいかということを、もう少し掘り下げてみます。例えば菅原章さんは、デザインの概念を次のように定義しています。

  • ①仕組むこと;偶然にできたものではなく、綿密に検討され、強い意志をもった人工的なもの。
  • ②裏をかくこと:裏切りや騙しのコンセプトが取り込まれている。
  • ③つなぐ、組み合わせること:ipodのように、いままでの技術の集大成、シナジーが発揮されている。
  • ④完璧であること:ディズニーランドのショーのように完璧にデザインされマネージされている。
  • ⑤再現性があること:安定したパフォーマンスを出して提供できる。
      

4. デザインの真の意味

  以上の経緯を踏まえて、さらに、具体的に言い換えてみたいと思います。例えば上記の概念は、図1のように言い換えられます。つまり、これは意匠だけでなく、広義の「設計」の概念に他ならないことを示しています。

  • ①マーケティングを徹底している。
  • ②あっと驚く感動がある。
  • ③従来の機能のよい所取りをしている。
  • ④プロフェショナルなこだわりをもっている。
  • ⑤技術力がある。
      

  デザインの真の意味図1 デザインの真の意味

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
インポスター症候群とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その83)

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...

 前回エドワード・デシの4段階理論における第3段階を実現する活動として「(その1)有能感への貢献:目的達成が自分自身の成長につながることを理解する」に...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その25)

 前回はKETICモデルの中の知識(Knowledge)の内、技術知識について議論をしましたが、今回も引き続きその議論をしたいと思います。 ◆関連解説『...

 前回はKETICモデルの中の知識(Knowledge)の内、技術知識について議論をしましたが、今回も引き続きその議論をしたいと思います。 ◆関連解説『...


位置関係-5 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その108)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回まで4度にわたり、KETICモデルの思考の中の「位...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回まで4度にわたり、KETICモデルの思考の中の「位...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
‐操作性改善‐ ‐修理情報活用‐  製品・技術開発力強化策の事例(その1)

1.機械の操作性の改善  自社の機械を購入してくれた顧客を訪問し、操作性について苦情を聞くことを中心に営業活動をしている機械メ-カがあります。多品種...

1.機械の操作性の改善  自社の機械を購入してくれた顧客を訪問し、操作性について苦情を聞くことを中心に営業活動をしている機械メ-カがあります。多品種...


‐顧客の難しい要求に取り組む ‐  製品・技術開発力強化策の事例(その2)

 前回の事例その1に続いて解説します。顧客から難しい要求や相談があったとき、意欲的にその問題に取り組む企業がある。その取組みから他社では出来ないよ...

 前回の事例その1に続いて解説します。顧客から難しい要求や相談があったとき、意欲的にその問題に取り組む企業がある。その取組みから他社では出来ないよ...


設計部門の仕組み改革(その2)

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...