シックスシグマは1980年代にアメリカで生まれた経営手法です。日本で当時、広く活用されていたTQC(現TQM)を手法開発のお手本としていたため、日本では製造現場における狭義の品質改善手法と誤解されることが多いのですが、本質的には経営改革のためのマネジメント手法であり「組織におけるあらゆるプロセスのバラツキを削減して不良を減らし、コスト低減と顧客満足度を上げることで、企業利益に貢献する全社活動」といえるでしょう。
本題に入る前に、この手法が開発された歴史的背景についてご紹介します。
みなさんもご存知の通り、日本の製造業は1970年代から80年代にかけて目覚ましい発展を遂げ「安かろう悪かろう」から「安くて高品質」というジャパンブランドを確立し、アメリカ企業のシェアを奪っていきました。
その結果、モトローラ社も長い歴史を誇るQuasarというブランドのテレビ事業の売却を余儀なくされ、当時の松下に事業を売却したところ、居抜きで買い取った工場をほとんど追加投資せずに、ほぼ1年で黒字に転換したそうです(昨今、日本のテレビ事業が縮小・撤退を行っていることを考えると、盛者必衰の理、ということになるのでしょうか)。
これにショックを受けたモト...